北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

「廃炉要求」厳しいですか?

2019-07-12 | 志賀原発


7月5日に志賀原発構内で起こった高圧電源車火災事故で、さよなら志賀原発ネットワークとして北陸電力本店に申し入れ。

志賀原発は1、2号機共に停止中だが、原子炉建屋内には今現在も使用済み核燃料が保管されており、今現在も私たちは重大事故による放射能被害のリスクに晒され続けている。大げさな表現だと思われる方もいるかもしれないが、原子炉建屋や冷却水を取水する配管の下を何本もの断層が走り、いまだ北電はその活動性を否定できずにいる。地震だけでなく2年前には雨水の大量流入であわや全電源喪失の危機という事態も招いている。決して杞憂ではない。

そんな中、福島第一原発事故を踏まえ、全電源喪失などの重大事故が起こった際の事故収束活動を充実・強化するため配備が決められた高圧電源車、つまり最後の最後の砦だが、その電源車のバッテリーケーブルがはずれて火災を起こしたのだ。
そんな重大な事故を起こしながらも北電が対外的にとった対応はこの1枚のペーパーを発表しただけ
重大な事案という認識もなければ、周辺住民をはじめとした県民への謝罪もない。
原因は「調査中」とあるが、世間が騒がなければこれで終わりにするつもりだったのではないか。

今日の申し入れでは担当の課長から「大変厳しい指摘をいただいた。出火のトラブルで皆様にはご心配をおかけした。お詫び申し上げる。指摘の内容は社内で共有し、2度とこのようなことがないようにしたい。火災の一報を受け「重大な案件」と判断し対応してきた。プレスリリースはまず速やかに公表することを念頭に対応してきた」といった回答があった。

この回答に対して、私を含め参加者からは予定の時間をオーバーして次々と怒りや疑問の声があがった。
・初めて「お詫び」の表現が示されたが、私たちに謝ってほしいから申し入れを行っているのではない。本来なら事故当日、ただちに「重大な事故」を起こしたという認識を表明し、周辺住民はじめ多くの皆様にお詫びを表明すべきだ。今日の申し入れがなければずっとお詫びはなしのままだったのではないか。
・当初から「重大な事案」と判断し、まず火災の発生、消化、放射能の影響なしを伝えたというが、本当に重大な事案との認識があったのならば第2報、第3報を出す、あるいは直ちに記者会見をおこなうなど、続く対応があるはず。今日まで十分な時間があったのに詳細な火災の箇所の写真すら公表されていないのは怠慢か隠ぺいのどちらかだ。
・プレスリリースの内容は上層部も確認してるのか。内容に問題ありとは思はないか。⇒しかるべき立場の人も確認したうえで公表している。速やかに原因究明、をおこない、再発防止策がまとまり次第、合わせて公表したい。
・「厳しい指摘」とはどの箇所を言うのか。1、2号機の廃炉要求を厳しいと受け止める方がおかしい。重大事故を収束することができない可能性があるのに廃炉を要求するのは住民として当然ではないか。重大な事故との認識がないから「厳しい」ことを言ってるという認識になるのではないか。
・火災の原因究明の状況は?⇒全社挙げて調査中。いつ公表できるかも含め、現時点では何も言えない。
・中間報告、あるいは調査状況くらい言えないのか。
・火災を起こした車両は修理し再び使えるのか?車両の価格は?⇒ わからない 
・高圧電源車をトラブルなく万全な状態で維持していくことは楽なことではない。認識が甘い。
・「2度とこのようなことがないようにしたい」という発言はこれまで何度聞いたことが。もはや安全文化の確立以前の問題で、直ちに廃炉にしてもらわなければ私たちの安全はない。
・「重大な案件」と言いながら私たちとの認識の差は大きい。かつてのイタイイタイ病問題では神岡鉱山や富山県は反対派も現地に入れて対応を協議した。北電にもそのような対応が必要ではないか。
・適合性審査の申請書では重大事故対策は有効に機能することを確認したとあるが、誤りは証明された。私たちは申請を取り下げるべきと思うが、少なくとも内容の訂正は避けられないのではないか。
・9日にはまたもや七尾火電がトラブルで停止した。敦賀火電も定検が延びている。志賀再稼働最優先で火電の維持管理に必要な予算をが回っていないのではないか。

などなど質問や意見は尽きないが、予定した時間を大きくオーバーしたため、やむなく申し入れは終了。
「重大な案件」との認識こそ示されたが、車のケーブルの接続ミスでちょっと火が出ただけ、それも8台ある中の一台だけで何を大騒ぎしてるんだという感覚が根っこにあるので、質疑を続ければ続けるほど問題発言がポロリポロリと・・・
この感覚は対応した課長個人の感覚ではなく、まさに北陸電力の「安全文化」の実態だろう。
まさに「北陸電力に原発運転の資格なし!」だ。

北電がこのような状態であぐらをかいていられ続けられるのは、この間の県の対応の甘さも大きな要因だ。
来週水曜日(17日)には石川県庁にも申入れに行く。

今日の申入書は以下の通り。

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2019年7月12日

北陸電力株式会社 社長  金井 豊 様 
                             
                           
さよなら!志賀原発ネットワーク
志賀原発を廃炉に!訴訟 原告団
命のネットワーク
石川県平和運動センター
富山県平和運動センター
 
申 入 書

                            
 7月5日、志賀原発で高圧電源車から出火するという火災事故が発生しました。志賀原発構内での火災はこれが3件目ですが、今回は、安全強化策のために配備された高圧電源車からの出火でした。 
 ところが、当日発表された北陸電力のプレスリリースは、すでに鎮火していることや外部への放射性物質の影響はなかったこと等をごく簡単に報告し、さらに「本事象は、法令の報告対象ではありません」と述べ、あたかも大したことではなかったというような印象を与えるものでした。その文面からは、高圧電源車の火災が「あってはならない重大な事故」であるという認識はまったく感じられず、今後の対応についての言及も謝罪の言葉もない内容でした。
 しかし、高圧電源車は福島第一原発事故の教訓を踏まえて、緊急時の電源確保の重要性に鑑み、大事故の際の「事故収束活動の強化・充実」のために配備されたものです。その電源車が点検の二日後にバッテリーケーブルがはずれていて火災を起したのですから、配備された電源車が肝心の緊急時に実際に機能するのかどうか、危惧せざるを得ないような重大な事故のはずです。
 2号機の新規制基準への適合性審査の申請では、「高圧電源車からの給電も含めた重大事故対策が有効に機能するかを評価し、対策により事故の進展を防ぎ、原子炉を安定的な状態に保つことができることを『確認』した」とあります。ところが今回の火災事故により、「代替電源からの給電」は絵にかいて「確認」していただけで、実際には機能しないことがあり得ることを北陸電力は自ら実証してしまったのです。これでは申請内容に偽りありと言う他なく、当然、申請は取り下げるべきです。 
 たとえ停止中であっても電源喪失が起これば使用済み核燃料プールの冷却ができなくなる等、電源の確保は原子力発電所が稼働中か否かにかかわらず安全性に直結する重大な問題です。電源車の火災事故が発生し、しかもその重大性についての認識を欠く対応には、あらためて「北陸電力には原発運転の資格なし!」と言わざるを得ません。北陸電力は、直下に活断層の存在が指摘されている志賀原発の早期再稼働にいまだに固執し続けていますが、停止中の原発の安全管理さえできない電力会社が原発を再稼働させることなど、断じて許されません。
 志賀原発は1号機、2号機ともに2011年3月以降停止してすでに8年4ヵ月が経過していますが、この間、この火災事故だけでなく、雨水が原子炉建屋内に流入にすることによる漏電事故、
大雨によるモニタリング・ポスト浸水事故、あるいは運転開始以来一度も点検していなかった換気装置のフィルター損傷等々、事故トラブルの類は枚挙にいとまがありません。一般向け配布しているパンフレットには「志賀原子力発電所では、“福島第一のような事故を起こさない”決意のもと、全力で取り組んでいます」と書かれていますが、「安全最優先」というのは掛け声だけで、現実にはいつどのような事故が起きるか分からない、止まっていても危険なのが志賀原発の実態です。
 これらの事故トラブル多発の背景には、長期間停止による運転員のモチベーションの低下やたるみ、チェック体制の不備など「安全文化の構築」にはほど遠い現場の状況があるに違いありません。さらに、事故が起きた際の北陸電力の対応からは、原子力発電所が抱える本質的な危険性への認識が、そもそも欠如しているのではないかと懸念せざるを得ません。

 電力供給には必要のない、まったく発電せずに電力を消費しているだけの原発のために、これ以上危険にさらされることのないよう、高圧電源車の火災事故を踏まえて、あらためて「北陸電力に原発運転の資格なし!」と訴えるとともに志賀原発の速やかな廃炉を求め、以下、申し入れます。

【 申入れ事項 】

1.志賀原子力発電所は1号機、2号機ともに 直ちに廃炉にすること。

2.志賀原子力発電所2号機については、新規制基準への適合性審査の申請を速やかに取り下げ
  ること。



1 コメント

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講演依頼をするには?? (熊野谿 寛)
2019-07-25 11:11:55
神奈川の私学で教員をしています。今年の11月に高校2年生の研修旅行で富山・石川にうかがいます。その中で能登半島と原発建設について、お話を聞かせていただくことができないか、と考えました。ただ、依頼連絡先がわからないので、こちらにとりあえず、書かせていただきます。dq5h-kmnt@asahi-net.or.jpまでご連絡先をお知らせいただけないでしょうか。
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