木枯らしの今

寒い日には施設の入り口に設置されてる自販機で缶コーヒーを買って
母の所に行くんです。
冷たい手を温めるのに缶コーヒーはちょうどいい。
殆んど話さない母ですが、持たせてみると“温かい”と一言。

今では持ち込みで何かを食べさせるのも
施設側から“ダメよ！”と言われなくても
もう食べさせる事は無理だろうというくらいになってしまった。

一口事が気を付けながら、飲み込むのを確認しながら
水分を取らせるのが一番難しい
飲ませても蒸せてしまい、激しい咳き込みで苦しむのに飲ませる事も無いだろうと。

もう年末です。
今年も家には帰ることもないまま年が明けるんだろう
帰れるような家ではないが。

恨む気持ちで見ても仕方ないと思う傍らで
やはり恨む気持ちは消えないものです。
兄や義姉を・・・

愚痴も嘆きも、何も言わない母を見るのが一番辛い
でも施設の方達は穏やかな人ねと言う
この言葉がもっと辛い。

年老いていくのだから致し方ないと言い聞かせる　自分に。
冷めてしまった缶コーヒー,飲みながら思う帰り道。