ノドン・ミサイルと「アザデガン油田」開発と日本
〔出典:「鈴木宗男」収監直前独占手記〕
【官房機密費】
民主党も脱官僚を謳うなら
この官房機密費についても自民党時代からの悪しき慣例を断ち切って
政治主導で正しい使い方に改革すべきです
汗水垂らして支払った国民から徴税した使途について
「透明性の確保」「国民に対する説明責任」がある
と私は考えます
正式名称「内閣官房報償費」は年額14億6000万円ほどの国家予算
(2002年度以降毎年同額)
私が内閣官房に居た1998~99頃は外務省から「上納」20億円/年上積み
合計34億円を超す「機密費」を
「使用目的支払先を明らかにすることなく会計検査院のチェックもなく」
首相官邸は自由に使えるのです
私は小渕内閣(平成10年7月)で内閣官房副長官に起用された
翌8月江利川毅参事官(現人事院総裁)が部屋にやってきて
「領収書もなにも要らないお金です ご自由にお使いください」
封筒に200万円入っていた
誰々にいくら出したかの支出明細は官邸側でメモとして記録してた
機密費は月初1対1で手渡される
この毎月200万円の現金は大いに助かりました
今
厳密に考えれば
政治活動に使うのであれば政治資金として届けなければいけないし
個人で使うのであれば所得として確定申告をしなければならない
ものだったのです
当時「官房長官」には
約1億4000万円/月の官房機密費が渡されていた
月初7000万円 月中7000万円
前例踏襲として「盆暮れ」には1000万円が歴代総理経験者へ
中曽根康弘
竹下登
橋本龍太郎
宮澤喜一
これは官房長官みずからが届けにいく
さらに国会対策委員長に1000万円/月手渡されていた
首相外遊時には1回ごとに1000万円支出されます
職員には新米であっても2万円ほどの「小遣い」が配られました
党役員会(4回/年)閣僚懇談会(2回/年)には
お仕立券額面50万円がお土産として配られる
年6回配られるので総額約6000万円
私も閣僚のときこのお仕立て金でスーツを揃えたことがありますが
1着だけ作るのはもったいないので
15万円程度のスーツを3着誂えたことを覚えております
【慣例を大きく逸脱する「特殊なケース」】
▼:小渕総理と沖縄地選挙
当時の自民党では地方首長選挙へ投入する党資金は
どんなに激戦区であったとしても5000万円が上限でした
小渕総理:
「おいおい沖縄は随分金がかかるんだな3億円いるっていうんだからな」
小渕総理は学生時代に世界一周旅行に出かけたがスタート時点は沖縄
沖縄地選挙に出馬の稲嶺恵一氏の父「稲嶺一郎」に随分世話になった
小渕は在学中から早稲田雄弁会で
「沖縄に日の丸を建てよう」と運動した
▼:300万ドルを「外交行嚢」に入れて
1999年8月23日日本人技師4名が拉致され63日後の10月25日解放された
日本政府は300万ドルの身代金を支払ったと伝えられたが
外務省は一貫して支払いを否定している
キリギスの国民生活から考えれば
300万ドル=3億円
は日本人にとっての300億円ほどの価値に相当する額だからです
現地大使館では身代金を支払わない交渉中だったが
別ルートでキルギス政府へ支払う話がゲリラ側に洩れてしまい
怒ったゲリラ側は
「俺たちは身代金など要求していない見せしめに1人殺す」
外務省関係者からあとで聞いた話ですが
この現地対策本部で連日のように内輪の宴会を開いていたそうです
外務省職員には4,5万円/日の出張手当がつきます
飲食代やホテル代などはすべて機密費でまかない
20日ばかりの出張で80万円もの「小遣い」を溜めた外交官も痛そうです
2005年(平成17年)3月アカエフ大統領の不正蓄財が明るみに出ました
どうやら身代金として外務省がキルギス政府に渡した金の大部分が
大統領の懐に入りゲリラにはほとんど渡っていなかったようなのです
外務省は
今でも公式には一切払っていないとしていますが
実際はこれまで述べたように
機密費から
相手から言われるままに300万ドルを引き出し
身内でどんちゃん騒ぎを重ね
結果的に
独裁者の不正蓄財に手を貸していたのです
▼:ノドン・ミサイルと「アザデガン油田」開発
機密費の甲斐があり
中東の某高官からイランが保有している北朝鮮のノドン弾道ミサイル
の詳細な構造図がもたらされたことがありました
防衛省の担当者は
どうしてこんな極秘資料が手に入ったのかと腰を抜かしていました
イランが改良したミサイルは北朝鮮にフィードバックされ
ミサイルの改良が行われている
石油などのエネルギー資源を見返りとしてイランから受け取る
最終的には北朝鮮の核兵器技術も手に入れたい
だからこそ原発技術に執着しているのです
大陸間弾道ミサイルの尖端に装備する核弾頭など
核兵器の技術を開発したいと言うのが彼らの本音
日本が
石油資源の開発などにイランに提供してきた資金は
油田開発にはほとんど使われず
その莫大な余剰金がミサイル開発に流用され
結局これが
北朝鮮のミサイル開発や格開発をも助けていたのです
平成10年頃
私はこの情報を下にイランのアザデガン油田の開発から
日本は距離を置くべきだと
政府に働きかけました
その結果
日本はアザデガン油田にコミットしませんでした
しかし小泉内閣ができて以降これがノーズロになり
日本はまたこの油田開発への関与をずるずると始めてしまった
今年10月菅政権はアメリカ政府の要請を受け入れ
アザデガン油田開発プロジェクトから撤退を発表しました
〔出典:「新潮45」December 2010 国民の税金「官房機密費」
私の知るすべてを明かす 収監直前独占手記第2弾
元内閣官房副長官 鈴木宗男
間違った使い方を改め機密費は国益のために活用せよ
一例を示そう
かって私が
極秘裏に入手したのは「北朝鮮ノドン・ミサイル」構造図だった
P22~30〕