安倍政権で日本はどう変わったか?
どう評価するか?
どうなって行くか?
▶︎経済政策
経済政策とは何を指すのか?
すでに日本では超緩和政策が実施されているではないか?
先進国中最低の金利
GDP比で見て最大規模の量的緩和
▶︎「大胆な金融政策」とその帰結
日銀が供給した資金は民間銀行の余剰資金となり
民間銀行の手元に空しく止まっている
日本経済の再生、デフレからの脱却には全く役立っていない
民間銀行には54兆円の資金が日銀から新たに供給された
民間銀行の貸出残高7兆円増、預金残高17兆円増加⬅︎貸し出しを上回る
民間銀行で目立つ準備預金の増加(44兆円/12年末→91兆円/13年10月末)
「準備預金法」←全銀行合わせて8兆円(義務付け必要額)
▶︎副次的効果としての株高・円安
「大胆金融政策」を反映して株高・円安が進んだのは13年5月までで
その効果は出尽くしたと見られる
なお13年11月半ばから再び株高・円安進行の動きが出てきたが
これはアメリカの金融政策が緩和からの脱却を目指して動き始めた
影響である
アメリカの金利上昇予想の高まり→ドル高・円安→日本の株高
日本の「大胆な金融政策」とは関係の薄いところと見るべきだ
13年7~9月期の実質成長率はマイナスになっていた
▶︎止められなくなってきた「第2の矢」公共事業拡大
13年1月に総額10兆円という巨額の12年度補正予算を成立させた
その柱は公共事業である(財源として建設国債を発行:5兆2000億円)
この結果、12年度の補正予算規模は100兆円を超し
東日本大震災の年(2011年度)の107兆円
リーマンショックの翌年(2009年度)の102兆円に次
史上第3位(平時では最大)となった
13年度の実質成長に対する公的需要の規模は
1.1%に達する見込みであり(政府見通し)、
リーマンショックの翌年である2009年度の1.0%を超え
21世紀に入ってから最大となる
問題は、効果がその期だけにとどまる、と言うことである
▶︎「景気は良くなった」と評価できるか
輸出の減少があり、基調にあるのは通常の景気循環である。
アベノミクスが成功しているとは言い難い状況である
▶︎成長戦略は構造改革政策の焼き直し
今また「成長戦略」は、雇用制度改革をその柱に据えている
「行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援型への政策転換」
「派遣労働の規制緩和」
「ジョブ型正社員制度の整備」
「成長戦略」が具体化され実施に移されたら
その時、確実に起こることは、前例に学んで言えば、
停滞からの脱出ではなく、さらなる停滞へ
日本経済が落ち込むことである
「企業収益を向上させそして雇用賃金の拡大につなげて行きたい」
安倍首相発言(2013.1.11.記者会見)だが
構造改革の時代にあっては
企業収益は向上しても賃金は下がり
非正規雇用が著しく増えるなど、暮らしは悪化したのである
▶︎消費税増税で暮らしはどうなる
正社員は前年同期比30万人減少、非正規社員約80万人増
非正規社員比率は37%に迫っており
雇用の劣化が進んでいる
年金生活者には年金給付額の引き下げが始まっている
生活保護支給額の削減も始まっている
そこに消費税増税が加わり、社会保障制度改革も加わる
日本経済が成長せず総需要が増えない中で
「企業が活動しやすい国」にする政策を展開することは
暮らしを削って企業に回すということであり
「人々が暮らしにくい国」にすることに通じる
アベノミクスの1年で、すでに始まっていて、例えば
「第1の矢」は大企業、富裕層にその恩恵は及んだが、
人々の暮らし物価上昇被害が及んでいる
「第2の矢」により財源難にもかかわらず公共工事が積み増しされ
建設土木の関連企業にその恩恵が及んでいるが
一方で、財源難を理由に社会保障支出が抑制され
とりわけ貧しい人々の暮らしに被害を与えている
単位:兆円 法人税 所得税 消費税
1996年度決算 14.5 19.0 6.1
2013年度補正後予算 10.7 14.8 10.6
2014年度予算 10.0 14.8 15.3
1996年度と2014年三税収合計額は
1996年度39.6兆円
2014年度40.1兆円
ほとんど変わらないが
企業と家計負担割合の変化を見ると
96年度の企業37対家計63が
14年度には25対75に変化する見通しにある
内閣府「国民所得統計」→
民間法人企業の所得:41.3兆円/1996
45.9兆円/2012⬅︎11%増加
家計の所得(雇用者報酬,財産所得の合計):307.9兆円/1996
267.5兆円/2012⬅︎13%減少
負担能力の高まっている法人企業の負担が軽くなり
負担能力の低下している家計負担が重くなっている
こうした流れは1日も早く断ち切らねばならない
法人税未払企業は70%台であると報道されている
《出典:世界 SEKAI 2014.3ーP112~121何のための負担増か?》
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