トルコ国境ルポ:若いシリア人夫婦、生きるため逃げる
トルコ国境ルポ:若いシリア人夫婦、生きるため逃げる
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小雨が煙る無人の荒野を子連れの若夫婦がさまよっていた
21日朝
内戦下のシリアと接するトルコ南部の小さな町カラカムシュ
国境を遮る鉄条網の向こう側で
「抜け道」を探しあぐねるシリア人難民に
トルコ側から様子をうかがっていた別の難民たちが手ぶりを交え
大声で方向を伝え始める
「ちょっと待て兵隊が来る」
「今だ もっとあっちに裂け目があるぞ」
ようやく国境線をまたいだ家族に祝福の声が降りかかった
「アッラー・アクバル(神は偉大なり)」
トルコを目指すシリア難民にとって最大の障害は政府軍だ
反体制派勢力「自由シリア軍」が支配下に置く地域でさえ
頻繁に政府軍の空爆や砲撃にさらされている
ようやく国境にたどり着いても安心はできない
パスポートが無ければ原則的に難民キャンプに収容されるため
何らかの事情でキャンプ入りを避けたい難民は
トルコ当局の目をかすめて越境しなければならない
からだ
シリア内戦の激化に伴い
トルコ国内に押し寄せた難民は約20万人に達する
だが
難民キャンプで暮らすのはこのうち半数だけだ
キャンプは難民の衣食住を満たしてくれるが
当局の監視下で見知らぬ者同士が窮屈に肩を寄せ合う生活を嫌う
難民も多い
国境検問所や各地の「抜け道」では
疲れ切った難民の荷物を運び車や宿を用意する「手配師」が暗躍
している
場違いな雰囲気の黒い背広はよそゆきの一張羅に違いない
依然として政府軍が
強い影響力を持つ北部アレッポから逃げてきた男性は
まだ19歳だった
哺乳びんを抱えた1歳半の幼子と
頭からかかとまで黒い服で覆った妻のほかには
小さな手荷物しか持っていない
泥まみれの靴と硬く青ざめた表情が若い夫婦の困難な逃避行を物語る
家族の目的地は
カラカムシュから北西へ直線距離で70キロほど離れた百万都市
ガジアンテップ
もうすぐ始まるイスラム教の一大行事「犠牲祭」を前に
親類の家に身を寄せるのだろう
国境を越えてからわずか5分ほどで迎えの車が現れた
妻子を乗り込ませると
それまで固く口を結んでいた男性にようやく笑顔が戻った
「ここに着いただけで十分です」
【カラカムシュ(トルコ南部)樋口直樹】
2012年10月22日 15時05分毎日新聞