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岸本晃の住民プロデューサーNEWS

古館さんの突っ込みと住民ディレクター

 夜、テレビ朝日の報道ステーションを見ていたら、新潟の柏崎の被災地リポートがあった。アナウンサーが現場中継でリポートし終わると、古館さんがおもむろに「スタジオにいる私と違って何度も現地に通われていると、住民の皆さんの気持ちがよくわかるでしょうねえ?」というような意味のことを投げかけた。打ち合わせになかったのか、現地のアナウンサーは一瞬とまどっていた。そして、やはりアナウンサーらしい紋切り型の答えでまとめていた。
 たまたまだったのだろうけれど、昨日「住民自身の災害報道」という記事を書いていたので、古館さんかデスクが私のブログを読んでいたのでは?と思うほど、タイミングと質問内容がピッタリだった。それにしても、テレビはよく伝えてしまう。アナウンサーのリアクションからは「まったく考えもしなかった」という感じがそのまま出ていた。
 住民ディレクターがいっぱいいて、民放番組もドラマも自分たちで作ってしまってきた熊本県山江村。最近はすっかりご無沙汰なので今はどうかわからないが、筑紫哲也さんのニュース23で特集が組まれた時、担当のディレクターは住民ディレクターと同じ気持ちになろうと、自らが家庭用ビデオをもって、何度も何度も通って取材した。これまでにない密着した企画ニュースが出来上がったが、それでも村民からするとお隣の人吉市の球磨川が、さも山江村の川のように紹介されたり、ビデオを持たない住民ディレクター松本佳久さんが、ビデオカメラでよその地区に取材に出たりするシーンがあって(頼まれたシーン)、違和感は否めなかったようだ。担当ディレクターの人柄がよかっただけに、村民も協力したが一般の住民からするとやはり違和感がある。
 私は自分自身がテレビ局時代に同じようなことをいっぱいやってきているので、「再現という手法」として理解できるし、決してやらせとは違うものなのだが、素人の身からすると共感は難しい。この一線は非常に難しいところだ。
 最近、熊本でもNHKをはじめ、民放各局の地域ワイドニュースが当たり前になって、県民のテレビ局への理解は深まってきた!?田舎に行けば行くほど、各局のワイドニュースが一度は来るから、田舎の名士はすっかりテレビ慣れしている。住民ディレクターとして県内各地の郷土料理を9年前から土地の人と一緒に作ったり食べたりして取材する個性的な番組を作っている澤啓子さんは(プリズムTV:食/「タコを釣るところから体験取材」参照)、撮影していると相手が「ここから撮るんでしょう?(それは)あっちから撮るといいですよ」などとテレビ局のカメラマンが撮るようなことをいうので、「もっと自由にやってもらっていいのですよ」ということが多くなったという。テレビ局の撮影の要領を覚えてしまったということだ。澤さんの現場でもそんな場面が非常に多くなってきているらしい。住民ディレクターは11年間「(ボタンを)押せば(ビデオは)映る」「身体がカメラ(アップは近づけばいい、すると人との距離もグンと近づく)」「番組はオマケ(なので、うまくいけばラッキーぐらいの気持ちでやろう)」の3原則でやってきたのは実は、素人の初々しさ、自由奔放さが維持されるためのノウハウでもあった。要はルールやノウハウにとらわれずに日ごろと同じように思ったように話すこと、動くことが最高の情報になると考えていたのだ。
 11年間、「押せば映る」でやってきた多くの住民ディレクターさんたちなら、今夜の古館さんの突っ込みに「さらり」と「気持ちを込めて」答えられることでしょう。プロと素人のこの組み合わせこそが、ニュースや番組の新たな可能性を拓くと思うし、やっと時が来たと感じる。本物を探しているテレビマンがおられたら是非一緒に組んで見たいですが・・・、と、考えつつ全国を歩いて25年です、ね。
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