年齢と声

2013年01月17日 | 日記
女性は更年期に中音域で声がひっくり返るようになる方が多いようです。私も昨年初めて経験しました。粘液が出なくなって左右の声帯の吸い付きが悪くなるからだそうです。声帯がしっかりくっついていないと、呼気がそこで減速して、呼気の何割かが上へ抜けきらずに喉にまとわりついてしまいます。高音域は声帯をしっかりくっつけて引っ張らないと出ませんが、中低音はそれほど引っ張らなくてもよいので、声帯を引っ張る力が抜けるついでにくっつける力まで抜けてしまいがちなのですね(ちなみに、声帯自体は粘膜ですから自分では動くくことができません。声帯をくっつけたり引っ張ったりするのは声帯の内部にある声帯筋と周囲の喉頭筋群の仕事です)。声帯の吸い付きが悪くなっているのですから、身体をしっかり使ってくっつけなくてはいけません。練習の仕方としては、ソファミレド~と5度を順次下行するのが効果的です。最初の音を出す前に口を開けたまま洟をかむ要領で呼気を眉間あたりまで飛ばしてから、ハミング→「ア」の母音の順で声にします。眉間の緊張感を維持して。身体の筋肉を使っている感覚があるので、その感じを保ったまま下行していきます。
今日初めてレッスンに来られた方が、この方法で声が割れなくなりました。但し、女性は一点ヘ音より下は裏声だけでは響かなくなるので地声を少しずつミックスしますが、その加減がとても難しく、ちょっとバランスが悪いとまたひっくり返ります。このパッサージョ(転換点)をまたいで音が動くような曲はすごく歌いにくいのですが、これは時間をかけて訓練するしかありませんね。私もまだ難しいです。
加齢に伴う身体の変化は、実際にその年になってみないとわからないものです。W先生も50代の頃中音域が割れるようになって、そこから再度発声の研究を始めたとおっしゃっていました。生きるということは、あらゆる意味で刻々と変化するということですね。その変化に対応しながら歌い続けることはレスナーとしての財産になる、と思って頑張りたいと思います。

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