合宿

2018年04月30日 | 日記
阿蘇の木魂館で、コンサート前の合宿&メサイアの合宿をしてきました。
4月は年度替わりで何だかんだと落ち着かない日々で、気が付いたらもう月末。自主コンサートは事務的な準備がいろいろあり、練習する時間があまり取れないので、練習だけに集中できる合宿をアテにしていました。やっとその日がやってきて、同伴の父と小3の甥と一緒に、Iさんの車に便乗して一路小国へ。
着いてみると、先着のM先生とUさんが既に練習を始めていました。私たちも、旅装を解く間もなく練習に合流。体のスペシャリストのM先生は、伴奏合わせの前にいつもストレッチを教えて下さいます。下腹部のインナーマッスルを鍛えるエクササイズをやって、それから二重唱、ソロと伴奏合わせを進めていきました。アレルギー持ちのIさんはこのところ「声帯が腫れて歌えない」と嘆いていましたが、不調だったのがウソのように、とても良い響きで歌っています。いつもM先生が仰ることですが、環境を変えてストレスを解消することが、結果的に心身のエネルギー回復につながり、練習効率も上がるわけですね。てそういえば、Uさんのピアノもすごく伸びやかで気持ちの良い響きがしていました。阿蘇の磁力が、体にも心にも良い影響を及ぼしているのでしょうか。Iさんの歌声を聴いているうちに、私もどんどん気分爽快になってきました。
今回私は、日本歌曲とドイツ歌曲をそれぞれ4曲ずつ歌います。それにIさんとの二重唱が6曲。好きな歌を選んではいるものの、中にはどうしても思うように歌えない曲もあります。たんぽぽ、という歌詞が何度も出てくる曲があるのですが、これが、過去に一度も思い通りに歌えたことがない、というシロモノ。たんぽぽの「た」がどうしてもきちんと決まらないのです。どうやら子音を弾く時の力の維持と、母音を伸ばす力が足りないらしい、ということまではわかったのですが、それがなかなかうまくいきません。M先生が「お腹を使わないとできないのよ」と言われ、セラバンドを使って下腹を引き上げ、肋骨を持ち上げるフォームを教えて下さいました。確かにそうすると一瞬成功するのですが、そのフォームを持続していると、腰や右股関節に痛みが来ます(右股関節痛には1月以来悩まされているのですが、これは右鼠径部のリンパの腫れが原因だと先日わかりました)。声楽は一般に思われているより遥かに体を使うので、本気で練習をすると相当体に響きます。でも、体をうまく使って声を出すと、体は疲れますが声はラクに出るようになり、だんだん調子が上がっていきます。
何曲も歌って疲れてくると、歌いながら口がだんだん大きく開いてきますが、これはNG。口もとはあまり開けず、奥を開けるのが大事。口が大きく開き始めたら要注意です。M先生仰るところの「下腹の引き上げ」がうまくいっていないと、口が開いてしまいます。体が内側から開いていないと、口の奥も開かないし、あごにも力が入ってしまいます。しかしこれは、いろんな筋肉の働きの総合的なバランスの問題なので、文章で説明するのは難しいですね。
ともかく、1日目の練習が終わり、2日目。前日に合わせ足りなかった曲をしっかりさらって、午後にはメサイアの練習に参加する方たちがやってきました。熊本市内から3名、北九州から1名。Uさんはご主人とうちの父と甥とともに一足先に下山し、Iさんと私は残って、午後3時間、夜2時間、3日目の朝2時間の集中練習に参加しました。これだけ丁寧に練習できる時間は貴重です。メンバーは皆、仕事や家庭で普段はストレスフルな生活ですから、こういう非日常の時間はリフレッシュにもなるようですし、M先生の的確で笑いの絶えない楽しいレッスンのお陰で、曲もどんどん仕上がっていきます。
3日目の午前中ですべての日程が終わり、皆で隣のレストランで昼食、そして解散。M先生と私はIさんの車に乗って南阿蘇の仮設住宅を訪ね、その後、1ヵ月ぶりにカフェ・ティッペルに立ち寄りました。ティッペルのご主人ともお会いでき、ティータイムを楽しんで下界に帰ってきました。明日から5月、コンサートまで秒読みです。あと3日、体力と気力を養いながらしっかり調整したいと思います。




復興祈念

2018年04月16日 | 日記
熊本地震の本震から2年目の今日、県立劇場で復興祈念の「第九」のコンサートがありました。
今回の目玉として、4楽章で歌詞の日本語訳を舞台上方のスクリーンに映し出すことになり、主催者からの依頼で、その字幕作りのお手伝いをさせて頂きました。
この字幕は、ありきたりの対訳ではありません。今回合唱に参加されたドクターSが主になって、パワーポイントで字幕を作成し、曲の進行に合わせてリアルタイムで映し出していくという画期的なものでした。二重フーガのところなどは、歌詞が重層的に入り乱れるのですが、それもパワーポイントの操作で表現するのです。そのパソコン操作は音楽教師のM氏が担当して下さることになりました。
主催者とドクターSと私で最初の打ち合わせをした時、今回のミッションに対するドクターSの熱意に圧倒されました。既に第9に関する文献を何冊も渉猟しておられ、パワポ字幕のイメージも明確に持っていらっしゃる様子でした。私にできることは、シラーの詩をできるだけわかりやすく正確に日本語に移し替えるお手伝いでした。かつて市民講座でドイツ語を教えていた頃、この「歓喜に寄す」の詩をテキストにしたことがあったので、その時の資料を提供し、ドクターSの下訳を推敲したり注解をつけたり、いわばスーパーヴァイザー的な役回りをさせて頂きました。ドクターSは本業に加えて合唱の練習もあり、週末は学会やオーケストラ(ヴァイオリン奏者でもあるのです)の演奏会などで飛び回りながら、夜中やスキマ時間に精力的に作業に取り組まれ、さらに連日連夜Facebookの字幕チームで検討を重ね、素晴らしい字幕ができあがりました。私の仕事はそこまででしたが、ドクターSとM氏は、その後パソコン操作の練習も重ねられたようです。字幕チームのグループメッセンジャーは今朝まで動き続けていました。
満を持して迎えた今日。県知事や熊本市長もご来場で、1800人の客席は満席です。最初にホール全体で追悼の黙祷を捧げた時から、地震で亡くなられた方たちが一緒にこの場にいることを肌で感じてぐっと胸が詰まりました。そして演奏開始。ものの数秒も経たないうちに、全身が興奮で包まれました。指揮者の凄さもさることながら、稀に見るオーケストラの主体性、自発性!やや語弊のある言い方ですが、全員がソリストのような気魄に満ち、全部の楽器が一つ一つずべて識別できるような聴こえ方です。細部に至るまでくっきりとした、少しもダレたところのない、きびきびと緊密で有機的な音楽の流れ。いつもは眠くなる3楽章も、音楽の密度が桁違いで、寝るどころではありません。そしていよいよ4楽章。オケもソリストも合唱もすべてが素晴らしく、このままずっと続いてほしいと思うほど陶酔しました。歓喜の雄叫びの裡に演奏が終わり、客席はブラボーと拍手の嵐。オケも合唱団も晴れやかな表情で、カーテンコールが何度も続きました。
実は、今日のような少し走り気味の演奏スタイルは、私自身の本来の好みではありません。心臓が弱いせいか(笑)、普段はもう少しゆったりした、包容力のある演奏に惹かれるのです。しかし今回の演奏は、そんなこだわりを一切吹き飛ばすほど説得力に満ちていました。きっと、第九という作品に込められた祈りと、熊本のためにと尽力してくださった指揮者や演奏者の皆さんの祈りが照応しあい、響きあったからでしょう。
たった一つ惜しむらくは、字幕が良く見えなかったことです。照明が当たってスクリーンが明るくなりすぎたため、字がぼやけてしまったのです。私はS席で一番見やすい席でしたが、そこからでも残念ながらあまりよく読めませんでした。あれだけの力作だっただけに、返す返すも残念です(-_-;)

今日の演奏は、21日(土)と22日(日)の19:00から21:00までJ-COMチャンネル(熊本、福岡、北九州、下関)で、22日(日)と29日(日)の19:00から21:00までJ-COMテレビ(全国)で放送されるそうです。お時間がおありでしたら、どうぞご覧下さい。

緑のそよ風コンサート

2018年04月05日 | 日記
やっとスキャナーが復活したので、5月4日のコンサートのチラシを添付します。
各人各様の持ち味を発揮して、皆様に楽しんで頂けるコンサートにしたいと思っています。
久し振りにドイツリートを7曲(うち2曲はIさんとの二重唱)歌います。日本歌曲も8曲(うち4曲はIさんとの二重唱)。
ラテン系のお好きなIさんは、日本歌曲やドイツリートの他に、今回はスペイン歌曲も歌われます。これもまた魅力的。
いつもお世話になっているピアノのUさんが冒頭に弾かれる「トロイメライ」は、滋味あふれる絶品です。
本番まで1ヵ月を切りました。連休中でご不在の方も多いと思いますが、お時間がおありの皆様、ご来聴をお待ちしています。