一周忌

2021年06月18日 | 日記
昨年6月16日に旅立たれた哲学者のT先生の一周忌に合わせて、かつてT先生のもとで机を並べたFさんと一緒にご自宅にお参りに伺いました。奥様やお嬢様ご一家に歓待して頂き、久し振りに夜更けまで語り合いました。
奥様が繰り返し仰っていたのは、「決して他人のことをとやかく言わない人でした」ということ。その度量の大きさには私たちも常々感服していました。「僕は嫌いな人がいないんだよね」とよく仰っていましたが、本当に誰に対しても分け隔てなくオープンマインドで、小さなお子さんからも慕われ、国内外のビッグネームからも敬愛される稀有な方でした。
ある時、T先生門下の学生さんの結婚式に招かれて歌ったことがありました。その時T先生に「李佳さんはセミみたいだね」と言われ、思わず「セミですか?」と訊き返す私に「セミの前世は歌手だった、ってプラトンが言っているんだよ」と仰り、さすがに哲学者の発想は違うなあと感じ入った次第。
懐かしい思い出の数々とともに、「死者は死者として生きている」というT先生の名言が髣髴と蘇ったひとときでした。

忘れ形見

2021年06月01日 | 日記
ドイツで結婚し、生まれたばかりのベトナム人の女の子を養子にして、ほどなく病に倒れ、闘病の甲斐なく7年前に世を去ったくみさんをご記憶でしょうか。このブログにも何度か書きましたし、生前は彼女自身がコメント欄に登場したこともありました。
くみさんの埋葬式に参列した時のことも以前詳しくご報告しましたが、それ以来毎年1回、くみさんの合唱仲間だったハニーさんから、くみさんの忘れ形見のエリカちゃんの写真が送られてきます。併せて、エリカちゃんの1年間のあゆみがメールで詳しく報告されてきます。ハニーさんはエリカちゃんを本当の孫のように可愛がって下さっていて、出張の多いパパに代わってご夫婦でエリカちゃんを慈しみ育てて下さっています。
早いもので、エリカちゃんももう10歳。ドイツの小学校は4年制で、9月の新年度からギムナジウムに進学するそうです。ドイツは小学校卒業後のコースが3つに分かれていて、ギムナジウムは8年間の大学進学コースです。ハニーさんのメールには「エリカはずっと優等生です」と自慢げに書かれていました。
くみさんは樹木葬でしたので、ハニーさんは、エリカちゃんを時々ママの眠る「安息の森」に連れて行ってくれています。メールの最後に、「母の日にエリカを連れて「Kumis Baum(Kumiの木)」を訪ねました。エリカは今なおママと心のつながりを感じていて、よくママのことを話しています」と書かれていました。その時の写真がこれです。
いつかまた、成長したエリカちゃんに会いにドイツに行き、くみさんの木にもお参りしたいと思っています。

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