のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

スキップ/2004年冬公演

2006年08月29日 21時39分55秒 | 舞台(キャラメルボックス)
■ストーリ
 高校2年の一ノ瀬真理子(岡内美喜子)は、雨で運動会が
 中止になった日、自宅でレコードを聴きながら、
 ついうたた寝をしてしまう。
 目が覚めてみると、そこは知らない家。鏡に映った顔は、
 すっかり中年女性の顔。彼女は、42歳の高校教師
 「桜木真理子」(坂口理恵)になっていた。
 うたた寝の間に、25年という時を、「スキップ」して
 しまったのだ。初めて対面する夫と娘。近づいてくる新学期。
 真理子は自分の置かれた状況にとまどいながらも、
 42歳の女性としていきていく決心をする。

■感想 ☆☆☆☆☆
 大好きな北村薫さんの中でも最も好きな作品「スキップ」を
 キャラメルボックスが舞台化すると聞いたとき、
 神戸まで見に行こうか、真剣に悩んだ。結局、日程があわずに
 諦めたけれど日程さえあっていれば、絶対に見に行った。
 それぐらいわくわくした。

 しかし、DVDが発売されたときはほんの少し、
 購入をためらった。もしかして好きな作品なだけに
 がっかりするかもしれない。
 どんなにキャラメルボックスがすきでも、舞台と小説は
 まったく手法が異なる。2時間ですべてを収めようとするのには
 無理があるのかもしれない。
 キャラメルボックスでがっかりしたくない。

 そんな不安はまったくの杞憂だった。
 読む度に泣いてしまう小説は、何度見ても泣ける舞台になっていた。
 原作を大切にしていることが分かる舞台だった。

 昼寝から起きると、42歳になっていた17歳の真理子。
 戸惑いながらも現実から逃げずに正面から立ち向かう真理子。
 娘と向き合い、夫と歩み寄り、そして生徒たちに真摯に訴え
 かける。毅然としていようと、自分を奮い立たせながらも
 突然自分に重ねられた年齢に、女性として傷つき、
 親の死など容赦ない環境の変化に人として涙する。
 それでも真理子は逃げない。
 「嫌だからやってやろう」
 そう自分にはっぱをかけ、前に進む。
 必死に「今」を見つめる真理子と接し、徐々に変化していく
 真理子の家族と生徒たち。

 現実に存在している42歳の真理子と、真理子の身体の中に
 ワープしてきた17歳の真理子を坂口さんと岡内さんという
 ふたりの女優に演じさせて、表現させる手法が彼女の
 内面の葛藤を分かり易くしていて、彼女の切ない思いが
 ダイレクトに伝わってきた。
 また、真理子が高校の先生なので、登場人物が実に多い。
 生徒たちの役を一人で何人分も演じさせる。
 それなのに観客を混乱させることなく、話は進められていく。
 また、真理子の戸惑いや悲しみや
 現代への好奇心や興味など独白部分も複数の役者によって、
 交互に語られていく。
 朗読劇に近いスタイルなのは、きっと成井さんが原作者
 北村さんの言葉の使い方を大切にしたいと思ったからだろう。
 
 最後は17歳の真理子と42歳の真理子が舞台の中央に立ち
 しっかりと前を見つめて明日への決意を交互に、
 そして一緒に述べる場面で幕を閉じる。
 「昨日と言う日があったらしい」
 「明日という日があるらしい」
 「だが、私には今がある」

 北村薫さんの中でも最も北村さんらしい優しさが詰まった
 小説をここまでキャラメルらしさ全開の前向きな舞台に
 仕上げたキャラメルボックスの皆さんに感動。
 本当に何度見ても泣けます。


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
キャラメルボックス (市蔵)
2006-08-30 20:11:19
ファンの友達が何人かいますが、いまだに連れてってくれません…。



すごい良いらしいというイメージがこびりついたままで、いつか本物を見てみたいです。

前説も面白いらしいですね。



そして、『スキップ』は只今読書中でございます。。。

返信する
お返事☆ (のりぞう)
2006-08-31 00:12:00
■市蔵さん

 なんと!お好きな方がいるのでれば、ぜひ一度。

 めっさ笑って、めっさ泣きますよー!



 そして、スキップ。

 いつ読み終わりそうですかー?

 読み終わった後に、ぜひ感想聞かせてくださいね。

 私はこの作品、本当に大好きです。
返信する

コメントを投稿