のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

砂漠 / 伊坂幸太郎

2006年04月01日 02時39分16秒 | 読書歴
■ストーリ
 麻雀、合コン、バイト・・・普通のキャンパスライフを送りながら
 「その気になれば俺たちだって、何かできるんじゃないか」と考え
 もがく5人の学生たち。社会という「砂漠」に巣立つ前の
 「オアシス」で、あっという間に過ぎゆく日々を送る若者の姿を描く。

■感想 ☆☆☆
 感想を書いたつもりですっかり忘れていました。
 思い出させてくださったせぷさん、ありがとうです。
 書くのが義務、というわけではないけれど、
 やはり読んだ記憶や読んだときの感動はどこかに残しておきたい
 そう思うのです。

 というわけで同期に借りて読了した「砂漠」。
 自らの大学生活を思い出してこそばゆい気持ちになった。
 私はちっとも「学生」らしくない日々を過ごしていたけれど
 それでも、振り返ってみるとあの頃しかできなかったような
 贅沢な時間の過ごし方を満喫していて
 今以上に青臭いことを語り合って、
 箸が転げただけでおなかが痛くなるぐらい笑っていた。

 そんな今とは異なるテンションで過ごした日々を
 頭の片隅に思い出しながら、いたたまれない気持ちになりつつ読んだ。

 いかにもいそうな学生5人組。
 「どこにでもいそう」といわれることにやりきれなさを感じ
 あえてごく普通の大学生とは違うことを主張する。
 そんなどこまでもごく普通の大学生を生き生きと描いている。

 暖かく優しく友人を好きな人を見守る南。
 美人でかっこよくて自分の判断に迷いがない東堂。
 場を冷めた目で見ていると思わせて
 誰よりも仲間をいとしく思っている北村。
 大学時代をめいっぱい楽しもうときめ、
 飄々と過ごしつつも周囲に人をひきつける鳥口。

 そして、自分勝手に自分のおもうままに
 周囲の目を気にすることなく突き進む西嶋。

 私は彼のようなタイプの人が誰よりも苦手で
 苦々しい気持ちを抱きつつ、誰よりもその生き様を
 羨ましく見つめてしまう。

 苦々しいのは、羨ましいから。
 真似したいと思っても絶対にできないから。

 彼のように周囲の目を気にせず
 自分の思うように信じるままに生きるのは
 楽そうだけれども、きつい。
 周囲の人の思いに身をゆだねて
 目立たず嫌われずに生きていったほうが
 必要以上に傷つくこともなく、楽に生きられる。

 けれども西嶋は自分が傷つくことを恐れない。
 周囲が自分のことをどう思おうと
 毅然とした態度で胸をはれる人なのだ。
 だから私は彼がねたましくて、少し疎ましく思う。

 大学四年間の春夏秋冬に起こるひとつずつの事件。
 それぞれのエピソードは独立しているけれども
 すべてはきちんとつながっていて、
 いろんなところに伏線がはられていて
 最後の最後にちょっとした感動を味わえる。

 「砂漠にだって雪を降らせることはできる」

 超能力ってあるんじゃないか。
 心ならずもそう思ってしまう作品。  


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2 コメント

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あらー。 (エビマユ)
2006-04-05 00:47:33
ちょうどこの本の感想を書こうかなーと思っていたところでした。

(そのわりにまだ書いていませんが)



この人の、恋愛シーンを明確に描かないところが

なんだか可愛らしくてひそかに好きなんです。



西嶋は、登場時からサンボマスターの人の

イメージが取れませんでした。

風体といい、話口調といい・・・(笑)

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お返事☆ (のりぞう)
2006-04-08 18:13:01
■エビマユさん

  恋愛シーンについての考察、分かりますわ。

  でも、もう少し詳しく東堂と西嶋のことを知りたかったかも。

  ふたりの恋愛モードを目撃してみたい(笑)

  何度「・・・なんてことはない。」という文に騙されたことか(笑)



  サンボマスター。あー。確かに。

  暑苦しさとかはそういうイメージかも!

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