『エコロジカル・デモクラシー』を読み終えた!
この本の訳者 土肥真人先生に市役所でご講演いただいたとき、推薦された本であった。
購入したものの、イントロダクションと第1章まで読んで、そのままにしていた。
もっと早くに読み切っていればよかった。
というのも、この本こそ私の市政運営の柱「人を中心にしたマチづくり」の意味と方法を
指南してくれていたからだ。
この本は、都市計画家や建築家、デザイナーのための指南書であろう。
筆者のランドルフ・T・へスターは言う。
今までのマチづくり(デザイン、建築、都市計画、景観デザイン)は
人間のため、というよりむしろクルマのための都市づくりであった。
大きな道路は近隣街区を分断し、人々のつながりを断った。
都市デザインは、土地の地形や水の流れを十分には配慮せず、
自然を破壊し、生物多様性を少なくし野生生物を絶滅に追い込んでしまった。
また、用途地域などのゾーニングは職住を分離してしまい、混在による良さをなくし、
クルマがあることで街は外へと分散し拡張し、核を失わせた。
つまり、人が集まって買い物したり,出逢っておしゃべりしたり、思考したり憩ったりするセンター(中心)を
衰退させてしまった。
また、技術の進歩は専門化を進め、それが土地らしさを無視したデザインを広め、
都市はどこも同じ顔になってしまった(標準化)。
さらに、いつも、もっと速くもっと速く、と生きるリズムが急かされていく。
そうやって、いつしか生態系と人々のコミュニティ(そして支えあう力)をも壊してしまったのだ、と。
でもそれでは、人間の本当の幸せは得られないのだ、と。
だから、これからのマチづくりは、今までの傾向を改めて、
エコロジー(環境・自然・生態系)とデモクラシー(民主主義)を同時に果たすデザイン
を追求していくべきなのだ、と。
・土地の特長、成り立ち、歴史を重んじ、水の流れを尊重し、
また、職住を混在させ、多様性を増やし、
人々の集まる中心を確保し、分散させず、密度を大切にして、その分、緑やスペースも街中に設け、街の範囲を明確にし、科学も動員して、一方で人間を疎外せず、
スペースを扱うだけでなくペースも意識し、歩くペースを大切に、
自然を保全し、創造し、野生生物が移動できるほどの自然の連なりを実現し、
生物や生態系の中の一員としての人間のためのマチづくり(デザイン)を成し遂げよう。
・その際には、必ず人々を参加させ、情報を公正に開示し、議論し、汗かいて、住民がこの街を誇り、特別なものだと思えるように、そして、ゆくゆくは責任ある担い手となるように市民参画で進めていこう。そうやってコミュニティ(人々が絆を感じ、支えう 力と場)を復活しよう。 それが、民主主義を育む、ということなのだ。
そう主張しているのである。
また、どんなデザイン、建築、都市計画、景観デザインのマチなのかによって、
人々がエコロジーとデモクラシーを推進するかしないかを左右してしまう、
そんな力もマチづくりにはあるのだ! と鼓舞しているのである。
ごちゃまぜ の 持つ魅力
全体として500ページ。翻訳の難解さはあるものの
エコロジーとデモクラシーを推進するマチをつくるための15の指針が示されていて、
市民参画によるマチづくりの具体例がたくさん挙げられて、ワクワクして読めた。
理想の都市像については、混在とごちゃまぜを良しとし、さらに、その都市圏で自給自足できるような地域づくりを良しとしている点で、私の好きなジェイン・ジェイコブズにも似ていた。
マチに自然を、憩いを公共交通を、クルマのためのマチづくりから人のためのミチ、マチづくりへ、は私の気持ちそのものだった。
また、頻繁に紹介される具体例の1つ、野生生物が移動できる自然の回廊をつくる、などは、
私の選挙公約の1つ「オオムラサキの回廊づくり」そのままだった。
市内にいた オオムラサキ
ふりかえってみれば 私の市政運営の柱は
「動け!所沢」「紡ごう! 絆」=「人と人の絆」「自然との調和・共生」
「健幸長寿 思わず歩きたくなるステキなマチ」
「善きふるさと所沢 を未来の子どもたちに」
「脱炭素」「人を中心にしたマチづくり」
そして、
「あなたが主役! 輝くマチへ」
と変遷してきた。
「善きふるさと」とは何か? の質問に対しても
「困った人がいれば手を差し伸べる、大人たちが人間力を発揮して自由な中にも支え合い、
子どもたちは緑豊かな自然の中でそれを知らず知らずに感じている、そんな善きふるさとになればいい」
と述べてきた。
市政運営の念頭には、
常に自然があり、支えあいがあり、継承を意識して、
最終的には、みんなの大切なモノ・コト(コモンズ)を守るには
もっと言うと私たちのマチや幸せを守るには市民参画(お客様カラ主体ヘ)が必要だ、
と考えるに至ったのであった。公約 - ガッツ藤本(藤本正人)のきょうのつぶやき (goo.ne.jp)
だから、近年は様々な機会にあえて市民参画の機会を組み込むように企図してきた。
(マチごとゼロカーボン市民会議、脱炭素 経営ネットワーク会議、カルチャーパークを考える未来会議、Uー29な所沢人との会議、東町を考える会、こぶし団地を考える会・・・)
今こそ市民参画、今こそ民主主義。
そうやってコミュニティを復活し、主体となって考え動く人々、支えあいのマチをつくっていこう。
自然やみどりはそのために有効である。 マチづくりを通してそれができる。
マチづくりの出番である。
そんな筆者の考えが、
市政運営を通して私が思うようになったこととそのまま一致していたのでありました。
わが意を得たり! 『エコロジカルデモクラシー』