YS Journal アメリカからの雑感

政治、経済、手当たり次第、そしてゴルフ

Ron Paul

2010-11-11 10:22:51 | アメリカ政治
Ron Paul は、テキサス州選出の下院議員で、過去に大統領選に出馬した事もある。共和党ではあるのだが、リバタリアンとして知られている。(オッフィシャルサイト )(息子も今回の中間選挙で、ケンタッキー州で上院議員に当選した。息子は、リバタリアンではなく、護憲保守と自らの立場を説明している)

極論すれば、何処までも小さい政府が良いという考えの人である。数ヶ月前に買ってまだ読んでいない彼の本 "End The Fed" も、FED の廃止をも訴えているので、筋金入りのリバタリアンであろう。

保守よりも保守的と考えられいるのだが、彼の大きな特徴は、「アメリカは世界の警察であってはならない」という外交面での考え方であろう。

彼は国防費を聖域扱いしながら、小さい政府を唱える共和党の保守を「大きな政府指向の保守」と酷評している。テロ、不法移民問題等で、アメリカの国防がどの範囲までを言うのか、曖昧になってきているのだが、財政規律や積み上がる債務を考えると確かに国防費だけを聖域とは出来ないだろう。アメリカの国防費は、予算の20%($750B(約60兆円))もあるので、小さな政府を掲げる限り、否応無く軍事費削減は避けて通れない。

保守派の中の楽観的な一派は、軍事費を効率化等で削減しつつ、現在の軍事ブレゼンスを維持出来ると見通しを立てているが、全体の見直しをしない限り、意味の有る軍事費削減は実現しないであろう。では、財政再建に向けてアメリカが軍事削減、戦略的な大転換をするのかどうかが今後の大きな問題となるだろう。すでに、巨大な国の借金は国防問題であると言われている。(軍事戦略と予算の関係が逆の様な気もするが、それだけ財政問題が大きいとも言える)

「アメリカは世界の警察であってはならない」ばかりではなく、「アメリカは他国の国家建設に手を出すべきではない」という信念も持っている。

アメリカ国民は、果てしない政府の支出を明らかに嫌っているし、もう10年にもなろうとしているアフガン戦争にもあきあきしている。そして、イラクだけではなく、アフガンも既に軍事行動というより、国家建設という段階に来ている事を認識しつつある。

オバマ大統領も昨年暮れに、2011年7月からアフガンからの引き上げを打ち上げている。現時点では、期限付きアフガン撤退が賢明とは思えないが、アメリカが自国自衛中心でぐっと退却し、世界では核兵器の拡散を許さないという大胆な戦略変化を行えば、整合性が取れる様な気もする。

考えておかなければならないのは、アメリカの国防費削減の本格的な議論が始まれば、日本への負担要求が強くなるだろうという事である。現在は「思いやり予算」なんて呑気な事を言っているが、日本に選択肢がない以上、本格的な協力をするしかないだろう。

日本では、アメリカが戦略上沖縄を手放さないという感覚があるようだが、財政面ではもう限界に来ている事をキリンと考えておくべきだろう。未に「アメリカ軍産複合体が」などと間抜けな事を言っている人は、アメリカの「ア」の字も知らない人であろう。中国とかロシアの出方ばかり気にしているが、肝心の虎の威の虎が、そっぽを向く可能性がある事も考えておく必要があるのではないか。

アメリカの財政への危機感がこんな早くに国防論議に波及するとのは意外であったが、小さな政府、アメリカ例外主義、財政規律という方向性からみて、Ron Paul の人気が外交面でもでてくる事は充分に考えられる。


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