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グリーニー著「暗殺者の復讐」ではグレイマンがイスラエル首相暗殺を阻止しようと死闘する

2017年10月20日 | 斜読

book451 暗殺者の復讐 マーク・グリーニー 早川書房 2014
グレイマンシリーズの4冊目、1冊目は暗殺者グレイマン、2冊目が暗殺者の鎮魂、3冊目が暗殺者の正義、そして暗殺者の復讐と続いている。暗殺者の復讐の原題はDead Eye(ジェントリーを裏切る工作員の通称)だが、訳者の意訳はいずれも的を射ていると思う。「鎮魂」は殺された命の恩人の家族を助ける物語、「正義」は暗殺を依頼された大統領を法に裁かせ人民を救おうとする展開である。この本では、読み始めでは誰に対する復讐かは分からないが、次第にDead Eyeが怪しいと気づく。

 通称グレイマン=人目に付かない男であるコートランド・ジェントリーはもともとCIAのメンバーで特殊活動部に属していたが、突然、CIAから目撃次第射殺の指令が出た。ジェントリーは、射殺指令を解除してもらい、アメリカでのびのびと暮らしたいと願っているが、1冊目~3冊目では射殺指令は謎のままであり、CIAの目を逃れながら、暗殺の仕事で報酬を得ていた。

 法治社会では暗殺は悪であるが、報道ではテロがしばしば起きているし、暗殺も決して少なくない。グレイマンシリーズを読むと、ジェントリーはp123・・愛するもののため戦うのであり、p170・・邪悪な世界の正義の味方なのであり、暗殺により悪を倒すからp174・・善を行っている、ことになるそうだ。

 この本では、ロシア・マフィアのなかでも危険な大組織の大親分グレゴリー・シドレンコ、通称シドが厳重な警護を敷いている館に、ジェントリーがマイクロライト・プレーン・・小型のグライダーのような飛行機・・に乗って乗り込み、シドを撃ち殺すところから始まる。その様子は、民間企業タウンゼンド・ガヴァメント・サーヴィスの無人機UAVで監視されていた。p166・・タウンゼンドはもとCIA局員による民間企業で、1800年代から政府の汚れ仕事を請け負っていて、今回はジェントリーを見つけ次第射殺の仕事を受けていた。ジェントリーがシドの暗殺を引き受けたことを知り、シドの館を無人機で監視していて、ジェントリーを発見したのである。社長のリーランド・バビットは、ただちにタウンゼンドの独行工作員ラッセル・ウィトロック、通称デッドアイにジェントリーの隠れ家を探すよう指示を出す一方、ニックをリーダーとする8名の暗殺チームを派遣することにした。

 シドの館から逃げ出したジェントリーは、エストニアの首都タリンで隠れ家となるホテルを見つけた。ルーマニアのブカレストでジェントリー捜しの指示を受けた独行工作員ウィトロック=デッドアイは、ジェントリーの資料を熟知していて、ジェントリーの行動が予測でき、タリンに向かってジェントリーのホテルを見つけ出し、真下の部屋にチェックインする。
 ここで不可思議なことが起きる。デッドアイはジェントリーを訪ね、味方だと告げる。そして暗殺チームが襲撃してくる様子をスマホで見せる。さらには襲撃してきた暗殺チームに向かってデッドロックが銃を撃った。ジェントリーはデッドロックとともに暗殺チームを倒したあと、デッドアイと分かれ、ストックホルムに逃れる。

 もう一組、イスラエルの情報機関モサドと特殊作戦課メツァダが登場する。モサド+メツァダは、イスラエル首相への脅威を事前にキャッチし、脅威を取り除くのが任務である。話が飛ぶが、デッドアイはジェントリーになりすまし、ベイルートでイランの情報・国家保安省VEVAKの情報部員と接触してイスラエル首相暗殺を持ちかける。その情報がモサドに流れた。モサドの目標決定官であるルースは、CIAにジェントリーの資料開示を要望したところ、タウンゼンドに案内され、そこで顔認識ソフトウェアがジェントリーらしい男をストックホルムで発見したことを知る。ルースとメンバーはストックホルムに飛び、UAVでジェントリーを見つけ出す。
 一方、デッドアイはイランのVEVAKを信用させるため、ジェントリーのふりをして、南フランスで映画監督ザリーニの暗殺を実行する。

 タウンゼンドは新たな襲撃隊ジャンパー・チームをストックホルムに送る。モサドとジャンパーチームがジェントリーに迫っていることを知ったデッドロックは、ジェントリーが殺されてしまうとイスラエル首相暗殺のカラクリがばれてしまうため、ジェントリーを助けようとストックホルムに向かう。
 ルースは、ストックホルムでジェントリーを密かに監視していた。だから、南フランスでのザリーニ暗殺犯はジェントリーではないと確信する。タウンゼンドの襲撃隊ジャンパーチームもデッドアイの不審な行動に疑問を持つが、命令がジェントリー射殺なのでデッドアイを放免する。

 デッドアイを半ば信じて連絡を取り合っていたジェントリーも、ようやくデッドアイがモサド+メツァダの注意をジェントリーに向けさせ、そのすきにイスラエル首相を暗殺しようとしているらしいことに気づき始めた。ジェントリーはルースと接触し、イスラエル首相が両親の墓参りのためブリュッセルに向かうことを知る。

 ウィットロック=デッドアイはジェントリーになりすましてイスラエル首相の暗殺しようとし、モサド+メツァダが首相暗殺を阻止しようとする、モサドの目標決定官ルースはジェントリーは真の悪人ではないと確信するが、タウンゼンドの襲撃チームがジェントリーを見つけ次第射殺しようとする、ジェントリーは自分になりすましたデッドアイの首相暗殺を阻止しようとする、三つ巴、四つ巴の緊迫した展開は読者を離さない。結末は?、誰のための復讐か?、ジェントリーは無事逃げ切ったのか?。

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