日々是好日 in Canada

写真と日記で綴る、日々のこと。

【インド5】デリーの駅で

2009-11-04 | 【旅行記】インド2009
インドへ行った一番の目的は、北のヒマラヤ地方に行くことでした。なので、デリーで数日過ごした後、夜9時発の寝台列車に乗って早速北を目指しました。

が、しかし。駅に到着してみると、3時間10分遅れるとのアナウンス。その頃には嫌でも嘘つきインド人に慣れていたため、「ほんとか!?その10分って」と咄嗟に心の中で疑いにかかる。(笑
最終的には5時間半遅れで、深夜2時すぎにやっと出発しました。「3時間」すら嘘じゃないの!

出発までの間、夜遅くに荷物背負って観光して歩くわけにもいかず、夫も私も旅のお供に持っていた本があったので、駅でそのまま時間をつぶすことにしました。
デリーの駅は、構内もホームも、たくさんの人で溢れています。といっても東京駅のようなのでは全然なく、歩く隙間を探すのが大変なくらい、みんな雑魚寝状態。布を敷いて寝ている人もいれば、コンクリートの地面にそのまま横たわっている子供もいます。夜とはいえまだまだむせかえるような蒸し暑さのインド。湿気を含んだなまぬるい重たい空気が肌にまとわりつき、バックパックを背負っているので汗も絶えず、そしてこの足元に広がる人の波。私たちもここで待つしかないか・・・と二人とも諦めて、荷物をおろして座れる場所と、そして肝心のトイレを探しに駅構内をうろうろ。
でも、どこを探してもトイレが見あたらず、いやそんなはずはないと何人かに聞いてみると、待合室の中にあると教えてくれました。ホームからそんなに遠くないところに待合室らしきものをみつけて中に入ってみると、広々としていてベンチもあり、天井にはいくつものファンがあって涼しく、壁には携帯電話用の充電コーナーまで!入り口には係員らしい人が座っていて、おそらく利用者の名前と切符をチェックしているらしい雰囲気でした。入っていいんだろうかと躊躇していると、外国人だからなのか、ただ英語が話せないからなのか、どうぞ中へと手招きされたので記帳もせずそのまま中へ入り、空いているベンチで電車待ちをさせてもらうことができました。

肌にまとわりついていた蒸し暑さから開放され、重いバックパックをやっと下ろして座ることができ、ふぅ、と安心の一息。座り心地のいい体勢をみつけて本を隣に置き、まずは腹ごしらえ!と屋台で買ってきたサモサを食べながら部屋を見渡して、そこでやっと気がつきました。
ドア一枚隔てただけで、こんなにも違う世界・・・。
同じ待合室には、見るからに裕福そうなインド人家族がいました。息子たちは3人とも、ヨーロッパの各国へ留学中で現在帰省中、お母さんや娘さんのサリーはとっても綺麗でした。英語ももちろん上手で、これから家族旅行でマナリという町へ行くところだと教えてくれました。行き先が一緒だったのでその後も会話が弾み、家族が持ってきた夕食を一緒にご馳走になったのですが、まるでどこかのレストランから配達してもらったんではないかという豪勢さ。

待合室にはホーム側に窓もついているのですが、すりガラスになっていて外の様子は見えません。もちろん、薄暗く蒸し暑いホームで所狭しと寝ている人たちにも、窓の中では広すぎる待合室で楽しく夕食を食べる家族がいて子供が走り回っているのは見えません。
チャイを買おうと外にある売店へ行き、ついでにクッキーを買おうとしてふと見ると、私の周りには数人のインド人が立っていて、何も言わずその細い痩せた手を差し出してきます。

待合室にいるインド人の数に比べたら、構内からホームまで埋め尽くす人の数は比べ物になりません。トイレだって待合室の中にしかないので、ホームの人たちは用を足しに線路の向こうの暗闇に消えていきます。人に埋もれて座っている子供は、待合室でクッキーを食べている子供は、この差を見て何を思って育ってゆくんだろう。

本やメディアなどから知っていたはずの貧富の格差。駅での経験のみならず、インドの至る所で自分の目でその差を見るたび、何かが重く腹の底に落ちてゆくような気持ちでした。


前日に、難関を突破して(笑)駅のチケットセンターで切符を購入したときのこと。「シムラ行きの切符を買いたい」と窓口で話すと、言われた金額が思っていたものよりもかなり高い。いえ、それより安いもので、と頼むこと数回。私たちが買った切符のクラスは、ほぼ一番低いクラスだよ!?ほんとにいいの?と係員のおじさんはかなり吃驚していました。こっちのほうこそ、クラスが5~6種類にも別れているなんて吃驚でした。特急だとかならともかく、同じ列車で車両が違うだけなのに。
私たちはもっと生のインドを見たいというのと、それから節約というのもあって、安いのに乗ろうと決めていたのでした。安いといっても、ちゃんと寝台になっていてファンもあり、指定席になっていてトイレもついてます。実際に乗ってみると、確かに周りにはワーキングクラスの裕福とはいえないインド人たち。でも楽しい旅になりました。次回の日記では、その寝台列車でのことを書こうと思います!


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。