日々是好日 in Canada

写真と日記で綴る、日々のこと。

Donnacona

2005-05-30 | ケベックシティの風景
モントリオールからケベックシティへ来る時、必ず立ち寄る町があります。ケベックシティの旧市街周辺にはないTim Horton'sのコーヒーを買う為なのですが、「ドナコナ」というちょっと不思議な感じの名前の町です。その名前の由来を、散歩の途中に発見しました。
先日、ケベックシティ旧市街近くのセントローレンス川沿いからセントチャールズ川の方までぐるっと続いている遊歩道を夫と2人で歩きました。活気に満ちた雰囲気の市街地とはちょっと違って、川沿いに静かできれいな庭や公園がつづき、自然が溢れていました。
Cartier-Brebeuf Parkという所に、いくつかモニュメントがあります。その場所は、フランス人探検家のジャック・カルティエが1535年、2回目の探検で辿り着き、冬越えをした場所だとか。そこのモニュメントのひとつによると、その当時この近辺は「ストラダコナ」という地名でドナコナはそこのリーダーだったそうです。カルティエはこの時、ドナコナの息子2人をフランスに連れて帰ったそうです。
冬越えはかなり厳しかったようで、カルティエのクルー20人が壊血病で亡くなりました。その時、ドナコナの息子が「Annedda」というヒマラヤスギを煎じた飲み物を彼らに与えて、カルティエと残りのクルーは助かったそうです。(公園にあるParks Canadaの施設で試飲できました。)

ケベックというとやはり歴史的にも「フランス系」につい注目しがちですが、そのずっと前からここに住んでいるイロコイ族の人達がいて、彼らの歴史があることを今更ながら思い出したのでした。

Mont-Sainte-Anne

2005-05-29 | カナダでアウトドア
土曜日にケベックシティから東へ車で40分程のところにある、Mont-Sainte-Anne自然公園に行って来ました。BC州のかの有名なウィスラーのような雰囲気でスキーコースの目の前に小さなビレッジがあり、それぞれの建物にはウィンターオリンピック開催地の名前が書いてありました。もちろん、「NAGANO」も。
冬はスキー・スノーボードを楽しむ人達で賑わうようですが、今の時期はマウンテンバイクが盛んなようです。私達はハイキング目的だった為、地図をみつつトレイル入り口を探していました。すると、パークレンジャーのおじさんがフランス語訛りの英語で「あんた達はハイキングかい?」と話しかけてきました。
私達が考えていたコースを説明すると、「ありゃー、そこは難しくてあんまり行く人がいないから、まだ道案内の看板をとりつけてないんだよなぁー!」と頭をぽりぽり。しばらくして、「よしわかった!どうせやんなきゃいけない事だし、あんた達の先回りをして案内をたてておくよ!ま、ゆっくりおいで!」と笑いながら立ち去りました。

この日は霧も出ていて、案内がないと迷いかねません。大丈夫かなぁ・・・とどきどきしていましたが、道が分かりにくい場所には、それぞれきちんと真新しい矢印の看板と、たくさんの長靴の足跡がありました。それを見るたび、私達に追いつかれない様にと頑張るおじさんの姿が思い浮かびます。
なかなかきつい登りでしたが、おじさんのおかげで予定通りのトレイルを楽しみました。

聖アンヌ大聖堂

2005-05-28 | ケベックシティの風景
ケベックシティから138号線を北東へおよそ30分。川沿いののどかな田舎町といった風景の中で、マクドナルドの向こう側にいきなり荘厳な教会が見えてきます。
そういえば、モントリオールで有名なノートルダム聖堂の中でミニチュアの教会を見かけ、友人にケベックシティの近くに本物があるよ、と教えてもらった事がありました。Sainte Anne de Beaupre 大聖堂は静かな存在感のある美しい建物でした。

駐車場近くにあった案内板によると、聖アンヌとはキリストの祖母にあたる方だとか!「Sainte Anne」という名前はよく道の名前やお店の名前等でみかけていたので、ちょっとびっくりです。モントリオールにはキリストの父にあたる聖ジョセフの礼拝堂もありました。キリストの家族といえば聖母マリアしか思い浮かばない私・・・。ひとつ勉強になりました。

今回の目的は更に北東にある、その名も同じ Mont Sainte Anne で山登りだった為、夫も私も泥だらけの靴にフリースベスト、トレッキングパンツという姿。なんとなく申し訳ない気がして中へは入りませんでした。これも案内を読んだだけですが、中は200枚のステンドグラスが使われており、天井には聖アンヌの生涯が描かれているそうです。
仏教徒の私でも、今度は是非ゆっくり訪れてみたい場所です。

天気予報

2005-05-27 | 日記-ケベックシティ
ここ最近のケベックシティは肌寒く、とてももうすぐ6月とは思えません。ものすごい強風の日もあり、古風な我が家のアパートでは電話が繋がらなくなる程です。お昼頃に外を歩いている時、自分の息が白いのにはさすがにびっくりしました。
ますます夏が待ち遠しくなり、最近はかかさず天気予報をチェックするようになりました。そして、気付いたことがひとつ。「晴れ」と「曇り」と「雨」がひとつになったマークをカナダでは良く使います。確かにお天気自体が、雨が降ってきたかと思えばお日さまがみえてきたり、1日の中でもころころと変わります。でも、3つ一緒じゃぁ、どれかひとつは当たりますよねぇ!
先週は日曜日から晴れると言っていましたが、今朝のニュースでは来週火曜辺りからとか。街角の花壇に植えられたチューリップも、「まだ寒い」と咲く一歩手前で止まったままです。それでも、曇り空に負けずに鮮やかな緑の葉をつけた木々が、冬じゃなくで夏が来るよ、と教えてくれます。

おさがりミシン

2005-05-26 | 日記-ケベックシティ
夫のお母さんが、友達が捨てるつもりだったというミシンを譲り受けて、トロントからはるばるケベックシティまで持ってきてくれました。「捨てるつもりだった」というだけあって、想像以上に懐かしい姿。かろうじて電動ではありますが、小学校の時に学校で使っていた足踏みミシンによく似たスタイルです。
やっと組み立てて、動くかな・・・と膝の所にあるスイッチをくぃっと押してみると、勢いよくダダダダーと動き始めました。自分でスイッチを押したくせに、「びっくりするじゃないのッ」とミシンに八つ当り。

何を作ろうかな・・・と辺りを見渡すと、そういえばカーテンが長すぎることを思い出しました。一直線だし、失敗する可能性が少ないだろう(=ゼロではない)ということで、第1号はカーテンに決まりです。寸法を測って、布地に印をつけて、ミシンに記憶を辿りながら糸をセッティング。よし!縫うぞーと気持ちも高まった所で、針がないことに気付きました。残念。
明日は100円ショップでお買物をしなくては。

長い道のり

2005-05-25 | 言語のこと
アパートのある通りに、ちょっと隠れ家っぽいカフェがあります。いつもたくさんの人で賑わっているサンジャン通り沿いのカフェに比べると、とても静かで落ち着いています。コーヒーの美味しい香りにつられてちらっと窓から中を覗くと、読書したり勉強したり、ノートパソコンで仕事をしている人もいます。

フランス語の練習に、といい訳を見つけて、コーヒーを買うことにしました。でも小心者なので、家で一度フランス語の復習です!えーと、「ボンジュール」で始まって、「ウン キャフェ、スィルヴプレ?」でいいかな?砂糖とミルクは・・・と、一通りの文章をあたまの中に詰め込んで、準備万端、カフェへ向かいました。目標は、一度も英語を使わないこと。

さわやかな笑顔のお姉さんに順調にコーヒーを注文し、お姉さんがコーヒーを作り始めたのをみてちょっと満足。私、フランス語で話したゾ!と心の中でひとり喜んでいたら、お姉さんがコーヒーメーカーの向こう側から話しかけてきました。復習した単語がひとつも入っていない、わけのわからない長い文章・・・。しばらく固まってしまいましたが、パニック状態の脳みそをなんとか働かせて頑張りました。最後が「イシ?」で終わってたような・・・。「イシ」は「ここ」だから・・・持ち帰りなのかここで飲むのか聞いているんだ!とわかった瞬間、つい咄嗟に「To go, please!」
あ、しまった、という顔をしていたのでしょうか。お姉さんは笑いが止まりませんでした。



古風なアパート

2005-05-23 | 日記-ケベックシティ
モントリオールで家族一同集まった後、夫の両親がケベックシティに2日間だけ遊びに来てくれました。
私達のアパートを見てびっくりしてはいけないと思い、夫と2人で築150年であること、床も天井も中心に向かって傾いていること、部屋が正確な四角ではなく台形のようになっていること、パイプがたまにごぼごぼと騒ぎ出すこと、上の住人が歩くと私達のアパートを歩いているかのように聞こえること、暖炉は使えないこと・・・できるだけの情報を2人に話しました。
いよいよケベックシティに到着し、少しどきどきしながら両親をアパートの中へ案内すると、しばらく眺めた後に、いいアパートね、とにっこり笑ってくれました。・・・ほっ。
その時、「quaint」という言葉を使っていて、わからなかったので後で辞書で調べました。日本語に訳すと「古風で趣のある」だとか、「古風で味のある」という意味だそうです。この言葉が存在すること自体が、なかなか趣があって素敵です。辞書には括弧書きで、「風変わりな」とも書いてあったのが少しだけ気になりますが・・・。

夜はチュニジア料理のお店で、来週誕生日を迎える私の為に乾杯をしてくれました。持ち込んだワインと、美味しい料理を頂きながら素敵な時間を過ごしました。

モントリオールの桜

2005-05-22 | 日記-ケベックシティ
この週末は3連休ということもあり、またトロントやバンクーバーから親戚が集まるとの事でモントリオールへ帰ってきました。3週間ぶりのモントリオールはすっかり春めいていて、久しぶりに会う友達も春らしい装いです。残念なことに天気予報ははずれ、そろそろ6月とは思えないほどの寒さでしたが、時折見かける桜がとてもきれいでした。
聞いたところによるとカナダでは、祝日であるビクトリア・ディは花を植える日だとか。どうりで、先週安い野菜を探しに市場へ行ったら、隅から隅まで花しか売っていませんでした。
雨降りのモントリオールの朝、それぞれの家の前には色とりどりの花が少し寒そうに咲いていました。


ケベックの山

2005-05-20 | カナダでアウトドア
大自然が自慢のカナダとはいえ、バンクーバーと違ってあまり山登りやキャンプは楽しめないだろうなぁ・・・、と最初から諦めていた気持ちがありました。飛行機からの眺めも車に乗っていても、カナダ東部は感動的な程どこまでも平ら。バンクーバーのビルの隙間からのぞく雪を被った山々や、ふたつの山脈がきれいに並んだ岩手が、時折恋しくなります。
でも、日差しも暖かくなり緑の匂いがしてくると、夫も私もいつのまにかケベックの地図を広げていました。すると、ありました!大自然!勝手に決め付けていた自分が恥ずかしくなりました。

早速先週末に、ケベックシティに一番近いジャックカルティエ州立公園が丁度オープンとの事で行って来ました。ケベックシティから北に約40km、曇り空でたまに小雨がぱらつきましたが、とてもよく整備されている公園で、快適にキャンプを楽しみました。久しぶりに使ったテントの懐かしい匂い、久しぶりすぎてちょっと重く感じるブーツ、いろいろな事にいちいち嬉しさを感じます。

BC州との大きな違いは、ハイキングトレイルのレベルはもちろんですが、トレイル上で見かける動物達の「落し物」です。BC州ではたまにブルーベリー入りの熊のモノをみかけるので、ベアスプレーは必ず持ち歩いていました。ケベックでは、ムースのころころとしたモノがなんと数歩ごとにありました。ここは俺達のテリトリーだ、と言わんばかりです。そんなにたくさんいるのなら、ムース見てみたいな、とちらっと考えましたが、足跡がかなり地面深く沈んでいるのを見てその体格を想像し、ちょっとだけ恐くなりました。

ショ!

2005-05-18 | 言語のこと
アパートから歩いて2,3分の所に小さなコインランドリーがあります。私はそこで毎週お洗濯をしています。先日、シーツを乾燥機に入れようともがいていたところ、丁度そこにいたおばあさんがフランス語で何やら話しかけてきました。私をじっとみつめて、早口でまくしたてます。悔しいことに私のフランス語はまだまだ初級。何を言っているのかさっぱりわかりません!濡れたシーツを両腕に抱えて、うーん・・・と困っていると、有難いことに同じくそこに居合わせたお兄さんが笑顔で話しかけてきてくれました。だがしかし、またしてもフランス語!うむむ・・・。
そう、ここはフランス文化を誇り高く継承するケベック。ここで英語に甘んじてはいけないと、つたないフランス語で「ごめんなさい。フランス語が話せません。」となんとか伝えると、2人の身振り手振り合戦が始まったのでした!
どうやら、私の使おうとしていた乾燥機は調子が悪いらしく、「こっちのが性能がいいよ!」と教えてくれていたらしいのです。私が理解したことに、ふたりもちょっぴり満足そうな笑顔。これで一件落着、と思いきや、おばあさんが今度は稼動中の乾燥機に手の平を当てて「ショ!」「ショ!」・・・あ、わかった!確かショは「熱い」という意味!
そうしてシーツが乾くのを待つ間、3人でのプチフランス語レッスンとなりました。
出来る限りの笑顔で「メルシー!」を連発するしかない自分のフランス語にもどかしさを感じると同時に、いい街だなぁ、と暖かく感じました。

南部鉄器発見!

2005-05-17 | ケベックシティの風景
ケベックシティに引っ越してからは旦那様のお仕事が5時に終わることもあり、夕食後によくふたりで散歩にでかけます。5月ともなると夜8時頃まで明るく、つい時間を忘れて歩きまわります。その為、せっかく夕飯を食べたのに、帰宅頃にはまたお腹がぐー!2度目の夕飯を食べるのも日課になりつつあります・・・。

先日のお散歩の途中、小さな健康食品店を発見。バンクーバーやモントリオールと違って、日本食は手に入らないだろうと覚悟してきたのですが、北米でも定着してきた豆腐がありそうな気配を感じ、早速中へ。予感通り豆腐(しかも絹ごし豆腐まで!)をみつけてはしゃいでいる私に、「みそもあるよー」と夫の声。日本食は、北米の健康ブームと一緒に人気爆発中のようです。

店の片隅に鉄の急須をみつけたので、夫に「岩手はね、鉄器が有名なんだよ。南部鉄器って言って・・・」と自慢気に話し始めたところ、ついていた札にはなんと「盛岡南部鉄器」と文字が!さらに上を見上げると、たくさんの鉄の風鈴!もちろんぶらさがっている紙には、石川啄木の詩。岩手出身の私には、この驚きの出会いがとてもうれしかったです。

城塞都市ケベックシティ

2005-05-14 | 日記-ケベックシティ
4月末にケベックシティに引っ越してきてから、もう2週間が経とうとしています。モントリオールから車で3時間半、なんとか荷物をバンに積めこんで、辿り着いたのは夜の11時でした。小雨がぱらつき、少し肌寒かったのですが、それでもこの小さな街は活気づいていました。荷物をなんとか部屋まで運び、引越し終了は12時半。近くのアイリッシュバーで、一安心の乾杯!

この2週間は、アパートの掃除と荷物の整理であっという間に過ぎ去りました。築150年のアパートはさすがに床は傾き暖炉は使えないものの、2日かけてせっせと掃除をしてこぎれいになった部屋は、なんとも愛嬌のあるアパートに仕上がりました。たまにごぼごぼと騒ぎ出す水のパイプが少し気になりますが・・・。

このケベックシティは、北米で唯一城壁に囲まれた街、そして北米でのフランス文化発祥の地として、ユネスコの世界遺産に指定されています。この美しい街での日常を、少しずつ綴っていきたいと思います。