やおよろずの神々の棲む国でⅡ

〝世界に貢献する誇りある日本″の実現を願いつつ、生きること、ことば、子育て、政治・経済などについて考えつづけます。

【中学歴史教科書8社を比べる】200 ⒅ 日朝関係(戦後)の描き方 19 <ⅳ 講和条約 4:まとめと考察>

2017年06月03日 | 中学歴史教科書8社を比べる(h28-令和2年度使用)

③ まとめと考察

 

1「海外領土の放棄」の記述の有無

 これは教えるべき重要なことだろう。したがって、

朝鮮に言及なし →△ 育鵬社、自由社、学び舎。

 

2「朝鮮に言及した部分」の内容について

・各社それぞれ個性があるが、上記3社以外は《日本による朝鮮独立の承認》を明記している →〇 東京書籍、帝国書院、教育出版、日本文教、清水書院。

日本文教・・・《請求権の完全かつ最終的な解決》を明記しているのはこの社だけであり、朝鮮(韓国)人などからの「補償を求める訴訟がたびたび起」きている現状を考えれば、とてもタイムリーで有用な記述だ。

 しかし、それにつづく文章に大きな問題(=欺瞞)がある。

 

≪欺瞞1≫ 「戦争被害者個人に対する補償は別であるとして、」

 誰が「別である」と主張しているか書いていない(≒主語ぬけ)。もちろん、日本は「最終的解決」と言っており、主張しているのは、主に朝鮮人(と中国人)の一部。 

 しかし、ほとんどの中学生は、日本文教の文章から、《その後の日本と世界が「別だ」と認めている》と解釈するだろう。

 

≪欺瞞2≫ 「日本だけでなくアメリカでも、補償を求める訴訟がたびたび起こされています。

 この文にも、誰が訴訟を起こしているのか書いていない(≒主語ぬけ)。起こしているのは上記と同じ。

 中学生がこの文を読むと、

① 中学生全員が、《日本とアメリカでたびたび訴訟が起こされている》と読み取るだろうが、実際は、「慰安婦」や「徴用工」に関する訴訟は主に韓国内起こされている

 要するに”一部の重要な事実を隠すという嘘”と言える。

② 未熟な中学生が、《日本人やアメリカ人が(も)…》と誤読する可能性がある。

 だから、学問的に誠実に(=あたりまえに)書くのなら、《韓国人の慰安婦や徴用工本人、またはその遺族などが…》と、”誰が(主語)”をはっきりと示さなければいけない。

 要するに、”《その行為の行為者という、重要な事実》を隠す嘘”と言える。

・以上の2点により →× 日本文教

 

 

※”教科書の文章”に、”うっかりまちがい”や、”単純なまちがい”は(ほとんど)ない。なぜなら、

①著者や編集者だけでなく、文科省の教科書検定担当者が何重にもチェックしているし、

②4年ごとの大改訂の際には、内容が「歴史(過去のできごと)」であるがゆえに、他教科のような”現状の変化”などによる大きな変更はほとんどないから、細部まで目がいきとどくし、

③教師や生徒の多くが精読するので、まちがいはすぐみつかり、”毎年の小改訂”ですぐ訂正できるようになっている。

 実際、(めったにないことだが、《画期的な新学説の登場》や、《文科省の学習指導要領や検定基準の修正や新設》があったときの内容変更の部分を除けば、)過去の改訂ではほとんど変わっていない。

 

 つまり、歴史教科書に、”あいまいな”、あるいは”一部が不正確な”、あるいは”重要な一部が欠けている” 記述があれば、それは(ほとんど)”特定の意図がある印象操作”(=広い意味の嘘の一種)と考えていいようだ。

 (たとえ、一部の編集者や検定担当者がうっかりして気づかなかったとしても、あるいは、なんら違和感なく読み過ごしたとしても、つまり、この一部の出版関係者たちには”特定の意図”がなかったにしても、《結果としての、”出版・公表された教科書:表現》が、”印象操作”であると認定・解釈されるのはなんらおかしなことではない。
 なぜなら、”印象操作”を意図する者は、”一部の関係者たち”であったり、”隠れた関係者たち”であったり、さらに言えば、”偏向した言説や虚偽の歴史認識を流布した者たち”であったりするからだ。

 

~次回から「日韓基本条約」~ 

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