最近このブログに来られた方も多いようなので、ちょっと先まで自分の総合的な予測を再度繰り返しておきたい。
(超長期・数年単位)
少なくとも2015年くらいまでは今回のサブプライム問題に端を発した経済問題は継続し、米国の経済悪化状態が続くと考えている。1920年代の大恐慌時も、非常に長いスパンで経済悪化が継続したのである。株価はさらに大きく下落する。また、基本はデフレであって、インフレは来ないと見る。したがって、その間は、基本的には、円高であり、ドル円は100円を超えることは今後10年はないだろう。ドル単体では、経済危機的な状況からドル高(ユーロドル安)になる時期もあるが、徐々にドル安が進み、円高とドル安が合体する時期には、ドル円60円近くまでの低下もあり得るかもしれない。サイクル的には2011年がその年だとされている。その前後で、強烈なドル安が進み、金が暴騰する時があるだろう。その時の金はオンス数千ドルになると考えている。その後2020年頃には米国は完全回復すると思うが、従来のような覇権体制は弱まり、BRICsの力が強くなると思う。日本はほどほどの地位を確保するが、サイクル的には長期円安と考えられるので、また十年単位の先では円キャリートレードが盛んになるだろう。どこかで豪ドル円のロングなどを確保するのがいいだろう。
(長期・一年単位)
米国の景気はFRBの猛烈なマネーのバラマキによって確実に浮上している。あくまでも上澄み部分ではあるが、株価の上昇はそれを反映したものである。まだ全面的に米国経済が崩れる兆候はない(春山氏ブログ参照)。失業者その他も減少率は減ってきている。マネーサプライ(M1)も表面的には増加だ。したがって来年の春ぐらいまでは全面的ドル安は来ないだろう。米国債も安定した動きになるはずだ。来春には現在よりもNY株価は上がっていてもおかしくない。
春以降はいよいよ米国経済が本格的におかしくなってきて、再度ドル円下降で、そのままどんどんと暴落に向かうだろう。そこからは株や商品や為替や債券は独自の動きとなっていき、きわめて読みにくい動きとなると見ている。
(中期・数ヶ月単位)
ただし、経済の先行き不安や、ここまでの利益確定の利食いの動きなどから、11月から年末にかけて一度大きく株価の調整があり、そのためにリスク回避の動きから、ドル高・円高・商品安(金も含めて)となると考えている。ドル円も一度大きく下降するだろう。ポジションとしてはその場合は当然ドル円ショートだ。ただ、上に書いたようにまだ本格的な崩壊ではなく、大きな調整と考えるので、ドル円も80円前後となったらロングに転じたい。春先には現在と同じ92円レベルには戻ると思う。商品も再度上昇し、今度こそ、金も1200ドル以上になると考える。
(短期・数週間単位)
ここからの下げを前にして、不安と期待とが交錯しているのがファンダメンタル的な位置づけだ。したがって、ドル円のボラティリティがここ数年になく上がっている。MT4のテクニカル指標でもドル円の日足のボラティリティを計測するものが異常に高い値を示している。テクニカルでは、日足が明確に下げを示し、週足は中立かやや上を示している。したがって来週は、当面やや下げて88円台をうかがってから逆に91円から上をも試すといったボラの大きい相場となりそうだ。ポジション量には注意していきたい。自分としては、ロング主体で、両建てでショートもおりまぜてどちらの動きにも対処していきたい。ユーロドルについては、もうしばらく上をうかがってから、下旬に下落に転じるという見方である。
なお短期の動きの次のメドは13日(金)あたりからと見ている。ここでドル円が下がると思われるが、サイクル系の読みの弱点で、天底が逆のパターンがある。そのばあいは、13日あたりから上げという可能性もあるので注意したい。また、ドル円の下降についてもドル高(ユーロドル安)からと考えているが、万一のフェイントでドル安(ユーロドル高)からということも絶対にないではない。このあたり、ひじょうに難しい相場になっているので、万全の注意が必要だ。自分の予測と異なった動きの場合の対処も十分に事前に練っておきたい。
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既出エントリーで日米中の軍事力格差を考えたのですが、物価や兵士数、中国の隠れ予算を考えると恐らく1:20:10くらいだと思います。今すぐ米軍撤退だと中国の人海戦術で、日本は敗戦、沖縄の中国属領化の可能性もあります。弱体化した今のアメリカには、中国とまともに戦う財力は考えられません。この愚見について、詳しい方からの訂正があれば幸いです。
で、先生の長期予測ですが、既出の1930年NYダウチャートの動きをほぼ再現すると思われます。
http://www.stockcharts.com/charts/historical/djia19201940.html
先月米の貨幣指数0.85、失業率10.2%から米経済の長期停滞は凡そ推測されます。8月ですが食糧配給も既に3600万人を突破しましたし。
先日の天体月のエントリーを見て例の道長の和歌を思い出しました。米経済の衰退と思わず重ねてしまいます。満月もいつかは欠ける。当時の道長も現代の米経済関係者も奢り高ぶるあまり、この自然の摂理を忘れていたのかもしれません。人間心理とは浅はかなものなのでしょう。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%97%A4%E5%8E%9F%E9%81%93%E9%95%B7#.E3.81.93.E3.81.AE.E4.B8.96.E3.82.92.E3.81.B0
何事も全盛期は長く続かないと自らをも戒めるしだいです。
の一人として、ご挨拶を申しあげます
いつも素敵で、的確なお話をありがとうございます。
やまはさんのおかげで、私自身の世界情勢や相場への視野も広まっていき、とても嬉しく感じております。
これからもおからだを大切に、頑張ってくださいませ。
心より応援させて頂きます
失礼します
「先生」はどうぞナシにしてください。笑
食料配給もすごいですね。かなり長期の経済悪化は避けられないと考えています。そこに大きな波動を描きながら落ち込むイメージです。
アルトさん、
よくいらっしゃいました。温かいお言葉ありがとうございます。なにぶん素人のFXトレーダーなので至りませんが、いろいろお教えください。あくまでトレードで益を得るためのブログですので。^^
なお、記事内の末尾に「サイクル系の読みの弱点」について触れられていましたが、その点を踏まえやまは様はどう対策し、修正しているのかが気になります。
「サイクル論者」たちの短期予測については読み間違えた際、容易に修正が利きにくいと思うからです。
とにかくこの度はありがとうございました。
サイクルは日柄の読み違いと、天底逆の二つのリスクがあります。特に後者が大きな問題となりますが、他の市場の動きを見て修正するのが効率がいいです。例えば、株価が下がるという日柄と、ユーロドルが上がるという日柄が一致しないとすればどちらかがたいてい誤りになります。日柄の読み違いについては、起点を自分なりに変えてみるとかで修正したり、まったく無視したりとか、いろいろです。とにかく、なるべく総合的に考えるようにしています。
他のサイクル論者とは異なり、やまは様の強みは
為替以外の市場にも目を向け、実際に取引している
ところにあるようですね。他市場との関係(連動性)から為替のサイクルの軌道修正を図るというのは私にとって目から鱗でした。今後ともよろしくお願いします。