年寄りの漬物歴史散歩

 東京つけもの史 政治経済に翻弄される
漬物という食品につながるエピソ-ド

嘉永3年10月末日の高野長英の死去時 事件処理の不可解さ

2022年01月10日 | 宅老のグチ
ここ2年ほどコロナで、遠出が出来ず、今また自宅蟄居で昔集めた資料を点検した。そこで気が付いたのは、今まで千葉県万歳村の関流和算家花香安精のことを中心に調べていたのですが、どうやら間違いで安精の子で花香恭法という人を調べる必要があると気が付いた。
 花香恭法という人が途中で名前を変えいてその時期が解かればと思っています。恭というのは内田五観(弥太郎)の最初の名前です。どうも和算をしない花香家の親族は恭という名前をつけないと感じています。
 勝海舟の評伝を書いた勝部真長さんの本を読んでいたら、嘉永3年10月ころ、高野長英が勝海舟のところを不意に訪問して、高野の筆跡のある本を献上したという。この本は国会図書館の見解では本物のようです。
 多くの高野長英の評伝本は嘉永3年10月に勝海舟と長英が会ったことに言及していない。どうして危険を冒して長英が蘭学者になったばかり新進の勝海舟を訪問したか説明がつかないようだ。
 今思っているのは嘉永3年春に長崎からオランダ人が江戸参府し、老中の阿部正弘にオランダの軍事本を献上しました。カピタンの江戸参府という本から軍事本は特殊な軍人用語が多く、商取引の多い長崎通詞(立石得十郎)では理解しにくい翻訳となったようです。そこで幕府上層部は浦賀の通詞から、蕃社の獄で捕まった高野長英の捜索を再度はじめ、下曽根金三郎・内田弥太郎が潜伏先を密かに教えた気がします。当時の江戸では見事な翻訳本が出回り、長英生存説が出ていました。高野を生け捕りにし、幽閉し翻訳させ、適当な時期に釈放する計画だったと思われます。このこと(恩赦)情報が洩れ南町奉行配下の与力たちの怒りを買い、放火脱獄犯を生かすことは許せないと、高野の捕縛時の抵抗を理由として南町の与力たちは撲殺したと思います。それゆえ潜伏先の情報を提供した内田弥太郎等を処罰することは出来ない理由となります。内田弥太郎を処罰すると、上司の下曽根金三郎も監督不行き届きで処分され、下曽根の実父の筒井政憲も巻き添えとなります。さらにこの件をさばく江戸町奉行は10月末なので町奉行の当番は南で遠山影普(金さん)でした。北町奉行の時の遠山は老中水野忠邦と対立し、北町奉行を外されました。高野長英が冤罪だったことを最もよく知っている人物が南町奉行でその年の嘉永3年12月の終わり頃、遠山によって高野長英の逃亡援助者の判決がありました。多くの高野の評伝本はここで終わりなのですが福神漬を調べて行くうちに、奇妙な史料が見つかり調べると、内田弥太郎の指示で高野長英の隠れ家を世話した内田の親族の宮野信四郎は明治元年の暮に新島から恩赦で釈放されました。当時の流罪人はある程度経済的支援者がいないと島で亡くなるようでした。評伝本では御家断絶とありましたが実際は異なっていたと推測されます。また遠山によって流罪となった残りの3人のうち1名は獄死の記録があって、さらに2名の流人先が東京都の公文書館にも記録がなく、何か不自然さを感じます。
 花香家はこの秘密を隠すため、止む得ず内田五観に頼まれ浦賀奉行戸田伊豆守の庶子を受け入れたと思います。南町奉行遠山影普。留守居役筒井政憲、下曽根金三郎(筒井政憲の次男)などの嘉永3年10月末には浦賀の役人は江戸にいたようです。この花香家に養子に入った戸田伊豆守の庶子は後に自由民権運動福島事件の被告人の花香恭次郎で、彼の谷中墓地にある墓碑から旗本長井家の支援があったようです。墓碑では永井昌言、千葉県旭市飯岡町は長井家の知行地でさらに火付盗賊改の職(長井五右衛門昌純)を経験していました。この裁きの不可解さは記録がなく、記憶に残っていたようで、竹柴其水作初演・明治26年11月(東京・明治座) に上演された歌舞伎遠山桜天保日記にのあらすじが似ています。この時の遠山の金さんの刺青が出て、テレビで見る『この刺青に見覚えがないか』の始まりになります。戦後になってこの歌舞伎が2008年12月再演され、高野長英の放火脱獄の部分を筋書きから外したため台本作りが困難だったようです。
 竹柴其水はかなり取材したようで明治26年頃まで生きていた南町奉行与力たちから、上層部の噂を話したようです。

 このような推測から史料を点検すると、長英が殺害された後の話の出どころが内田弥太郎から出ていて、浦賀にペり―来航後から幕府政治から距離を置き、和算の教育者・暦の研究などをしていたようです。太陽暦・容器とか長さの基準は内田弥太郎の持っていたものが今の基準となっていて、国立科学博物館に升とかものさしが所蔵されているようです。つまりマンションの一坪は内田弥太郎から始まるのです。


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