百醜千拙草

何とかやっています

One-state solution (続)

2024-02-27 | Weblog
先週の2/19から昨日の2/26に渡って、国際司法裁判所(ICJ)では、イスラエルによるパレスティナの不法占領を訴えた裁判についてのヒアリングが行われ、各国の代表が意見陳述を行いました。初日の2/19は、パレスティナ代表が陳述を行い、二日目からは、前回のICJでイスラエルのジェノサイドに対して最初に声を上げた南アフリカから始まり、日本、アメリカを含む52か国が週末の二日を除く5日間にわたって意見を述べました。

イスラエルよりの国々のうち、カナダは陳述をドタキャン、イスラエルの無理な擁護をするぐらいなら黙っている方がマシだと判断したのでしょう。最初の10か国はほぼ一致して、イスラエルがパレスティナを不法に占拠していると陳述。一方、イスラエルを支援続けるアメリカやイギリスは、イスラエルには自衛の権利があり、直ちにガザとウエストバンクから撤退せよとICJが命令すべきではない、と擁護。この意見はもちろん少数派ですから、アメリカとイスラエルは少数の国を除く全世界を敵に回して、孤立しつつあるといってよいでしょう。また、実際にはアメリカ人の大多数はこのアメリカ政府のイスラエル支援に反対しており、イスラエルのユダヤ人でもかなりの人間はシオニスト政権を支持していないと思いますから、数で追い詰められているのはこれらの国で権力を握っているシオニスト ユダヤの方と言ってもよいでしょう。彼らには、虐殺を推し進めたおとに対して、いずれ神の鉄槌が下されるでしょうけれども、今現在、彼らによって大勢の罪のない子供たちが毎日殺されて行っているという現実を何とかしないといけません。

さて、このICJヒアリングの4日めには、外務省のTomohiro Mikanagi氏が日本を代表して、意見を述べました。最初に日本の立ち位置として、非暴力による解決を探るべきであると述べた上で、解決法はTwo-state solutionしかなく、パレスティナ国家とイスラエルが平和共存すべきだ、と述べました。この日本国としての見解は誰がどういうプロセスをもって承認したものかわかりませんが、私は非暴力による解決を望むという点では合意しますが、前回述べたように、Two-state solutionには同意できません。これは現実的に実現困難であって、有効な解決法とはなりえないと私は思っています。

しかしながら、Two-state solutionを支持するパキスタンは、陳述の中で、フランスはかつての植民地であるアルジェリアから、ウエストバンクのイスラエル入植者をこえる数のフランス人入植者を引き上げたことを指摘し、Two-state solutionの実施は可能であると議論しています。しかし、問題はウエストバンクやガザだけではなく、Two-state solutionが成り立つには、パレスティナ人が自立するだけの土地をイスラエルが彼らに返すことが必要でありかなりの困難が予想されますし、また、そもそも歴史的にTwo-state solutionは、イスラエルが拒否を続けて現在に至っており、現在のシオニスト政権が権力を握っている限りはあり得ないと思います。そして、シオニスト政権が終了すれば、そもそもTwo statesにして棲み分ける必要がないと私は思います。ですので、どう考えても解決法は一つしかなく、それはシオニスト政権を終わらせ、現在のイスラエルという国家を解体するではないかと感じます。

現代のイスラエルが支配するようになったパレスティナの地は、アメリカ合衆国の成り立ちを思い出させます。数百年前、アメリカに移民し、原住民を迫害して土地を奪っていったヨーロッパ人同じことをしているのが、パレスティナに無理やり入って行ってパレスティナ人を迫害して土地を奪ってきたイスラエルと言ってよいでしょう。始めたのが、清教徒であるかシオニスト ユダヤであるか、そして、迫害されているのがアメリカ原住民であるかパレスティナ人であるかという違いはあるにせよ、きわめて似通った構図です。アメリカが強くイスラエルを非難できない一つの理由はその国の成り立ちにもあるのかもしれません。そして、アメリカの開拓期と同じく、シオニスト政権のプロパガンダは一般のユダヤ人入植者にも広がっていったのでしょう。イスラム教徒はテロリストでユダヤ人を襲撃してくるから自衛のために彼らを殲滅しないといけない、ユダヤ人の発言を聞いていると、本気でそう考えているかのようです。ちょうど昔のアメリカ映画で、土地を奪いに侵入してくるヨーロッパ移民から土地と家族を守ろうと抵抗するアメリカ インディアンを、西部開拓に向かうヨーロッパ移民を襲撃する悪者として描いたのと同じように。移民側からみれば、開拓者かも知れませんけど、原住民からみれば侵略者に過ぎません。そんなことを、中学生の時に社会科の教師が話してくれたことを思い出しました。

世界的にイスラエル製品のボイコットが広がり、イスラエル経済は20%落ち込みました。国際的な催しへのイスラエルの参加拒否も検討され、ブラジルなどイスラエルと国交を断絶する国も出てきており、イスラエルは孤立しつつあります。「人質を奪還する」と言うネタニヤフは人質はそっちのけで、人質もろともガザを破壊することに血眼となっており、レバノン、シリアにまで攻撃範囲を広げて破壊行動をエスカレートさせています。このネタニヤフの行動にイスラエルの被害者も不満を募らせてきています。こうしてイスラエル国内の不満の蓄積が、諸悪の根源であるシオニスト政権を権力から引き摺り下ろすことにつながっていって欲しいと望んでいます。

また、バイデンもこのままイスラエルに加担しつづけて紛争が長引けば、再選は危ういと思っているでしょうから、なんとか収めようとするのではないかと思います。アメリカがイスラエル支持に消極的になり、イスラエル国内からネタニヤフ政権への反対運動が強くなって、ネタニヤフを失脚させることが停戦と将来の平和の実現への現実的な道筋であるのは間違いありません。それが実現するかどうかは、イスラエル国内の反シオニズム勢力に依存すると思います。
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One-state solution

2024-02-20 | Weblog
この数日、パレスティナのジェノサイドのニュースがNHKのヘッドラインから消えました。状況が収束しつつあるのではなく、逆にラファの150万人以上が皆殺しの危機にあるという最悪のタイミングで報道を抑制したことには、もちろん政治的な意図があるのでしょう。一方で、ウクライナ支援のニュースが大々的にニュースになっています。どう考えてもバランスがおかしいわけですが、日本がウクライナに58兆円の支援をするという、いつもの利権政治の自民党政府。「官民一体となって」支援する、という岸田の言葉にそれが露骨に現れています。58兆円の一部で能登半島地震の復興は劇的に進み、三食食べられない貧困家庭の子供は助かります。しかし、国民を支援したのでは組織票となって返ってこないので自民党はやらない。これは、ビッグ インターナショナル プロジェクトであるオリンピックや万博や途上国支援をぶち上げて、日本企業を間に挟むことで、組織票と企業献金を環流させる「国民の金を吸い上げて身内で山分けしつつ、裏金づくりに励むという」いつもの犯罪組織のスキームなのでしょう。アベはこのスキームを利用して、世界に金をばら撒いて各国首脳と記念撮影した絵をマスコミ宣伝させるということをやり続けた結果、よく見れば、北朝鮮拉致被害者は一人も帰ってこず、北方領土はロシアにトドメを刺され、金をばら撒いただけで、外交成果を何一つも挙げることができなかったこの男が、なぜか「外交のアベ」と呼ばれるようになったわけですが愚劣極まりないことです。

アメリカの言うことには逆らえない自民党政府の日本、ガザで最大の人道危機は報道してしまうと、イスラエルとアメリカを実質的に動かしていると言って良いシオニスト ユダヤの機嫌を損ねるし、人権運動、民主主義運動を刺激しかねない、ということでしょうか。一方、国家間の戦争は外交の失敗であると考えれば、ロシア-ウクライナ戦争の責任の多くはウクライナ自身にあると言わざるを得ないのに、この戦争の仕掛け人と言ってよいのが日本が絶対隷属しているアメリカであるがゆえに、日本は一方的にロシアを非難しウクライナの側に立つという本来なら第三国としてあり得ない対応を続けています。このウクライナ、パレスティナ問題における日本の立ち位置そのものが、日本は政治的には、独立国ではなくアメリカの傀儡国家であることを如実に示していると思います。

さて、四ヶ月余りにわたる今世紀最大のガザでの虐殺が我々の目の前で繰り広げられ、その映像が、世界に発信されています。いくらNHKが報道抑制をしようとも、日本の心ある市民は、これに声をあげようと運動を続けています。先週末には東京、大阪など各地で「ラファに手を出すな」デモが行われました。しかしながら、政府が国民の声を聞かない極東のアメリカの植民地でいくら声を上げてもスターバックスをボイコットしても、政府も外務省も一ミリも動きません。犠牲者の9割以上が一般市民でその半数が子供である、というこの狂気の残虐さを隠そうともしないネタニヤフの極右シオニスト政権に対する怒りと、それを止めることができないという絶望で、平静ではいられない日々がずっと続いています。

ICJの判決を一顧だにせず、さすがにこのままジェノサイドを完遂させてはまずいと思ったアメリカを含む西側諸国の停戦への呼びかけにも断固として拒否を表明し、150万人のパレスティナ人を「安全地帯」だと偽ってRafahへ追い込んだ上で総攻撃の決意を示した狂人ネタニヤフ。今世紀、最大の大虐殺、最悪の人類と人道に対する凶悪犯罪が我々の目の前で起こっています。これは国家間で行われる「戦争」ですらなく、イスラエルが弾圧、支配している民族を一方的に虐殺するジェノサイドであり国家によるテロです。

このガザへのイスラエル侵攻が始まった時、私は、最終的な落とし所として、かつてのTwo-state solution、つまり、パレスティナを二分割しユダヤ国家と独立したパレスティナ国家を作って棲み分ける方法しか解決法はないのではないかと考えていました。しかし、そもそもTwo-state solutionがはるか昔に提案されて以来、イスラエルはそれを受け入れず、強引な入植によって力ずくでパレスティナ人から土地や家を略奪し続けて、アグレッシブに領土を拡大してきて現在に至っており、彼らの目的は最初から明らかでした。そして、仮にTwo-state solutionにイスラエルが合意したところで、ここまで入植が進み既成事実が広がってしまった現状では、その履行は現実には不可能に近いと思われます。また、これまでのイスラエルのやり方からしても、イスラエルが誠実に約束を守ろうとする努力をするとは思えません。

そう考えると、結局は、実現性、安全性、効率性、すべての点で現実にはOne-state solutionしかないのだろうと思うようになりました。いわば、アメリカ合衆国のような統治体制に近い形で、複数の民族、人種が同じ土地に住み、お互いの権利を尊重し国家がそれを保障するという形しかないと思います。

そのために絶対的に必要なことは、現在のイスラエルのシオニスト政権と人種差別主義者から権力を剥奪し、ネタニヤフと軍指導部にしかるべき罰を与えること、そしてイスラエルという国家を解体し、新しい国家、例えば「新パレスティナ」とでいもいう国に再編することだと思います。それが実現できるかどうかは、大多数のイスラエルのユダヤ人がシオニスト政権のプロパガンダとシオニズムを拒否できかにかかっているわけです。現在、テル アビブでネタニヤフの罷免を求める大規模なデモが行われております。非シオニスト ユダヤ人は、目の前で行われている虐殺の結果、シオニストによる排他的なユダヤ国家ができたところで、それは国際社会を敵に回し、却って平和で豊かな生活を危険に晒す行いだと考えていると思われ、彼らの良心と良識がシオニスト政権を内部から打ち倒すことを私は望んでいます。

物理学者の藤永茂さんの1月のブログ記事に強く共感したので、リンクします。
、、、
ONE STATE SOLUTION
2024-01-04 21:18:43 | 日記
パレスチナ問題の解決は、イスラエルのユダヤ人と先住民のパレスチナ人が一緒に暮らす一つの国土が出来ることしかないと私は思います。その状態が出現しなければ、人間、あるいは人類の未来には絶望があるのみです。根源的な悪(Radical Evil)に人間世界の支配を許すということですから。、、、、
(中略)
これが今のイスラエルであるならば、この国は消滅しなければなりません。パレスチナの土地に遥かな昔から住んでいる先住民パレスチナ人とその土地に流れ着いたユダヤ人が一緒に住む一つの国が、一つの土地が出来なければなりません。五十年かかるか百年かかるか、実現には長い年月が必要でしょう。これは賭けではありません。もしこれが出来ないのであれば、人類は存在するに値しません。滅亡がその運命であって然るべきです。
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また、反シオニスト ユダヤ人であるHaim Bresheeth氏の動画を見つけました。彼も同様のことを述べています。

停戦だけでは不十分だ。シオニスト運動を解体しなければならない。


最後にジョン レノンの提案、究極のone-state solution.




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Mowing the lawn: Rafahへの攻撃

2024-02-13 | Weblog
先週、世界で話題になったのは、Tucker Carlsonがおこなったプーチンのインタビューでした。二時間以上にわたるインタビュー(というよりプーチンによるレクチャー)から、ロシアの歴史観を知るとともに、1990年のソ連崩壊時、冷戦の終結の条件であった「NATOは東進しない」という合意を、アメリカとNATOが故意に破ってきた結果が今回のウクライナへの侵攻に至っているという経緯を直接プーチンの口から聞けたことは良かったです。このタッカーのインタビューの様子に日本語字幕がついたものがTwitterにありましたので、貼り付けておきます。

タッカー カールソンはもともとアメリカ右翼/保守系メディアのFOX Newsのコメンテーターで、トランプ支持者でした。私はトランプという男の人間性が信用できないので、トランプを支持しようという気にはなりませんが、純粋に政治的なインパクトという点において、現在、次の大統領選で民主党がバイデン再選の方向、共和党のプライマリーで現在トランプが独走という状況をみると、ノーコンだが剛球を投げるピッチャーに期待するファンと同じく、現在の暗い世界情勢を打開する可能性があるのは、ヨボヨボで武器商人の手先のようなバイデンよりも、予測不能な行動をとるトランプの方だろうとは思います。もちろん、その予測不能さによって、現状をさらに悪い方向に向かわせる可能性も高いでしょう。いわば毒をもって毒を制すわけですが、そもそも毒であることを忘れてはなりません。アメリカがまともな良識のある国になるにはバーニー サンダースあたりが大統領になるしかないのでしょうが、強者の理論で動いているアメリカという国にあっては、その可能性は今のところありません。

さて、そのカールソンのプーチンへのインタビューは、プーチンから名指して批判されたボリス ジョンソンからだけでなく、欧米メインストリーム メディアから一斉にヒステリックな批判を受けました。その批判の多くは「プーチンは嘘を言っている」とか「プーチンの話を信用してはいけない」といった低レベルのものでした。多少でも冷戦終結時からの経過を知っている者にとっては、プーチンの話と欧米メディアの批判のどちらにより説得力があるのか比べるまでもありません。プーチンが自らアメリカとNATOとの関係、冷戦終結からウクライナに至るまでの経緯を述べた映像を世界に届けたという点でこのインタビューは意義が大きいと思います。

下でも引用するノーム チョムスキーはこのウクライナ-ロシア戦争が始まったころ、その帰趨について、二つのパターンしかない、つまりウクライナが完全に敗北するか(なぜならロシアの敗北はあり得ないから)か交渉による停戦のどちらかだ、と述べました。ウクライナを(軍事的に)支援するということは勝てない戦争を長引かせ、人々の犠牲を増やすことと引き換えにアメリカ軍産を儲けさせることです。そして、下のチョムスキーが述べているイスラエルの手口と、アメリカがロシアに対してやってきたことは強い相似性があると思わざるを得ません。

以下はカールソンのプーチンのインタビュー動画で、Twitterの投稿された日本語字幕付きのものとオリジナルのYoutube映像です。

さて、ガザでのイスラエルによるジェノサイドの話ですが、イスラエルはついにラファを攻撃すると宣言しました。もうこれは、悪魔の所業としか言いようがありません。エジプトとの国境付近のラファはガザのパレスティナ人の最後の避難所でした。イスラエルは最初はガザ北部のハマスを攻撃すると言って、動ける住民を南部へ誘導し、動けない病人や住人を無差別爆弾によって殺害、その後、最も人口の多かった北部の居住区を破壊し人が住めないようにしてから、まるで、南部へ避難した人々を狙うかのように南部へ攻撃を拡大し、そして、残った100万人以上の難民をラファに集めてから、ネタニヤフはラファを攻撃すると宣言したのです。

この汚いイスラエルのやり方は彼らの定石のようです。これは上に述べたように、プーチンが述べた西側のやり方、つまり約束を意図的に破ってNATOの東進を進め、マッチポンプの危機を煽り、戦争ビジネスで儲けてきたプロセスと類似しています。シオニスト政権のイスラエルの思惑はカネというよりはパレスティナの土地を盗み取り、そこからパレスティナ人を追い出し、完全に我がものとすることで、それに協力する欧米の思惑は、イスラエルを使って、中東での立場を有利にして戦争やオイルや物流でカネ儲けをすることであろうとは思われます。

このブログでも何度も取り上げたアメリカ構造言語学の祖でありアクティビストでもあるノーム チョムスキーの2018年のパレスティナ-イスラエルの問題についてのインタビューの切り抜き動画をTwitterで見つけました。六年前の彼の目には今日起こっていることが、手にとるように見えていたのでしょう。現在、ラファで行われていることはまさに最終段階の「芝刈り」です。

2018年3月18日、アリゾナ大学におけるノーム・チョムスキー博士とジョン・ハース教授との対談より。
2005年以降の標準手順:
- 停戦協定が成立する
-ハマスはそれに忠実に行動する
- イスラエルは違反する
- イスラエルは違反行為をエスカレートさせ、
- ハマスの反応を誘発することで次の段階、すなわち、イスラエルが呼ぶところの「芝刈り」へのお膳立てをする。
-… https://t.co/6NXFGpxbd4 pic.twitter.com/t9Preruykk
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宗教と科学 (1)

2024-02-06 | Weblog
今回、イスラエルはハマスを攻撃するという名目で、ガザのあらゆる場所に爆弾を落とし、住民を虐殺し、ビルを破壊してきました。しかし、やり方を見れば、ハマスをターゲットにしているのではなく、ガザ全体の破壊を目的としているのは明らかです。加えて、病院や大学、モスクといった建造物を破壊し、ガザにある文化拠点を消滅させ、水道施設にセメントを注入し生活インフラを潰し、かつ、空き家になったパレスティナ人民家には放火し、今回の攻撃が終わったとしても、元に住んでいた住民が戻って来れないようにしてきました。これはネタニヤフが主張してきた「自衛」と強弁できる行為ではなく、ガザの住民の土地を奪い、パレスティナ人殺し、ガザから追い出して、ガザをイスラエルが完全掌握するためにおこなっていることです。

建国以来、イスラエルはパレスティナ住民の土地の略奪と強引なユダヤ人入植によって力づくで領土を拡大してきました。今はハマスを口実に現在はガザのパレスティナ人の追放に主力を使っていますが、ファタハが治めるウエストバンクでもイスラエル人による力づくでの入植は続いてきました。そして、イスラエル入植者によるパレスティナのモスクや民家への放火は今に始まったことではありません。この犯罪をいくら訴えても、自治区を管轄するイスラエル政府は見て見ぬふりをし、イスラエル入植者の犯罪を見逃してきたのでした。

神が約束したパレスティナの土地をユダヤ人だけのものとする、そのシオニスト政権の目標に加えて、大掛かりで組織的なヘイト クライムとも言えるイスラエルのパレスティナへの仕打ちに、怒りが収まることはありません。しかし、これは、特に選民思想の強い差別主義者の支持を得るためにイスラエル政府がわざわざ煽っているという話もあるそうです。つまり、それだけシオニスト政権によるプロパガンダは成功しているということです。

そう思えば、日本でも人種差別やヘイトを撒き散らし、人々の顰蹙を買いつづける自民党女性議員がおります。これも、単なる炎上商法の売名行為ではなく、差別的で挑発的な言動を喜ぶ醜くも愚かな国民が一定数いて、自民党が彼らの票を掬い取るために意図的にやっている可能性もあると思われます。例えて言うなら、肥溜めに落ちている票を糞にまみれて拾いに行くようなものですかね。根性だけは立派と言えないこともないですし、どうも本人は糞まみれになるのを誇りにさえ思っているようですけど、その糞を世間に撒き散らかさないで欲しいものです。私なら、たった一度の人生を糞まみれで終わるなんてごめんですね。

話がそれました。イスラエルのこれまでのパレスティナ人の虐殺、略奪、弾圧を正当化するのは普通の知性を持っている人には困難です。気の滅入る話は、イスラエル人の6割はシオニスト政権が垂れ流すプロパガンダに洗脳され、イスラエル政府と軍がおこなっているジェノサイドは正しいこと(あるいは、やむをないこと)であると考えているということです。これは知識や知性の欠如ではなく、高学歴な人が、陰謀論にハマり込み、統一教会やオウムの「教義」を信じてしまうのと同じように、「信仰(という洗脳)」に係る厄介な問題ということです。それは論理的思考や方法的懐疑という手段を通じて理性によって物事を客観的に理解しようとする科学的アプローチと別次元の、いわば「宗教」の問題です。「神は正しく、神の命令に人はしたがうべきだ」という言説に科学的根拠はありません。しかし、信仰深い人はそれに疑義を挟みません。人は自分の信念というものにはしばしば無自覚なもので、その前提を疑ってみることは難しく、信念の部分に認識の差があった場合に両者が理解し合うのは困難です。信仰や感情は理性よりも強力であり、ゆえに、アメリカでは3割近くの人が、世界の成り立ちについて、客観的根拠はなくても「世界は神によって七日で創られた」と信じているのでしょう。ここにいわゆる「宗教と科学」の対立があります。感情と理性の対立と言っても良いかもしれません。

イスラエルにおいて、これらの国家ぐるみのプロパガンダで染まった人々を脱洗脳するのは非常に困難です。(ちなみに日本では、政権やスポンサー企業がメディアや新聞に圧力をかけて権力側に都合のよいように世論誘導している現状を打開すべく、昨年、弁護士など50人の市民グループが共同でテレビ朝日の株を5千万円取得し、株主総会で公平公正な報道をするような提案をしていく、とのニュース。日本において権力を監視すべきメディアが権力の手下となっているということを意識している国民は少数派ではないでしょうか)

自己利益のためにイスラエルのガザ虐殺を支援してきたのが欧米で、事実、ガザに落とされたイスラエルの大量の爆弾の半分はアメリカ製でした。二期目の大統領選に臨むバイデンにとって、武器商人の手先とか殺し屋とか「Butcher Biden」と呼ばれ続けるのは、さすがに避けたいと思ったのでしょう、ここへきて、パレスティナ人民家に放火したウエストバンクのイスラエル入植者に対して制裁することを表明。これまで散々、ガザのパレスティナ人虐殺に手を貸してきたくせに、ウエストバンクでは突然イスラエル批判。思うに、これまでで十分商売できたので、これからイスラエルのハードコア支持からはソフトに撤退しようとでも考えているのかもしれません。しかし、もうヨボヨボで支持も低いバイデン、二期目はいずれにしても無理でしょう。ま、いずれにしてもアメリカがパレスティナ自治区のイスラエルに制裁するとか、今回イエメンに激しく攻撃を加えるとか、ほんとにこの国は何様のつもりなのでしょうか。というか、ヨーロッパ帝国主義を引き継いだのが前世紀のアメリカであって、今だにアメリカはその原理で動いております。日本での統一教会同様、そのアメリカの中枢に手を突っ込んでいるのがシオニストであるのはよく知られている話です。統一教会が日本の政策に口を出しているのと同様、アメリカでは、イスラエル支持を表明しないとビジネスができないというような驚くべき州法が多くの州で存在します。全世界に数千万人いるといわれるユダヤ人の4割はアメリカに住んでおり、彼らはアメリカではマイノリティーでありながら、多くのユダヤ人が何らかの権力をもつ立場についておりますから、アメリカは第二のユダヤ国家と言っても誇張ではないかもしれません。

私がネタニヤフを狂人と呼ぶのは、彼の言動や行動が私や現代世界の多くの人々が共有する倫理観と全くそぐわないからですが、もともとユダヤ教の原点である旧約聖書の記述を文字通りに読めば、ネタニヤフは一種のカルトに洗脳された信者であると言えなくもないかもしれません。聖書にあるように、ユダヤ人はイスラエルの神によって選ばれた民族で、神の命令に従って、他民族を殺しその土地を奪うのが正しいことであると本気で信じているのかもしれません。

聖書のヨシュア記は、ヨルダン川を渡りパレスティナの地に入ったイスラエル人たちのパレスティナ侵略の話です。イスラエルの神は、パレスティナの原住民を殺戮し、略奪するように命じ、そして「イスラエル人にその戦争に勝たせてやったのは私で、イスラエル人が開いて作ったのではない土地や街や畑や食べ物を略奪によってイスラエル人に与えのは私であるから、私(主)を恐れ、イスラエル人の先祖が川の向こうやエジプトで使えた他の神々を除きさって私に支えなさい」と言うのです。

興味深いのはイスラエルの神は自分以外に神がいるということを認めているらしいことでしょう。しかるに、西洋の宗教は一神教であり、ただ一つの神を信じるわけですから、他の神をイスラエル人は認めず、よって、自分の神が唯一最高の神であり、その神に選ばれたのがイスラエル人であるというトートロジー的解釈によって、シオニストはカルト化したのではないかと想像します。

前置きを書いているあいだに長くなってしまいましたので、続きはまた今度にします。
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