百醜千拙草

何とかやっています

なんでこんなことをしているのだろう

2020-02-28 | Weblog
昨日はクレイジーな日で、ブログを書くヒマがありませんでした。複数の理由があるのですけど、忙しい時ほど、重要なことが重なって間が悪いことが多く起こるものです。

二ヶ月ほど前の会合で会った時に、知り合いから、今度グラントを一緒に出さない?と誘われて、いいよ、と受けたのでしたが、それからナシの礫だったのですが、二日前に突然、グラント書いているから、必要書類を送ってくれというメールが来ました。締め切りは三日後だというのです。普通なら、無理です、と断って終わりでしょうけど、なんだかんだで顔を合わせる機会もある人なので、しかたがないと他の仕事を一旦、ワキにおいてとりかかりました。問題は、ウチの事務が申請書をチェックして、正式な書類にサインをして、それを提出しないといけないという手続きです。普通はそれだけで数日かかるので、ウチでは締め切りの一週間前には書類を全部揃えて、コンピューターで書類をアップし、まずは講座長がそれを認可した上で事務に送るという複数段階のプロセスを経る必要もあります。締め切りが三日後で、申請書でさえ半分しかかけておらず、共同PIとなっている私はその研究内容でさえ、応募の三日前まで知らない、という状況は普通はあり得ないわけです。グラントは数打たなければ当たらないので、質よりも数、当たればもうけもの、という感じでとりあえず出すか、と思ったのでしょう。
その後、事務のチェックを経ないといけないと、書類をとにかく全て送ってくれるように連絡、夕方にそれがきて、事務に低頭平身のお願いを入れて、それから相手のバジェットにあわせてこちらの分のバジェットの計算と書類をだれもいない研究室でやっていたら、「なんでオレはこんなことをしているのだろう」と思わず呟いていました。翌日も秘書の人に無理をいって書類のチェックとアップロード、講座長に速攻で認可するようにメールし、書類が事務についたときには、事務の人は帰っていました。その間に以前から予定されていた訪問客の人の対応、緊急の実験、などなどが重なってしまったというわけで、気がつくと1日が終わっていたのでした。

現時点で、締め切りまであと4時間。書類はまだ届かず。果たして、グラントの行方は?
続きは来週?
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存在の根拠

2020-02-25 | Weblog
しばらく前に、臨床治験が始まるというニュースを聞いて、骨髄間葉系ステムセルとして数年前に発表されたMUSE細胞とREC細胞について書きました。基礎研究上の必要があってこれらの細胞のことを調べようと思ったのですけど、文献が乏しくて困っておりました。私はヒトではなくマウスの細胞を使っており、骨髄のいわゆるMSCのprecursorと考えられる細胞に興味があるのですけど、これらの細胞は数が非常に数が少ない上に、かつ特異的なマーカーに乏しいので分離、解析に苦労しています。そういう事情で他に使えるマーカーを探している間にMUSE細胞などに行き当たったわけですが、以前、書いた通り、この細胞については日本のオリジナルのグループを含む2,3のグループ以外から論文はなく、Knoepflerのブログの読者も7割以上がその存在を疑っているという状況でした。私も試しにマウスのMSCでやってみましたが、SSEA3陽性の細胞は見つかりませんでした。忠実に発表されているプロトコールを再現しようとしたわけではないので、なんとも言えませんけど、とにかくこの細胞の性質についての情報が乏しく、ナゾめいています。正式な論文以外に情報を更に探してみると、とある研究者の方が数年前に書いたブログに、MUSE細胞はある、と断言してあるサイトを見つけたので、MUSE細胞が存在するという根拠を教えて欲しい、とコメントしたら、返事がありました。この方は、ブログで、STAP細胞が存在しない根拠をかなり詳しく論理的に説明されていたので、MUSE細胞についても詳しいのだろうと考えたのですけど、その一行の返事をみると、どうも存在すると断言する根拠はないと考えたほうが良さそうです。

この細胞は発表されてからずいぶん経ちますけど、RNA-seqなどの基本的な遺伝子発現データも公開されておらず、細胞のcharacterizationも十分にされていないので、研究者の方でそれらしい細胞を分離することができなければ、ナゾのままです。多分、そういうこともあって独立した研究室からの論文が乏しいのでしょう。多少の期待もあったこともあり、マウスで我々が使った抗体では検出できなかったのでどうしようかと思っていましたが、この返事で背中を押されました。忘れて次に行くことにします。

しかし、このナゾの細胞、治験に使われるとされる細胞は誰が作って、誰がクオリティーチェックをしているのだろうとふと思いました。この辺の情報は公開されていないので。




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今週のデタラメ

2020-02-21 | Weblog
アベ政権、国民生活の向上と安全のために働くという本来の政府の役割を徹底的に無視、国民を搾取し危険にさらし、国民の財産を私物化し、おのれの権力の維持のために、法をねじ曲げ、都合の悪いことは隠蔽、捏造、改竄する。ヤクザそのもの。
「アベの人柄が信用できない」がダントツの内閣不支持の理由。叩けば埃どころか、ちょっと触っただけて異臭を放つヤバイものがどんどん出てくるのには驚きます。これほど徹底的に腐敗した政権はかつてなかったでしょう。その腐敗がどんどん広がっている。感染症専門家を入れて、もう焼却処分にするしかないと思います。

今週のアベ政権のデタラメ。

専門家を入れずに適当にやったコロナウイルス対策でクルーズ船でウイルスを蔓延させ、市中に広げ、検査をさせないように誘導して感染状況を隠蔽。世界中から非難を受ける。CNN、BBCをはじめとする欧米メディアが取り上げ、政府の対策の杜撰さを厳しく糾弾。

違法閣議決定、法務省を脅して、アベお抱え検事長、黒川検事長の定年延長を違法に決めた。

「桜」で自分に都合の悪い回答をしたANAコンチネンタルホテルを恫喝。ホテル責任者を自民党本部に呼びつけて圧力をかけた様子。おそらく、「これからも、アベに都合の悪い真実を言うようなら、国税庁が入って脱税事件をでっち上げる」とでも言われたのでしょうな。(想像ですけど。「首相が自分の口から言えないから代わって言う」と、税金で不倫旅行の中年エロ オヤジにでも言われたのですかね。これも想像ですけど)

ヤクザそのものの政権、マトモな人間が見当たらない。いい加減にして欲しい。ヤクザに対して紳士的な対応は限界があります。
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二つのアダージョ

2020-02-18 | Weblog
なかなかプログレスが遅くてヤキモキしていますけど、一方で、半年前からぼんやり考えていたアイデアがだんだんと具体的になってきたので多少気分はよくなってきました。アイデアがものになるかどうかは、これからの実験結果にかかっているのでまだまだ先は長いですが、焦らずに考え続けることにします。これまでの研究とはちょっと異なる世界なので、昔の生化学の教科書的な知識を学びなおすことから始めています。

私がこれまで生物を考える時は、遺伝子、細胞、組織というレベルだったのですけど、今回はそのレベルの下の生体低分子の化学反応のレベルまで対象を広げる必要が出てきて、慌てて勉強することになったという次第です。化学や生化学の基礎知識は高校や大学の時からほとんど進歩していないどころか、むしろ劇的に後退しており、自分の無知に愕然としております。しかし、毎日、ちょっとずつ勉強している間に多少、楽しくなってきました。

勉強のお供のBGMに引っ張り出したのが、バッハが編曲または作曲したアダージョ、二編。クラッシックの中でも最も美しい曲トップテンに入るのではないでしょうか。

一つ目は、ご存知、アレッサンドロ・マルチェッロ作曲のオーボエ協奏曲第二楽章のアダージョ。バッハは鍵盤曲に編曲。
グールドの演奏で (第二楽章 アダージョ 2:22-)

さらに、チェロ曲に編曲。こういう情緒的な曲は弦楽器がいいですね。
Mandozzi/J.S. Bach - Adagio aus BWV 974

二つ目もチェロ、夭折の天才チェリスト、ジャクリーヌ デュプレの演奏で、
JS Bach / Jacqueline du Pré, 1962: Adagio, from the Toccata in C, BWV 564 

この曲はブッソーニがピアノに編曲しています。ホロヴィッツで。
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ステムセルビジネス

2020-02-14 | Weblog
思わぬ事情でステムセル系の論文を読むことが増えました。私は別にステムセル研究者ではないのですけど、何となくこの分野の端の方に接触するようになりました。それにしても、成人の組織特異的ステムセルは怪しいものが多いですな。とにかく論文数が多すぎてとてもカバーしきれないのと、教科書的な部分でさえ、実験室や実験系によって知見がなかなか一致しないようで、私といえば、目標を見失った大海の真ん中でとにかく溺れないようにあがいているというような有様です。普通、マウスの遺伝学的実験系だと比較的はっきりした結論が得られることが多いのですけど、ステムセル業界は、マウスの系を使った実験でもスッキリしないものが多いし、まして、培養細胞系であれば、一体、何を信じればいいのか、という感じです。うっかり信じて痛い目にあったことは数知れず、科学では「信じるものは、騙される」という友人の警句を忘れないようにしないといけません。

というわけで、MUSE細胞に続いて、数年前に出た慶応大からのNGFRとVCAM1陽性の間葉系ステムセル(増殖が早いのでRapidly expanding clones (RECs)と名付けられています)の論文を見つけました。ステムセル業界ではトップ ティアの雑誌に載っていますけど、その後、あまり論文がなく、気になって調べてみると、島根大に研究室が移ったようです。そこでのバイオベンチャーで作成された細胞は研究用に販売されており、さらにその細胞を使っての臨床治験が今年に計画されているとのこと。一バイアル、(ディシュ1枚分ほど?)が十万円という値段。

何れにしても基礎研究は進んでいるように見えないのに、日本では、臨床治験やビジネスへの応用が早いように思います。一方で、HarvardのStem Cell Institute (HSCI)は、設立20年、Nature, Cell, Scienceに300本の論文を出したが、臨床への応用は全く進んでいない、との見解。基礎がよく分からぬのに取り敢えず臨床応用というのはどうなんでしょうか。
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恥ずかしい政治

2020-02-11 | Weblog
研究合宿から帰ってきました。昔からの大勢の知り合いや名前でしか知らない人に直接会えて大変楽しかったです。たっぷり時間があって色々できるだろうと思っていましたが、時間はあっと言う間に過ぎて、最初考えていたことのごく一部しかできませんでした。それでも貴重な情報は得られたし、何より普段会えない人々とゆっくり話ができたのは大変よかったと思います。帰りの飛行機の中でも色々考えて、ちょっとだけ前進しそうな感じです。とはいうものの、研究アイデアなど100個思いついても生き残って実験までいくのはせいぜい5-6個、それが成功するのはそのうち1個あるかないかという感じなので、まだまだ先行きはわかりません。

この合宿の間、ニュースは一応フォローしていました。トランプのState of Union Addressの演説に不満を募らせた下院議長のNancy Pelosiが終了後に文書を破り捨てるパフォーマンスが話題になりました。気持ちはわかりますけど、Pelosiもトランプのレベルに降りてしまったのではいけません。もう少し上品に抗議の意を示す方が民主党のイメージはよくなっただでしょう。

そのトランプはしばらく続いた上院でのimpeachment裁判で二つの罪に問われ、僅差で有罪を逃れました。共和党が多数の上院なので、予想されたことですが、共和党ではユタの議員、かつてマサチューセッツの州知事で、2012年のオバマ再戦時の共和党の大統領候補であったミット ロムニーが、ただ一人、トランプの有罪に票を投じました。

どこでもそうですけど、自己利益、党利党益で議員も動くわけで、このトランプのimpeachment裁判も茶番といえば茶番ですけど、それでも、この長い裁判の中で、結構、細かい議論が尽くされるというのは、アメリカのアメリカたるところです。それによって、TVを見る人はトランプの何がどういう理由で罷免の対象になっているかを知って考えることができます。多分、先進国なら世界中どこでも若者は民主主義の当事者であるという意識を持って、それなりに政治に対する態度を発達させていると思いますけど、日本では、政権とマスコミが一緒になって、情報を隠蔽し、国民が民主主義政治の当事者であるという意識を持って物事を考えるということをしないように仕向けています。これが今のアベ政権に見られる政治の極端な腐敗と幼稚化につながっていると思います。アベ政権の連中は、こうして国民を白痴化することで権力を保っているが、まさにそのことによって自分たちはそれ以上のバカになってしまっているということです。日本の政治が三流、四流と言われる由縁でしょう。そこに集まる連中は権力を握ることだけが目的であって、そもそもの政治の「大義」という前提がかけているのですから。極端に言えば、いま多くの政治家がやっているのは単なる権力争いであって「政治」ではない。特に、アベ政権の連中は政治家とは言えぬどころか、権力を違法に濫用する犯罪人どもだと言えるでしょう。

さて、そのトランプと言えば有罪を逃れた瞬間、早速、またツイッターでクソっぷりを発揮していました。ま、トランプと何とかは死ぬまで治らんのでしょうな。「最後には正気の国に戻って欲しい」と隣合わせに座った人がため息まじりにいうので、「正気が失われているのは、日本でもイギリスでも同じですよ」と答えました。

日本のニュースもフォローしていましたが、ニュースを見るたびに腹が立ちます。数で圧倒する自民党がアベを筆頭にやりたい放題、捏造、改ざん、なんでもあり、詭弁に責任転嫁、時間稼ぎ、とクズぶりを毎日さらし続け、日本の政治はすっかり壊れてしまいました。食事の時に、福島原発事故の隠蔽の話を振ってきた外国人に対して、私は「日本の政治を心から恥じている」としか言えませんでした。一つ一つ言うにはあまりに酷すぎて。
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