百醜千拙草

何とかやっています

アプローチ

2020-10-30 | Weblog
心房細動と心不全で入院して薬を始めて三日目、電気的除細動をやろうということで、絶食して食道エコーの段取りをして、あと一時間ちょっとで施術予定時間というところで、ふと繋がれている心電図に目をやると、心房細動が治っていました。使用している薬剤だけでは治らないと予想されていたので、意外です。急遽、処置はキャンセル。とりあえずは、このまま様子をみて、長期的治療については外来で考えようということになりました。その後は不整脈チームの人、心不全チームの人々がやってきて、同じような質問。一応、冠動脈の評価のためにCTをやって、心筋症評価のためのMRIは外来でということで退院となりました。

心臓病といってもいろいろ専門が分かれているので、この3日ほどの入院で十人以上の専門家や研修医やナースにあいました。若手の医者にはいろいろ新薬を勧められました。そもそも医者嫌いで薬嫌いですから、薬はできるだけ少なく、新薬は遠慮します、とお願いしましたが、心臓専門医はどうも共通して押しが強いようで、そんな検査はいいじゃないの、とような検査をガンガン入れてきて、そんな薬飲まなくてもいいだろうと思うような薬をガンガン処方してきます。

ということで、質問です。高血圧と心房細動からの急性心不全回復期の私に、心不全チームが処方した3つの薬は次のうちどれでしょう?ちなみにベータ阻害剤とカリウムチャンネル阻害剤と血液凝固阻害剤は不整脈対策で別に処方されています。私は内分泌異常、糖尿病はありません。

1. カルシウムチャンネル阻害剤
2. アンギオテンシン受容体阻害剤
3. SLG2阻害剤  (訂正 - SGLT2阻害剤です)
4. サイアザイド利尿剤
5. 抗アルドステロン薬
6. メトフォルミン
7. ジギタリス製剤

正解者にはさらに10ポイントをプレゼント。正解者の方も不正解の方もツイッターで「スガは憲法を守れ!」と心ゆくまでツイートしてください。というか、あのポンコツは憲法も自分の職務もろくに理解していないようですけど。

一応、薬に関しての希望はのべたのですけど、希望は聞き入れられず。どうも彼らには検査や治療方針に関しては信念があって、その信念は何があっても揺るがないという信念ももっているような感じです。つまり、信念が信念で固められているので、抵抗は容易ではありません。

しかし、その信念も実は現時点でのコンセンサスに基づいているに過ぎません。数々の過去の知見を総合して理論的に導き出された現時点の最適解にすぎないのであって、10年後もそれが正しい可能性はむしろ低いでしょう。テクノロジーの進歩や臨床知見の蓄積などで、大体、医療の常識は10年単位で変わっていきます。20年前の医学の常識は現在の非常識です。そうやって、医学はある意味、誤った治療の不幸な経験から学んで徐々に進歩していくもので、私もそれは理解しています。

血液型という概念もない時に輸血したり移植したりして大勢の患者さんが死にましたが、そういう犠牲がなかったら、現代の移植免疫の知識は得られていなかったかも知れません。同様に、私が現在、よい治療を受けれるのも、過去の少なからぬ不幸な結果に終わった例から医学が学んで知識が蓄積されたゆえです。コロナにしても最近、抗サイトカイン療法が効かなかったとかクロロキンは効かなかったとかいうデータがでてきています。どんな結果であれ、医学の知識の蓄積という意味では有意義ですけど、一人一人の患者さんの立場に立って見れば、そうした実験的治療に一縷の望みをかけています。効かなくてお亡くなりになり残念でした。それでは次の治療を試しましょう、ってな具合には行きません。

よりよいものを目指すという共通の目的へのアプローチに保守的なアプローチと革新的アプローチがあると思います。私は保守主義ですから、歴史に試されて価値が証明されたものを尊重し、その上で不都合な部分を少しずつ工夫していく、ボトムアップアプローチが好きです。一方、これまでの研究成果をもとに理論を構築してトップダウンで治療法に革命を起こすことに興奮を覚える若い人もいるでしょう。患者にとってどちらがいいかは患者さん自身の好みにも左右されると思います。現実と過去を尊重し慎重に改善を目指す保守的アプローチ、過去と現実を一旦更地にして、そこに理論にしたがって新しくて良いものを作り上げようとするアプローチ、長所と短所がありますけど、失敗した場合にダメージが少ないのは前者、成功した場合に効果が大きいのが後者ですかね。

しかし、当然ながら、理論は現実の抽象に過ぎないのであって、現実なしに理論はありません。そして、患者としての私からみた現実は、今の私自身の体の状態以外にありません。心臓専門医は専門家なので、最新の治療法も理屈もその成績も知っているのは当然ですけど、その知識はあくまで抽象であって、私の現実に必ずしも合致するとは限りません。そうした知識の使い方にはその人の好みや主義が関わってくると思います。私にとっては、理論に患者を合わせるのではなく、患者の唯一の現実をまず尊重してくれる医者が好ましいです。
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質問

2020-10-27 | Weblog
入院中であります。
土曜日入院でしたが、COVIDのために院内をうろつくわけにもいかず、週末は、ちょっと検査してあとは薬を飲んでベッドでじっとしているだけ、でも、コンピュータをもちこんだので、苦痛と退屈を持て余して正岡子規になるということはありません。

入院日は、さっそく、無線心電図系の電線を貼り付けられ、無線機を持たされて、静脈ラインを設置されたら、一時間足らずで、もう立派な病人のできあがりです。カタに嵌めるという表現がありますけど、人間というものは、二、三の拘束をかけて、力関係を植え付けたら、きっと簡単に洗脳されるものだろう、と思いました。患者として病院に入院するというのは、実は新興宗教に入信するに近いものがあるのではないかと感じました。

入院に際して、二、三、興味深い質問をされました。「牧師さんやお坊さんのサービスはいりますか」という質問に続いて「心臓が止まったらどうしますか」と質問されました。心臓マッサージの蘇生処置をしていいですか、という質問なのですけど、別に末期の病で死ぬ予定で入院しているわけでもないので、「はい」と答えたところ、「呼吸が止まったらどうしますか」という質問が続いてきました。挿管して呼吸器につないでいいですか、という意味ですけど、ちょっとイヤだったので、それはナシにして欲しいと言ったら、心臓マッサージとセットになっています、と言われました。お好みでミニうどんがついてくる天ぷら定食ではないのだから「それなら聞くなよ」と心で思った次第。人工呼吸器なしの心肺蘇生というのは、具の挟んでいないサンドイッチ、カレーのかかっていないカレーライス、ネタぬきの寿司、みたいな感じなのですかね。食べれないことはないけど、料理として成立していないような。
きくところによると、最近では、呼吸不全でも気管挿管は減ってきているようで、経鼻の酸素吸入などでの対応するのが多いそうですけど、私の場合、心臓が止まって呼吸が止まったら、何が原因であってもそれまでにして下さい、と言っておけばよかったかなあ、とちょっと後悔。
その後、夜一人の時に、別のナースから「家族に暴力はふるわれていませんか」というDVを探る質問。きっと病気がDVに起因することはたまにあるのでしょう。それから「自傷、自殺したいという気分になりますか」と質問。たぶん、精神病の可能性を知るためでしょうけど、つい、「今の世の中、死にたくならない人の方が珍しいのでは」と答えてしまいました。

というわけで、一通りの検査のあと、抗不整脈薬の投与を開始。心臓のことなので、夜は遅くまで血圧や心電図の頻回のチェックがあり、朝は4時すぎから体重測定、バイタルチェック、服薬、などがあり、ヒマなのにゆっくり寝かせてもらえないという状況。あと、検査で微小蛋白尿があること、小さな腎臓結石とシストがありそうなことがわかりました。腎機能は上限。私、病気で一番イヤだと思っているのが慢性呼吸不全と腎不全なのですけど、現在、心不全による呼吸困難があって検査で唯一見つかった異常が軽度腎障害。これも引き寄せの法則ですかね。
今日の午後に経食道心エコーのあと、電気的除細動を試みる予定です。昨日の夜からずっと絶飲食。病院食不味いです。施術はちゃんと鎮静剤が効いているのを確認してくれからやって下さいよ、と念押し。

というわけで、心房細動の慢性化と高血圧に伴う心不全の私に対しての治療方針は、ベータブロッカーで心拍数を抑え、心不全に対して利尿剤、血栓予防に血液凝固剤の投与を開始し、抗不整脈薬と電気的除細動によって洞性リズムの回復を目指す、でした。つい「これで効かなかったらどうしますか」と質問したら、アブレーションの前にちょっと強い抗不整脈薬を短期間試して、うまく行けばその薬を切って別の薬で維持するという方針を提案されました。そのよく効く薬には間質性肺炎という強烈な副作用を起こす可能性があるので期間限定と提案されたのですけど、万が一、間質性肺炎に発症して呼吸不全になって長い間呼吸器に繋がれた挙句に苦しんで死ぬのはさすがに御免なので、この薬を導入する場合は心肺蘇生はなしをお願いする予定です。

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男か女か

2020-10-23 | Weblog
ルールルルル、ラーララララ、と、ふと、由紀さおりさんの「夜明けのスキャット」を思い出したどうでもいい話。

だんだんやる気も減退ぎみですけど、初歩のフランス語を毎日5-10分ほどまだ続けています。言葉というのはパターンの暗記と認識で、単語ではなく、文やフレーズのレベルで覚えていく必要があり、多少の単語を覚えても理解もできないし、しゃべれもしないということがよくわかりました。

英語と違って、面倒なのは動詞や名詞の変化で、同じ言葉が主語や性別によって全く違うものに変化してしまいます。性別に関しては、フランス語のフレーズに出てくる一般名詞は大抵、冠詞がついているので、フレーズで覚えると男性名詞と女性名詞は自然と覚えます。大体名詞の6割ほどは男性名詞のようです。

ときどき、紛らわしいものがあります。例えば、メスのパンダとか、オスのキリン。パンダは男性名詞でキリンは女性名詞。実際の性別と名詞の性が一致しない場合は、外国人にとっては混乱します。パンダという言葉が男性なので、話題になっているパンダがメスだろうがオカマであろうが、文章上はパンダは男性として扱うということなのですけど。

それでは、最近、新しく出現したものの性別はどう決められているのかという疑問が湧きます。例えば「COVID-19」の性別はどうかという議論があるのを見つけました?現実には、COVID-19は男性名詞として扱われており、「Le COVID-19」 です。

これに関して、Academie francaiseが興味深いコメントを出しています。
通常、言葉の「性」はその言葉の核になるものの性別に従うということらしいです。ですので、新型コロナウイルス(SARS-CoV2)なら、ウイルスは男性なので、その性は新型であっても二型であっても男性です。しかるに、COVID-19は、コロナウイルスによって引き起こされる病気であり、ウイルスではありません。ところが、COVID-19は男性名詞であるウイルスによって起こされるということで、政府やパスツール研究所は、最初にCOVID-19を男性名詞として扱い出し、それが広まったたので、一般に男性名詞として扱われているという現状があるようです。

しかしながら、本来、COVID-19は病気の名前であり、病気 (maladie) は女性名詞なのです。とすると、「COVID-19」 は女性名詞の「maladie」の一つですから、本来のルールに従えば、女性名詞として扱われないといけません。
そういうことで、アカデミーは、慣例の「Le COVID-19」ではなく「La COVID-19」とするのが望ましいという見解を示した、というほんとにどうでもいい話でした。
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医療の役割

2020-10-20 | Weblog
前回、体の不調のことを書いたら、お気遣いのコメントをいだだきました。ありがとうございます。幸い心筋症ではなさそうです。

症状は労作時と臥位の呼吸困難、浮腫なし、血圧は140-160/100-120、心拍数は約100-120/分不整、心電図では心房細動で、連続心電計モニタリングでは、洞性リズムも多少見られる。エコーで駆出率は22%、レントゲンでは軽度の胸水、著明な心拡大はなし、一般血液学臨床化学検査は正常。

問題一。ということで、私の主治医がとりあえず3剤を処方しました。次のうちのどれでしょう?

1.  カルシウム拮抗剤
2.  ACE阻害剤
3. カリウムチャンネル阻害剤
4.  ループ利尿剤
5. ベータ阻害剤
6. 抗アルドステロン剤
7. ジギタリス製剤
8. 血液凝固抑制剤

問題二。主治医は短期の入院を勧めましたが、その目的は何でしょう?

1. 血行動態評価と心不全コントロール
2.  高血圧の原因究明のための検査
3. 不整脈に対する電気生理学検査
4.  心臓の造影検査と心筋生検
5. 電気的除細動と抗不整脈薬の導入
6. カテーテル アブレーション手術
7. ペースメーカー埋め込み手術

正解者の方には10ポイントをプレゼント。ポイントを使ってご自分のツイッターで「スガ辞めろ!」とお好きなだけツイートしていただけます。

ちゅうことで、次の週末に、短期入院することになりました。万が一、入院中に死んでも、研究費は欲しいので、申請書は入院前に出来る限り仕上げておきたいと思います。

そんなこんなで、先日は同年代の同僚と病気談義。病院の待合社交界デビューも近いような気がしてきました。彼は40歳手前のころに、悪性黒色腫が見つかって治療して以来、体の不調に神経質になったとのことで、つい昨日もアソコの仙痛のために医者に行ってきたところだという話。私は昔からの医者嫌いで、歯医者以外は過去に二度ほど外科系にお世話になったほかは、大抵の不調はうずくまって自然に治るのを待つ、でやってきました。今回は、ヨガもホ・オポノポノもアファメーションもツボも壺も効かず、止むを得ず近代医学のお世話になることになりました。

体が不調の時に、誰かが面倒を見てくれて、倒れたら起こしてくれて、具合が悪くなったら話を聞いてくれるというのは、助かります。医療は半分は心理サポート業なのだなあと新ためて感じた次第。
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詩人

2020-10-16 | Weblog
診察はまだですけど、やっぱり心不全のようで、ちょっと症状があるので困っています。高血圧と心房細動の組み合わせが悪かったようです。血圧は高いので左心房不全からの肺うっ血が主で、限界を越えてしまったようです。戻りますかね?

人間の体は精巧な機械で、一つ狂うと、あれよあれよという間に下り坂です。今年の夏は一日に1時間は歩いていたのに、今や階段を一つ昇ると息絶え絶えで、急に老人になったような気分です。酸素吸入しながら歩行器でヨタヨタ歩いている自分を想像しました。まだ家の借金も子供の授業料も払わないといけないし、何より自分の親を先に見送らねばなりません。それからコロナの中この一年かけて準備してきた申請書の締め切りが二週間後ですから、それをとりあえず終えるまではとは思っているのですけど、そんなことを言っている間に人生終わってしまうのでしょうね。ま、それでもいいですけど。

数年前、昔の知り合いが癌で若くして急逝しました。闘病の様子をブログに綴っていたのを後から知りました。余命数ヶ月の彼は、それでも学生の原稿を添削したりという毎日を体の許す限り続けていました。自分の余命があと数ヶ月だったら、私ならどう過ごすだろう、とぼんやり考えました。

病気は人を詩人にしますね。ふと見上げた秋の空と色付く木の葉の美しさに息を飲むのもこういう時です。よく人は死ぬまえには、世界が美しく見えるといいますし。昔、大学を終えたあとの就職前のグアム旅行の時に、職業を「詩人」だと言って入国しようとしたら「儲かるか?」と聞かれたことを思い出しました。

でこんぺちまった悲しみに今日も小雪が降りかかる、でこんぺちまった心臓は喩えばヴィトンの革袋、、、、でこんぺ、でこんぺで半年暮らす、ヨイヨイ、、、、でこんぺちゃったのよ、ララランラン、、、、、

詩作してみました。


コメント (1)
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ポンコツ

2020-10-13 | Weblog
あるプロジェクトの半ばで、ポスドクが事情で辞めることになり、代わりの人を探し始めました。なかなか求めるような人は見つからないし、プロジェクトの期限は限られている上、雇用のプロセスに数ヶ月はかかるということで、ようやくまとまりかけた話も潰れ、半ばあきらめかけていました。そこへ、もう一人応募があり、専門がずれていたので最初は無理だなと思って断ったのですけど、よく見たら非常に学業優秀で、こちらの求める技術の経験があることがわかり、別の話が潰れた後であったこともあって、ダメでもともとと連絡をとりなおし、Zoomで話をしたら思いがけずお互いの条件も一致することがわかり、トントンと話が進みました。うまくいけばいいなと思っています。
申請書書きはとりあえず山場を越えつつありますが、もう一つ重要なデータがまだ揃っていません。あせってもどうしようもないので、データがでるまでは周辺整備をします。望むようなデータが揃わなかった時にどうするかを考えています。

さて、日本の没落ぶりに多くの人が危機感を抱いています。大した観光資源も、自然資源もない島国で、優秀な人材が唯一の資源でしたが、日本人が優秀だったのも今は昔となりつつあります。頑張っても報われない社会、学問の優秀が将来の発展にも生活の安定にも寄与しなくなった国、文化が軽んじられ、正直と高潔さは軽んじられ、拝金主義が進み、こつこつと積み上げる努力はバカにされ、インターネットビジネスや株式博打で如何にレバレッジを利かせてうまくカネもうけできるかが優秀さだと考えるような唯物的刹那的な社会、自分さえ良ければ国民も国の将来もどうでもよい思っている下劣なウソつきが政治の中心にいるような幼稚な国で、どんな優秀な人材が育つというのでしょう。貧すれば鈍するのは世の常。過去20年、先進諸国で日本だけが成長せず、ほぼ唯一の負け組で、気がつけばアジアの貧乏国になっている。「Japan as No 1」と言われて経済戦争で世界を制し多額の貿易黒字が問題となったころから30年でここまで急激に没落するとは思いもしませんでした。人々も、文化や学問にかまっている暇はなくなり、生きていくための日銭を稼ぐので精一杯。小泉時代からの数々の売国政策のツケです。教育も会社も、社会奉仕の側面を忘れ、カネもうけに走り、受益者負担主義を進めてきた結果、二極化が進み、社会がどんどん貧しくなりました。会社は利潤の追求のためだけにあるのではなく、社会にサービスと職を提供するためにあり、大学や研究機関は教育ビジネスでカネもうけするためではなく、学問の追求を通じて社会構成員の知的成熟を助けて、より住みやすく安全な社会を作るためにあります。ところが、これまでの与党政権は、自らの権力を維持することだけに腐心するが故ゆえに、国民から税金を絞り上げて私物化し、国の財産を叩き売り、歓心を買うためだけに60兆もの税金を外国にばらまき、企業経営者の利益のために被雇用者の不正規化を押し進め、国民生活を不安定にし貧困化をどんどん進めた上、国民には自助、共助、自己責任で放置するということをしてきました。当然の結果として少子化、生産力の低下、人材の枯渇を招きました。そして、ようやくこの無能な利己主義者のアベが辞めたと思ったら、こんどはアベに輪をかけて無能な上に邪悪な男があとを継ぎました。官房長官時代のあだ名は「ポンコツ」。スポークスマンなのにまともに質問に答えられず、司会をつかって質問妨害までする、そのポンコツぶりが、総理となって、より際立ち、早速、日本学術会議の人事に介入してやらかし、諸外国のメディアからも批判を受けました。先日、アベ政権の厳しい批判記事を載せた科学雑誌の「Nature」も、10/6のエディトリアルで、政治的ニュースをなぜ科学雑誌であるNature が扱わねばならないのか、という意見表明をし、そこで、トランプの批判に加え、このポンコツの学術会議への政治介入を「2004年に首相が任命するようになってから初めての事件だ」と懸念を示す批判記事を載せました。日本は物質的のみならず、知的にも貧乏になる一方で、池田先生の懸念は現実になりそうです。

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ニュースなど

2020-10-09 | Weblog
申請書の締め切りが近づいてきて、ちょっと焦ってきました。データの確認もできていないのがあるので、その関連部分をどこまでつめるかまだ決めることができずスカッとした申請書が書けません。ということで、めずらしく忙しくしております。

それでも、ツイッターなどでニュースは毎日チェックしています。ここ数日の話題は、CRISPRがノーベル化学賞、HCVが医学生理学賞。HCVは抗体での検査ができるようになったのが30年ほど前ではないかと思いますけど、ノーベル賞になるまでずいぶん長くかかりました。一方、CRISPRは発見そのものはずいぶん前だと思いますけど、それを遺伝子改変技術に応用した論文は2012年ぐらいだと思います。その後のCRISPR(というより、Cas蛋白)技術の目覚ましい発展は目を見張るばかりで、私もここ数年、Cas9とCas12aにはお世話になっています。最近ではCas13を使ったコロナウイルス検出法の開発も話題になりました。CRISPR/Casの技術的な発展はBroadのFeng ZhengやDavid Liu、HarvardのGeroge Churchらのテクノロジストが分野をリードしてきました。UCとBroadとのパテント騒動も記憶に新しいです。CRISPR/Casは最初の論文から7-8年でノーベル賞ですから、生命科学技術の分野ではiPSなみのインパクトがあったということだと思います(事実そうだと思います)。

ところで、ツイッターを見ていると同時に腹の立つことも多いです。今回のトランプのコロナの感染と、その感染者にあるまじき振る舞いには、呆れかえりましたが、アメリカのメディアはキッチリとトランプのその行動を批判し、フェイスブックもツイッターもトランプの問題あるポストやツイートをブロックしました。救いがあるのは、大統領が無能なウソつきであっても、アメリカのメディアは少なくとも正気を保っており、すべき仕事をしていることです。

一方、日本もトランプなみに無能な男が首相をやっているわけですが、救いがないのはメディアがマトモに機能していないことでしょう。オフレコのパンケーキの会などにノコノコでかけているメディアは恥ずかしいと思わないのですかね。朝日新聞と東京新聞はこれを拒否し、「必要なのはオフレコ懇談会ではなく、会見だ」と主張。朝日もよくわからぬところがあるものの、今回は、これを評価しましょう。突っ込まれたらやましいことだらけのスガ、回答拒否の一手しか持ち技がない無能さは自覚しているのでしょう、アベ同様、真剣勝負の会見を避け、パンケーキで手懐けたメディアとだけの台本朗読会でお茶を濁そうとする態度が淺ましくも恥ずかしい。恥を知らぬのもアベ政権からの継承ということのようです。

こんなブログでも政権批判すると、まれに一本50円で冷笑コメントを書き込んでくるアルバイトが釣れたりしますが、今回はどうでしょう。
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習慣化

2020-10-06 | Weblog
ここ数日、明け方に息苦しさを感じたり、少し動くと多少息切れもするようになりました。不整脈は自覚しているので、心房細動からの左心不全ではないかと思い始めました。思ったより深刻かも知れません。急に老人になったような気分です。というわけで心エコーを予約しました。
 前に心室性の不整脈で寝ている間に死ぬのが理想と書きましたけど、不整脈も基礎疾患があって起こる場合の方が多いでしょうから、慢性の心臓疾患で長らく苦しんだ末にようやくというのはちょっと嫌です。それを言い忘れたので、苦しいのは無しでそれまではそれなりに健康で生活したいと付け加えます。(お願いしたので、これで大丈夫)
 それで、不整脈はあっても体は多少動かす必要はあるので、ヨガを毎日10分ぐらいやるのを習慣化しようとしています。有酸素運動すれば頭がよくなるのは私も実感していますし、血圧にもいいのはわかりますけど、いまはできないのでその代わりです。Youtubeで美人インストラクタのビデオを見ながらやってます。

継続は力で習慣化するというのは何かを達成するのに最も効率がいい方法だと思います。しばらく前から一日5分-10分のフランス語もやっています。ヨガとあわせて20分ぐらい。Duolingoというサイトでちょっとした演習をやるのですけど、emailで「今日はやりましたか?」みたいなチェックが入るので、今で一ヶ月毎日続きました。一日5分でも、一月で150分ですから、バカになりません。おかげで日常会話の基本的なフレーズのいくつかは覚えました。またBGMにしていたフレンチポップスの歌詞のごく一部が突然わかったりすることがあったりして驚きました。(ま、ほとんどはわからないのですけど)Duolingoがいいのは、理論や文法をシステマティクに教えるのではなく、簡単な例文とそのバリエーションを繰り返してクイズ形式で練習させることで、音やよくある言い回しなどから自然と学習者が覚えていくという点だと思います。ちょうど、子供が言葉を覚えるような感じです。文章を書いたり学術や文学の書き言葉を理解するためのものではないですけど、フレンチポップスを聞いて意味が多少わかるようになりたいという私の目的にはちょうどいいです。いつまでつづくかわかりませんけど、長期的に何かが達成できるものであれば、毎日決まったことをするのは私の性にあっているので、飽きるまでは続けてみようと思っているところです。
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国民のレベル

2020-10-02 | Weblog
先日のアメリカ大統領選の討論会、毎回、レベルの低い貶し合いにウンザリしますけど、年のせいか、今回は見るに耐えず、10分でギブアップしました。Twitterでも、「ウチの8才の息子でも、もうちょっと振る舞い方をわきまえている」みたいなコメントがありました。

二人で勝ち負けを争うわけですから、相手よりも相対的に上に立てばいいわけで、簡単なのは相手を下げることです。アメリカではこの手のネガティブ キャンペーンは選挙の度に溢れかえりますけど、この見苦しい戦略が採られるのも有効だからです。

結局は、アメリカの有権者のレベルにあわせて、候補者も選挙戦略を決めるわけで、この見苦しい討論が行われるのも多数を占める有権者のレベルに合わせているからのだろうと思います。トランプが四年前に選ばれた時に、良識のある人々は、呆れ、眉をひそめてアメリカの没落を嘆いたものですが、当時、トランプを(間接的に)支持した大勢のアメリカ国民は、テレビのバラエティーに出ている成功したビジネスマン、ぐらいの認識しかなかったのではないかと思います。この一見成功しているようにみえる有名ビジネスマンが、我が家の経済危機を救ってくれるのではないか、という未知に対する期待をトランプは煽って票を集めました。多くの人がトランプが「どんな」手をつかってビジネスをやり、税金をごまかしてきたかは知らないし、トランプが人種主義者、性差別者のセクハラ男で傲慢なウソつきだということもあまり知らないまま、投票したのだろうと思います。あるいはわかっていたけれども、「ヒラリーはうんざり」「黒い猫でもネズミを取る猫ならいい猫だ」と思って投票したのかも知れません。結果、黒い猫はただの黒い猫でネズミを取りもしない上、黒を白と言い張り、都合の悪い事実はフェイクニュースだとメディアに責任転嫁し、選挙戦で劣勢とわかると郵送投票による大統領選挙を妨害すべく大量に郵便局職員をリストラした上、急遽空きができた最高裁に極右判事を任命して選挙で負けた時に裁判に持ち込んでゴネると堂々と宣言するという、アベにスガを掛けてニカイとアソーを足したようなトンデモなさです。

同じことは日本にも言えます。メディアが比較的マトモに機能しているアメリカでも、大勢の人はニュースをじっくり読まないで、雰囲気で投票する。まして、電通を使って脅し、会食でメディアを手懐けてきたアベ政権、メディアはモリカケ、サクラ、などなどなどなどなどなど、のアベの悪事を積極的に糾弾するどころか、そのごまかしと隠蔽に手を貸してきました。一方で、政権は消費税を上げ、年金支給年齢を引き上げ、非正規雇用を増やし、国民生活を不安定にすることで、目先の生活に追われて、社会や政治に関心をもつ余裕がなく、政治的無関心を増大させるような政策を取ってきました。そして、古くは植草さんの例が有名ですけど、政権批判者を痴漢冤罪で口封じし(さすがにこの手口が知れ渡ったので最近はあまりないですが)、アルバイトを雇ってSNSなどで政権擁護の一方、政権批判を見つけると、冷笑系コメントを書き込ませるようなことまでしています。その手のコメントは政権批判の内容に対する具体的な反論はないのですぐわかります。多分、冷笑コメントの書き方のテンプレートを使っているのでしょう。

ま、アベやスガに限らず、日本の政権(も諸外国の政権)は以前から、一億総白痴化政策(3S政策:スポーツ、セックス、スクリーン)をとってきたものですが、その効果かどうか、結局は、国民は政権の思う通り、政治に無関心で政府の言うことは大人しく聞き、国民同士で出る杭を打つような理想の奴隷になりました。生活が苦しいのも自己責任だと思い込み、助けを求めるかわりに自殺を選ぶ世界トップクラスの自殺大国となりました。選挙にいく人であっても、政治家は実績や行動や人間性で選ぶのではなく、漠然とした印象だけで判断するようになり、東北農家の出身でパンケーキが好きな庶民派的なら、実際に何をやってきたかは問題にしないようになりました。

結局は、政治家のレベルは国民のレベルです。アメリカ人のレベルはトランプなみ、日本人はアベやスガなみ。世界的に退行しているようです。
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