百醜千拙草

何とかやっています

xxxの軍艦巻き

2020-11-27 | Weblog
「正直は最上の政策である」という格言があるのは、それがほとんどの場合で正しい言明だからだと思います。正直さは人間の社会生活を成り立たせるための基本です。もし数割の人々がウソつきだったらもう社会は成り立ちません。銀行に金は預けられないし、医者に治療は任せられません。スーパーの食品表示はウソ、役所の証明書は半分ウソ、しかもどこにウソが紛れ込んでいるのかはわかりません。悪貨は良貨を駆逐する、の法則で、数割のウソは全ての信用を失わせます。

例えば、科学論文では、書いてあることにウソがないという前提で審査され、疑いを持たれたら、潔白を証明するのは、著者の責任です。推定有罪の原則で動いているのは、知見を発信する方も受け取る側も、双方に「正直さ」が要求されるという前提があるからです。有名な例では、結局、誤解による冤罪ということになりましたけど、イマニシ カリ, ボルティモア事件では、科学論文のデータを巡って、裁判にまでなりました。

公人、まして大統領や首相がつくウソは、それよりはるかに高い基準で裁かれなければなりません。クリントンの不倫の一件が裁判になり、罷免決議にまでかけられたのは、不倫そのものではなく、議会での「不倫をしていない」という証言が偽証に当たると考えられたからで、アメリカの裁判所、議会での偽証罪は極めて重い罪です。ウソが許されると議論が成立しないので、裁判そのもの議会そのものが機能しません。

だから、偽証を防ぐために重い罰を課しているのだと思いますけど、また、それは95%の人間にはあるとされる「良心」や「羞恥心」に訴える効果が大きいと思います。例えば、佐川くんが国税庁長官という地位を任期を待たずに辞めてまで雲隠れしたのも、ウソつきと世間に呼ばれて、ウソのおかげで出世した、と言われる日々に耐えられなくなったからでしょう。

しかるに、まれにいる良心や羞恥心を持たない人々、つまり、生まれつき人格に異常がある人々は厄介です。生まれつきの障害なら仕方がない部分もあり、本人も自覚のない場合が多いでしょうから、どこまで責任を問うべきかは人権の問題とも関係します。犯意のない行為は罰せず、ともいいますし。

しかし、一般国民にしてみれば、そういう人格異常者が大統領や首相となって権力を手にするというのは恐怖です。それが、この過去八年間でした。トランプにしてもアベにしても、自己愛性人格障害なのだろうと想像できますけど、彼らが破壊してきたものは測り知れないです。近代社会の根本の前提となっているがゆえに、権力をもつものこそが守り、規範を示していくべきものであるはずの「正直さ」を、逆にアベ スガらが率先して破ることによって、権力増大を謀り、その権力によって官僚をはじめとする国家運営の中枢をコントロールしたいという、非常に利己的でみみっちい動機による根本的な社会の破壊です。

議会における虚偽答弁の深刻さについては、下の小田嶋さんのツイートが本質をついていると思います。


寿司屋に行って、xxコ巻きを出され、注文を拒否されて、ぼったくられたら、その手の趣味のない普通の人は、強烈に怒ると思いますが、国会でアベがウソをつきまくり、スガが回答拒否を連発し、役所では佐川くんが公文書を改ざんし、財務省が勝手に消費税を上げても、一向に平気な(どころか、逆に支持する)人が多いのは理解に苦しみます。

今回は、読売がこのサクラでアベ側の捜査を進めている検察の動きをスクープしたらしいですけど、それが不気味です。タダのガス抜きでないなら、権力の手先だった読売が権力の手先の検察の動きをわざわざ拡散するのはなぜなのでしょう。普通に考えたら「権力」はアベから離れつつあるということを意味していると思われます。つまり、陸山会事件の時と同様に、今「サクラ」が再燃すると得をする自民党の誰かさんが謀った可能性が強いと思われます。アベというトカゲの尻尾を切って、万が一のアベの再登板の芽を潰し、加えて国民の注意をそらせることで得をし、かつ検察を動かせる人間となると、陸山会事件の黒幕と同一人物とそれに担がれている男ではないか、などとゲス勘するわけですが、陰謀論っぽくなるのでやめておきましょう。

個人的には検察が更生してマトモになったということであって欲しいとは思います。
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FAZIOLIのピアノ

2020-11-24 | Weblog
変わりなく、低め安定の日々です。
週末はダラダラとyoutubeで音楽ビデオなどを見て過ごしました。才能ある若い人々の多くの音楽ビデオを見ると感心します。クラシックだと技巧を誇るような曲が多くアップされていて、凄いなー、世の中には才能のある人々で溢れているなーと思います。(おそらく、Youtube用にそういう演奏をわざわざ選んでいるのでしょうけど)そうした派手な演奏の合間にバッハのピアノやバイオリン曲を聞くと非常に心に沁みます。バッハの音楽は詩だとか、神の声、だとかいう表現をよく聞きますけど、音楽というジャンルを超えたものだと私も思います。

ところで、最近のHerbie Hancockの演奏をふと見たら、FAZIOLIというイタリアのピアノ会社のピアノを使っているのに気づきました。このメーカーは比較的新しいピアノメーカーのようで、クラッシックの人もこのメーカーのピアノを使い出しています。かなり贅沢に作ってあるそうで、10年ほど前に、カナダに輸入されたときのニュースの表現によれば、FAZIOLIはピアノのフェラーリと喩えられていました。ハイエンドモデルだと一億円ぐらいするのもあるらしいです。オーソドックスなものあれば、モダンデザインのものあります。

これが最高級モデル。従来の3ペダルに加えて、4つ目のペダルが左端に見えます。このペダルはハンマーの振幅幅を減らせて、音調を変えずに小さな音を速いパッセージで出すことができるそうです。

特注モデル
ニューヨークデザイン

白いピアノ

このモデルは日本の寺院に使う木材を使ったもの(KENGO KUMA model)

きっと派手な曲を弾く人が好むのだろうと思っていたら、バッハ弾きのAngela Hewittがこのピアノを使っているのだそうです。Hewittによれば、FAZIOLIはクリエイティブなピアノという評価。ピアニストをクリエイティブにするという意味でしょうけど、だからこそ、バッハの詩のような曲を弾く人も好むのかもしれません。彼女は2003年からF-278という特注ピアノをレコーディングやコンサートで使ってきたそうですが、昨年、ベルリンでのレコーディングのあと、ピアノ搬送作業中の事故で、ピアノは修復不能なダメージを受けてしまったそうです。

私が興味があるのは、どうして新しい後発メーカーであるFAZIOLIがスタインウェイやその他の大御所のピアノメーカーと勝負して、これほど高評価を受けるピアノを作れるのかということです。ヤマハがこれほど世界を制覇しているのに、多分、プロはヤマハよりはスタインウェイを選ぶことが多いでしょう。思うに、ピアノ作りの技術や精度を超えたところに、老舗メーカーと後発メーカーの差があるのではないでしょうか。研究室でも同じことで、有名研究室のシステムをコピーし、それを改善したからといって、簡単に追いつけることはありません。多分、FAZIOLIはスタインウェイにはない何か凄いものを見つけたのでしょう。そういうものは、バッハやマイケル ジャクソンのように神に選ばれた限られた人に許されるもので、普通の人の努力や根性では到達できないものなのだろうと想像しています。
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反知性主義のワケ

2020-11-20 | Weblog
大統領選も終わり、世の中はバイデン政権に向けて動き出し、すでに人々の興味は失せました。人々の興味の変遷は早いものです。人の噂もなんとやらといいますけど、多分そのスピードはどんどん早まっており、私はそれを危惧しています。

情報が多すぎて、一つのことをじっくり考えている習慣を人々はなくしつつあり、ほとんど、パブロフ犬状態で大脳皮質を介さずに情報に反応するだけになっているのではないのかと思います。

この政権になってからも、日本学術会議人事への恣意的政治介入の問題、コロナと経済対策の失敗、オリンピックなどなどと、アベよりもひどい原稿棒読み男、田んぼのカカシ、ポンコツが次から次へとやらかしています。モリ カケ サクラで国家を私物化したアベと自民党にまずは責任を取らせないといけないと思っていますが、次から次へと出るポンコツ政権の不祥事で、昔の不祥事がカタのつかぬまま忘れ去られようとしているような壮絶に情けない状態です。そんなわけで、今回も特に書くことが思いつかないので、今日のツイッターを二、三。

レスポンスを見ると、自公維新が反日だと認識していない人が結構いるのです。日本は戦後、民主主義国家として日本国憲法によって治められている国民主権の国家であると建前を重んじれば、自公維新が反日であるのは、理屈上、自明だと思うのですが。「反日」という言葉はちょっと感情的なので、反社会集団でいいのではないですかね。


良識の人を代表して町山さんの反応。維新というのはトランプと同じ手をつかいます。人々の不満を利用して、あえて挑発的で非常識なことを言うことで、そうした不満を持つ人々を扇動する。理性と常識で考えたら自らが面している現実を良い方に変えるのは大変だということを実感している人々。そのような状況に置かれたのは必ずしもその人のせいではないでしょう。そういう人々の行き詰まりを打開したいという思いを引き寄せるのは、非理性的で非常識であるがゆえに挑発的な言葉です。行き詰まり感に押し潰されそうな彼らは、そうした扇動についのってしまう。いわば、最後の千円を大穴にかけるギャンブラーの心境だろうと思います。

それがトランプ政権でした。トランプが反知性主義であるのは、知性は未来を予想するからでしょう。過去のデータ、データからの論理、アルゴリズム、で未来は天気予報ぐらいの精度で予測できます。行き詰まった状況に置かれた人々は、これからの彼らの人生のその予測を認めたくない、そのためにはその基になっている知性を否定しないといけない、そういう心理ではないでしょうか。だから、彼らは陰謀論に走る。彼らは知性の予測を否定するための根拠を、存在する証拠もない陰謀に依存するのでしょう。(皮肉なことに、陰謀論を持ち出して辻褄を合わせようとする心理がそもそも理性の働きによるものだと思いますけど)彼らの現在と未来の不遇を説明できる陰謀があれば、状況を解決できる可能性がある、ゆえに彼らは陰謀を必要とするのでしょう。

しかし、陰謀や非常識な言葉で挑発する扇動者は、そもそも己の利益のためにやっているだけで、人々の不満を真に解決はできません。人々は、その口車に乗せられて、利用された挙句に最後の千円を失って、大抵は、やはり知性が予測する未来がやってくるのです。

望ましくない未来を変えるには理性と知性によって変える努力をするしかないし、その努力が報われるかどうかはわからないということは、実は彼ら自身の知性によって、心の奥底では知っているのだと思います。それを認めたくない人々が維新のような政党に引き寄せられるのでしょう。

それにしても、このツイートみて思わず笑ってしまいました。維新の人というのは予想を裏切らないですね。予想を裏切らない非常識さというのは、すでに挑発的では無くなってきています。こういうことを言っても、「ああ、この人、またバカ言っているよ」と思われるようになったら、もう煽動者としては終わりですね。
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パンケーキ ツイッター デモ

2020-11-17 | Weblog
行事が終わり平穏な日々です。「することがないなら、金儲けのことを考えよ」という格言もあり、実際、次の研究費申請のプランを早急に作りあげる必要があるのですけど、アイデアというのは必死で探してすぐ見つかるものではなく、仕込みと熟成の期間が必要なもので、コツコツとやるしかないようです。

週末はCatalinaからBig Surに入れ替えました。ついこの間、Catalinaに入れ替えて多くのソフトが使えなくなって困ったところだったのになあ、と思いつつ、とりあえず自宅のMacだけ入れ替えました。12GBほどあって、ダウンロードとインストールに1時間ぐらいかかりました。微妙にウインドウの形やアイコンが変わりましたが、機能的に何が変わったか全くわかりません。職場のOSはしばらく変えないことにします。

ちょっと面白いと思った話。細胞工学で、細胞の機能の維持のために3Dで培養するのはほぼ常識となっていますが、3DのためのScafoldにはいろいろ工夫の余地があります。もっとも多く使われているのは多分培養細胞から抽出した室温でゲル化するマトリクスでしょうが、スケール化しようとすると、かなり高額になります。最近、BioRxivで目にしたScafoldは、パンです。実験方法の欄を見ると、パンのレシピと焼き方が書いてあります。酵母ではなくソーダで気泡を作ります。小麦粉と水と塩とソーダを混ぜて、捏ねて、205度のオーブンで焼きます。多分、オーブンで焼く間に滅菌されるのだと思います。私は焦げ目のついた皮の部分が好きですけど、細胞はどうでしょう。将来的に細胞移植治療に使えるのではというような議論がされていますけど、小麦アレルギーに人はダメでしょうね。

パンはパンでもPainではなくPanのケーキに関係する話。
事実上、大統領選は終わったのですけど、まだトランプやトランプ支持者は証拠もなくジョージアやペンシルバニアなどの州で選挙不正があると言い続けていて、人々をうんざりさせています。おかしかったのは、ジョージアで不正選挙の疑いがあるから捜査するようにと連盟で要望書を出した共和党議員8名のうち、何人かは今回の選挙で当選した人々でした。自分が当選した選挙を不正だと言うことは、不正と決定すれば当選は無効でしょうね。ツイッターパラパラ見ていると、トランプの態度やトランプ支持者の非論理的言動に辟易とした人のコメントが目につきます。なぜか、パンケーキの画像で埋め尽くされています。これはどうも一人のK-Popファンの女優さんが、土曜日にワシントンDCで行われたトランプ支持者のデモ行進(#MillionMAGAMarch2020 )に反対して、パンケーキの写真をそのキャンペーン用のハッシュタグをつけてツイートすることで、キャンペーンをハイジャックしようと呼び掛けたことに、ツイッターユーザーが反応したからのようです。
結局、大行進は100万人も集まるわけもなく、ショボい規模で終わった模様です。

パンケーキはアメリカ人の朝食の定番、日本では昔はホットケーキと呼んでいましたけど、あの冷酷で陰湿なパワハラ独裁親父、「ポンコツ」の好物ということで、パンケーキ ツイッターデモは日本でもやったらいいのではないかと思った次第です。

それにしても、不思議に思いますけど、物的証拠に基づいた論理的思考を否定して逆に根拠のない陰謀論の方を正しいと信じる人々、アベ/スガ政権の支持者、維新の支持者、今の自公政権を保守だと勘違いしている人々、いわゆるネトウヨと呼ばれる人々、とトランプを支持する日本人が大きくオーバーラップしているようですけど、なぜでしょう?逆張りで一発逆転を狙う素人のギャンブラーのような心理でしょうか
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忘れ去られた人々

2020-11-13 | Weblog
ちょっとタイミングを逃してしまいましたけど、アメリカ大統領選の話。
トランプはいまだに負けを認めず、近年concession speechをしない初めての候補となりそうで、見苦しいことこの上ないですけど、どう足掻こうとも、トランプは来年の1月21日までにはホワイトハウスを強制退去になるのは間違いないと思われ、トランプ政権の終わりがまず確定したことは喜ばしいことだと思います。

今回の選挙で、それでも、これほどトランプを支持した人がいたことに私は驚きました。四年やらせて、トランプがどのような人間なのか、いい加減わかっただろうと思うのですが。そもそも、持たざる白人たちの不満に手を突っ込んで分断を煽り、虚像によって人気を得て大統領選に担ぎ上げられ、実際に大統領になってしまったわけで、加計学園獣医学部と同じで、本来、トランプ大統領はできてはならないものでした。その結果、四年でアメリカの評判は落ち、格差や差別は広がり、コロナは収束せず、と予想された結果になりました。にもかかわらず、トランプを支持した人はかなりの数に昇りました。かれらは「持たざる白人」、下の町山さんの言葉に従えば「忘れ去られた人々」だったのでしょう。忘れ去られて無視された人々に偽りの希望を与えたのが四年前のトランプであり、今回の選挙でもバイデンに希望を見出すことができなかったということでしょう。

さて、この数年、世の中がおかしい方向に平気でどんどんと動いていっていましたが、この一年でついに底の岩盤に打ち当たったように感じます。確信したのは、大阪市廃止の住民投票で僅差で否決された時です。維新人気はトランプの人気と基本は同じです。トランプや維新は、人々の不満をあおり、Status quoを挑発的に乱暴な言葉で否定することで、不満を持った人々を扇動しました。その行き詰まり感に満ちた「不満」という共通項でつながった人々は新興宗教の信者のように、扇動者に追随し、トランプ政権や維新という歴史の徒花を作り上げましたが、できるべきでなかったものが時間と共に力を失い消えていくのは必然です。ようやくそのプロセスが始まったと思います。

よくなる前には、溜まった膿や汚物が出ることで、いろいろ一見わるいことが起こるように見えます。それがこの一年でした。維新の大阪市廃止が否決され、トランプが落選しました。スガ政権も長くはないでしょう。

さて、話もどって大統領選、4年前にトランプは持たざるアメリカ白人の不満を煽って当選しました。確かに、アメリカ白人の不満は現実のものです。町山智浩さんがトランプ支持者をうまく表現されていました。 
忘れ去られた持たざる白人たちは、自分の力だけではどうにもならない閉塞感と社会に対する恨みを抱えて生きてます。メインストリームの裕福な共和党構成員からは下に見られ、民主党のインテリからは相手にされず、かと言って民主党の大きな支持基盤である都市部のヒスパニックや黒人には差別意識を抱いていて、差別の隙間で誰からも相手にされず、苦しくなる生活に不満が蓄積していきました。その不満を解消してやろうと出てきたのがトランプでしたが、トランプの真の目的は、オウム真理教の教祖同様、それを利用して扇動し、権力を手にいれて自分を英雄に祭り上げようとするただのエゴイスティックで醜いものでした。

しかし、不満と閉塞感を抱えた人々は、そこに希望の可能性を感じたのでしょう。まして、他にすがるものもなければ、騙されているとは薄々感づいていても、却って意固地になって一縷の望みにかけようとするものです。トランプの支持者の大勢は、そうした誤った信仰の中にいたのかも知れません。かつてのオウム真理教のように。

トランプがどういう人間なのかは、最初の大統領選に出る前から、多くの人々は知っていました。TVタレント時代にミスコンの審査員のトランプの振る舞いを揶揄ったワイドショーホステスのRosie O'Donnellを口汚く罵った事件では、その低劣な人間性に多くの人が辟易としました。そんな人物を共和党は選挙に勝つという目的だけのために担ぎ出したのです。共和党はマッケイン以降の人材の枯渇によって本来なら勝てる選挙に出せる有力候補がなく、四年前にトランプのポピュラリティーを利用しました。結果、喰らった毒は共和党にも悪影響を及ぼし、共和党内でもトランプを表立って批判する人々が続出しました。

バイデンに魅力があったわけではないし、民主党に期待したわけでもなく、今回の選挙はトランプという毒をアメリカの政治から追い出し、decencyを回復するための選挙でした。トランプという毒のおかげで露わになったアメリカの問題に対峙し、そのマイナスをゼロに戻して行くための選挙ではなかったかと思います。そういう目でみれば、溜まった膿の自壊を促すためにわざわざ注入された毒がトランプであったとも考えられます。いずれにしても、その役割は終わりました。同様に、維新もアベ・スガ政権も役割は終わったと思います。毒は必要以上に存在するべきではありません。今後、忘れ去られた持たざるアメリカ白人はどうなるのか、バイデンが再選もしくはバイデンの代わりの民主党候補が四年後の選挙で勝つかどうかは、彼らの不満をどう和らげていけるのか、彼らにどう寄り添うのかにかかっているのではないだろうか、と思います。さもなくば、共和党は第二のトランプを出してくるでしょう。
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訃報

2020-11-10 | Weblog
思わぬ訃報に接してしばらく落ち込んでおりました。不義理の挽回と恩返しの機会を永遠に逸してしまったという後悔、生命の儚さの実感、などが渦巻いて、ちょっと無気力になっていました。意外にも、若い時よりも訃報に際して、気持ちの動揺が強くなっているように感じます。若い時には、少なからずの病気や事故で亡くなった人と関わったり、父が急逝したりで、キューブラー ロスの本や多少の仏教書なども読んだりしたものでしたが、思うに、死をわがこととしてその体験を味わうということが未熟すぎてできていなかったのだろうと思います。
どのような最後だったのだろうと想像するのは辛いです。なんとなく想像がつくので、想像しないようにしています。

昔のアメリカの古いポップスの"Too Young"という有名な曲で「大人たちは、お前たちは愛し合うには若すぎると言った。お前たちにとって愛というのは、ただの言葉に過ぎず、その本当の意味を理解するには若すぎるのだ」という一節がありますけど、「死」についても、その本当の意味は、自分がいつ死んでもおかしくないような年齢になってからようやくわかるのかなあ、と思ったりする次第です。

死ぬことにしても、病気の苦しみにしても、さまざまな喜びや悲しみにしても、わが身に重ね合わせられるようになることは成熟の印なのだろうとは思いますが、成熟とは自らの死への接近を実感することでもあるのでしょう。セネカではないですけど、遅かれ早かれ、人はみな、人生はあっという間に過ぎ去ったという実感とともに、地上を去っていきます。それを想像できるような年になってしまったのだと思います。「人生は短くて、あっという間にお前は死んじゃうんだぞー」仮にセネカにそう言われても、多分、「そうだな、ま、いいよ」と答えるのだろうなと思います。

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分断

2020-11-06 | Weblog
分割統治、団結を防ぐ、は植民地運営の基本ですけど、二大政党政治のアメリカ、そのプロトタイプのイギリスの議会政治は、国民に対してそれを行うことで権力者を守ってきました。赤組と青組、田舎に住む人、都会に住む人の立場の差に基づいて異なったアプローチでそれぞれの幸福の追求により有利になるような政党、代表者を選ぶわけですが、どちらを選んだところで大差はないのは現実です。

しかし、アメリカ大統領は強い権限を持っており、例えば、今年のトランプの反中国政策で中国人学生や研究者がアメリカでの研究活動ができなくなり、アメリカの研究界も大きく影響を受けました。ジョージブッシュの時代にはステムセル研究は「悪魔の行いだ」と言って、ヒト ステム細胞を使った研究に連邦資金を使用するのを禁じ、アメリカのステムセル研究を後退させました。

トランプを選んではいけない理由は、その虚言癖と反知性です。まさに人間が人間たる資質である知性や論理的思考を否定し自分の利益のみを考えて他人の迷惑を省みない恥知らずで利己的な人物が世界の大国のリーダーであるというのは悪夢でしかありません。しかるに、そうした人物を多くのアメリカ人は支持しているという現実があります。

トランプを支持する人々は現状に不満を抱いており、トランプを既得権益享受者と戦う人間だと誤って認識しているのでしょう。同じことが大阪維新を支持した大阪市民にも言えると思います。維新の実体を見れば、与党の補完勢力であのは明らかです。アベに頼まれて強引に森友の認可を出したのは松井。公明党と次の衆院選で選挙調整を行うという密約で公明党を大阪市廃止に引きずり出してきた維新。住民投票で大阪市廃止が否決されたたあと、自らヤケクソになって密約を暴露しました。そもそも、大阪市を政令指定都市から格下げして、市の権限を取り上げて、府の下に置いて市民に不利益を与えるような政策を市長自らが旗振りをしているという異常。それで独裁体制が拡大して得をするのは市民ではなく維新という政党。それを改革だとか成長戦略だとかと言って、あたかも旧体制の既得権益という仮想敵と戦うようフリをし、戦う、戦わない、という二択で市民を分断したわけですが、冷静になって見れば実は維新そのものが既得権益者だったというくだらないオチです。

アメリカ大統領選もイギリスの議会も同じことが言えるでしょう。紅組と青組が戦っているように見えますが、国民から見れば彼らはどちらも同じ側にいます。日本も同じ。典型的例が五十五年体制時の自民党と社会党ですね。そうやって社会党はガス抜きをし自民党は権力を維持してきました。

今回の大統領選、トランプは四年前と同じ分断作戦を取ってきました。敵と味方に分断し、アメリカ国民同士が敵対し憎しみあうように煽ってきました。統治者からすれば、国民同士がいがみ合っていれば、ラクです。私は、その一点においてだけでも、トランプが引き続いてアメリカのリーダーであり続けることに反対です。分断化され、感情的に煽られた人々は、不満を他の人種、他のクラスに向け、容易に暴徒化します。この一年に起こった人種差別に基づくありえないような警官などによる殺人事件などを見ると、単に彼らが精神的に未熟だというだけでなく、彼らの心の奥底にある不満に対象を与えることによって、意図的に誤った方向に誘導しようとするような国のリーダーに責任が大きいと思います。その動機はアベと同じ、自己利益。国や国民のことなど考えておらず、彼らを利用して自分の権力を保つことだけが目的というみみっちさ。それがアベにしてもトランプにしても誰からも尊敬を得られない理由でしょう。リンカーンやケネディーの演説は人々の共感を得て、後世に残りましたが、トランプの言葉が後世に残るとすれば、そのバカバカしさと愚かさゆえのジョークのネタとしてでしょう。

まもなく、ネバダとジョージアの票が確定し、帰趨が決するわけです。バイデンは投票後、分断されたアメリカの問題に触れ、「アメリカ合衆国という一つの国を運営していく」と融和を訴えましたが、トランプはアベのように最後まで「あんなひとたち」には負けない、とでも言うのでしょうね。
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治療のアプローチ

2020-11-03 | Weblog
前回の心不全治療の問題、問題にtypoがあり、それが正解の一つであったので、訂正したいと思います。SLG2ではなくSGLT2阻害剤です。医療関係者の方は気づかれただろうと思いますが、誤った問題になってしまい申し訳ありません。問題が間違っていたので、全員に10ポイントをプレゼントします。ポイントで「スガの国会質疑での回答拒否を許すな」とツイートしてください。国会冒頭から疚しいことをしているからマトモに答えられない。しかし、アベのような「ご飯論法や論点ずらし」を弄する能力もないから、回答拒否するしかない。下には下がおります。すでにパンチドランカー状態。

さて、多分、SGLT2阻害剤が心不全に効くという話は最近の話ではないかと思います。糖尿病治療薬としても比較的新しいものですし。長期的効果については不明です。長期的に予後をよくするかどうかは実際に何十年とフォローしないとわからないでしょう。しかし、そろそろ私も、人生を長期的に考える必要もなくなってきたので、ま、いいかと思って飲んでます。
 ちなみに後の心不全に対する二剤は、アンギオテンシン受容体阻害剤と抗アルドステロン剤でした。昔は、カルシウムチャンネル阻害剤が、降圧、不整脈、心不全に広く使われていましたが、今は、どうも少なくとも心不全には使われないようです。というのも、この数十年の間にカルシウムチャンネル阻害剤は長期的予後を改善しないというデータがでたからで、かわりに、昔は、オマケのようにつかわれていたレニン-アンギオテンシン系の阻害剤が今は中心的薬剤になっているというのも面白いです。糖尿病治療がこの十年ほどの間に劇的に変わったように、高血圧、心不全の治療も激変しているようで、患者にしてみると混乱しますね。
 抗アルドステロン剤については多分、不整脈対策でカリウムチャンネル阻害剤を飲んでいるからだろうと思います。抗アルドステロン剤は利尿効果に加えカリウム保持効果があります。低カリウムで稀に起こるフランス語で「ねじれたピーク」という名の有名な致死性心室性不整脈があり、それを予防する目的ではないかと思います。

ところで、糖尿病薬と言えば、最近はちょっと細胞エネルギー代謝に関係した研究もしています。メトフォルミンは古い薬で、三十年前は糖尿病治療薬としては4-5番手ぐらいでしたが、近年、立場を挽回しているようです。これは、ミトコンドリアの電子伝達系をブロックしATP産生効率を落とし、AMPKの活性化などを通じて解糖系を上げて、血中のブドウ糖の細胞内取り込みを増やして血糖を下げると考えられています。つまり、インスリンの経路とは独立して糖の取り込みを増やすとかんがえられます。結果、ミトコンドリアに流れるはずの解糖産物であるピルビン酸は乳酸に代謝されるので、乳酸アシドーシスを起こすことがあります。理屈上はミトコンドリアの電子伝達系にエネルギー産生を大きく依存する脳や心臓には悪いと思われ、実際、心不全には禁忌とされていましたが、実はメトフォルミンは心臓にも良いという話も出てきています。
 その古い薬のメトフォルミンが再び糖尿病治療の前線に出てきたのは、糖尿病治療概念でのコペルニクス的転換があったからだろうと想像します。糖尿病治療のゴールは血糖値を正常に保つ、に尽きますが、そのゴールを目指すアプローチにはいろいろあって、昔はインスリンを叩いて出させる治療が主体でした。これは2型糖尿病では、そもそもインスリン抵抗性のある状態で、力ずくでインスリンをさらに出させるので、長期的に膵臓を疲弊させ、病態を悪化させることに繋がります。その長期的な問題への反省や新たな科学的発見からこの10ー20年で糖尿病治療が変化してきたのだと思います。

10年後は、またガラッと変わっているかもしれません。人間の体はテクノロジーや医学の変化よりもはるかに進化が遅いので、治療に体を合わせるのが大変です。そうこうしている間に寿命が来ますから、ま、いいですけど。
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