百醜千拙草

何とかやっています

自業自得

2023-01-24 | Weblog
というニュース。

「政府は、防衛力の抜本的強化を柱とする新たな国家安全保障戦略を実施に移すため、世論説得に乗り出す。安保戦略では、中国の対外姿勢を「これまでにない最大の戦略的な挑戦」と表現し、国防への「決意」を国民に求めた。」

マッチポンプもいいところですけど、また怒りが湧いてきました。国会も通さず、国民にも説明せず、勝手に軍拡をバイデンに約束してきた癖に、その負担は全部国民に丸投げした上に、決意を求めるだと、どれだけ厚かましいのでしょう。しかもまるでチンピラ ヤクザのように、弱いものにはとことん傲慢に振る舞うくせに、オヤブンにはとことん従順な忠犬ぶり。人間としてのプライドとか恥の意識とかはないのでしょうか。

これに対し、
小沢 一郎氏、「いま自民党岸田政権が国民に要求しているのは、中身なき無駄遣い軍拡と防衛大増税受け入れへの決意。物価高と国民総窮乏化受け入れへの決意。正に戦前へと着実に回帰していく日本。いまこの国に本当に必要なのは、おぞましき悪政を倒す国民の決意」
山添 拓氏、「まともな外交戦略もなく対外的な脅威を煽り、内政ではコロナも物価高騰も無為無策で自己責任、そして大軍拡大増税。 「欲しがりません勝つまでは」との「決意」を求めるとでもいうつもりか。」
布施 裕仁氏、「全部政府だけで決めた後に「国民に『決意』要求」って順番が違うでしょ」
清水 潔氏、「政府は、ほぼ錯乱状態なのではないのか?」

などと批判。ま、メチャクチャですわ、キシダ。これほどアメリカに対して卑屈なヒラメ総理は見たことがない。その一方で国民生活と日本の安寧にこれほど無関心で非情な男もいないと思います。もうすでに人間ではないのでしょう。ただの操り人形。自分が総理でありさえすればいいとでも思っているのでしょうな。持ち前のみみっちさとチキンぷりが滲み出して、哀れです。

国会も国民の意見も憲法も無視して、閣議決定だけで軍拡を急ぎ、理由も財源もすべて後付けなのは、軍拡を数年以内に完了しないといけない理由があるからでしょう。これだけ軍拡を急いでいるのは、多分、下のアメリカのシンクタンクの報告書に使われている2026年という数字ではないかと想像します。しかし、報告書を見る限りは、この年までに台湾有事がおこるという予測に特に大きな根拠のあるものとは思えません。

そもそも中国は大国でありながら、国境紛争や国内での問題などを除くと、日本と違って周辺諸国へ侵攻するこということをしてこなかった国です。最近では無人島の領土問題争いぐらいですが他国への侵攻というレベルの話ではありません。中国が他国へ侵攻してこなかったは、文化的な理由もあるでしょうけど、なにより中国という国が巨大すぎて共産党政府は国内問題に対処するのが精一杯で外国にちょっかいを出すだけの余裕がないというのが理由ではないだろうかと想像します。

今回、懸念されている台湾侵攻にしても、ちょうどロシアとウクライナとの関係のように、中国政府は、香港同様、いわば中国(国内)の問題だと考えているでしょう。そして、多分、余程の事情がない限り、中国は台湾へ軍事侵攻しようとはしないと思います。

しかるに、世界での軍事的覇権によって、さまざまな国に首を突っ込んでは戦争に持ち込んでビジネスをやってきたアメリカにはそれなりの思惑があるでしょう。アメリカとNATOがウクライナのEU経済圏へ入りたいという意思を利用して対ロシアの軍事戦略に利用したと同じく、もし台湾、フィリピン、日本や韓国に、対中国を仮想敵とした軍拡を始めさせて、中国がそれを脅威に思えば、いくら国外への侵攻に抑制的な中国でもロシアと同じような行動をとるかも知れません。アメリカは我が身に害が及ばない程度の小さないざこざが東アジアで起こってくれることを願っているでしょう。それによって、自らが大きく手を汚すことなく戦争ビジネスは潤い、中国の東アジアの覇権国という地位を牽制できます。貧乏くじを引かされるのは日本。日本のカネでアメリカから武器を買わされ、日本の人員を前線に立たせてアメリカのために戦争をさせられる。その旗振りをしているのがキシダ。
しかし、アメリカも一枚岩ではなく、戦争ビジネスで儲けたい連中と中国との経済交流で儲けている連中の利害が対立しますし、そもそも中国は日本政府のボンクラどもとは違ってそんな安っぽい誘導には簡単には乗らないでしょう。もし、台湾への侵攻が起こるとすれば、中国国内の社会情勢が共産党政府にとってコントロール困難になった場合か、逆に(ま、ないでしょうが)中国国民が一つの中国を希求するというような状況になった場合、いずれにしても中国次第と思います。ウクライナのようにはいかないと思います。

長い前置きでしたが、2026年という年はCSISという日本人にはお馴染みのシンクタンクのシミュレーションに使われた仮定にすぎません。
このシミュレーションでは、アメリカと日本が台湾とともに対抗すれば、台湾の独立は守られると考えられる一方、この戦争に関係した全ての国にかなりの物的、人的損失が出ると計算されるとのことです。

CSISは、自民党の政策を基本的に決めてきたと言っても過言ではないほどの影響力をもっており、このシミュレーションにおいて、日本の自衛隊はすでにアメリカ軍の配下で、中国の台湾侵攻が起きた際に、前線部隊としてアメリカの東アジア戦略の一部として中国と戦うことが想定されています。そこでは自衛隊員も含めた数万人の命が失われると予測されています。

ネブラスカの田舎からウォーレン バフェットによって下される託宣を世界の投資家がおし頂くと同じく、自民党政府はこのシンクタンクの神託を受けて、ヒラメ総理お得意の忖度とごますりでアメリカへの忠誠を示してきたのです。日本人の命と平和と引き換えに。この調子だと、冗談ではなく、キシダは、2026年に台湾有事を「わざわざ」起こさせさえするよう努力するかも知れません。

キシダが、バイデンに「おい、フミオ、焼きそばパン買ってこいよ」とパシリに使われて世界中から笑われるのは自業自得です。しかし、そんな情けないやつに生活を壊されて命を奪われる国民のことを思うと怒りと悔しさが抑えられません。それでもこのクソ政権が選挙で選ばれたものである以上、国民の自業自得と納得するしかないのです。
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Kombucha

2023-01-20 | Weblog
昔からの友人夫妻が夕食に招いてくれました。もう20年以上の付き合いですが家に招かれたのは初めて。しばらく前まで気性の難しい犬がいたので、人は招きにくかったのだという話。大学生の下の娘さんも参加してくれて、ご主人手作りトマトスープのサワークリーム添え、サラダの前菜、メインは、野菜とサーモンのグリル、それからデザートを食べながら夫妻と私との四人でよもやま話。

娘さんは二人ともヴィーガンだそうですが、同席してくれた下の娘さんは、私と同じペスカタリアンへとコンバート中。畜産に必要な餌の生産のための森林伐採で起こる環境破壊を少しでも減らしたいということでヴィーガンとなったが、そもそも社交的な人で、友人との会食などではヴィーガンでは食べれるもの限られ、栄養が確保できないということで今は乳製品、卵と魚は食べるとのこと。

別のところに普段住んでいるお姉さんの方はヴィーガンを貫いていて、かつ非常にアスレティックな人なので栄養に関しては気を使っているらしく、健康食品的な変わったものが色々、家にも置いてあり、勧められたのが発酵飲料の"KOMBUCHA"でした。飲んでみると、これは昆布茶とは全く別のもので、酸味の強い炭酸飲料でした。色々なフレーバーで味付けされていて、最近、流行っているのだという話。悪くない味ですが、そもそもどういう飲み物だろうと思って調べたら、実は、これはかつて大流行した紅茶キノコ由来の飲み物でした。

紅茶キノコは中国が起源と考えら得ていて、それがロシア、ヨーロッパ、そして世界に広まったということ。日本では多分70年代に大流行したのではないかと思います。Wikipediaによると、今回のブームはアメリカ発のようで、2019年のアメリカでのKombuchaは$1.67 billionという巨大マーケットで人気はまだまだ上昇中とのことです。この名前は、戦後に西洋人が紅茶キノコを日本の昆布茶と混同したのが始まりのようです。日本には2015年に名前とスタイルを変えて再上陸したようです。健康にどれだけ良いのかは不明。紅茶キノコのキノコ部分は乾燥させて、食用にしたり、皮革の代替品として使えるそうです。

大昔の子供時代、近所に住んでいた親戚のおばさんが作っていたのを思い出しました。紅茶キノコブームは台風のようにやってきてあっという間に過ぎ去り、おばさんの紅茶キノコ培養もある日突然終わり、キノコは近所の川に捨てられてしまったのでした。そのおばさんは今は自家製ヨーグルトと味噌を作っています。次はキムチでしょうか。
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Rock bottom

2023-01-17 | Weblog
私は批判的に物事を見るタチで、人からは悲観主義すぎると言われますが、単に現状を客観的に評価しようとしているだけで、実際、その現状評価に基づいた今後の予測が大きく外れたことはありません。善因善果、悪因悪果ですから、現状を評価すれば未来がある程度、予測できるのは当たり前のことです。

日本の遠い将来に希望がないとは思っていませんけど、現状を見るとその希望の明かりが見える前に、日本は一旦、落ちるところまで落ちることになると私は感じずにはおれません。客観的に見て、今後、日本が良くなると考える材料が何一つありません。一方で悪くなる原因は山のようにあります。

良い国にしようとする努力をせず、長期的な問題は言うに及ばず喫緊の重大事でさえ、やってるフリしてやり過ごし、自分とオトモダチの目先の利益と権力を最大化することしか考えず、その権力を利用して国民を欺き搾取し国を売り続けてきた腐敗し切った日本の政治、そうした政治を許してきた国民を見れば、今後の日本がどうなるかは火を見るよりも明らかと言わざるを得ません。

建前は民主主義国家ですから、この強烈な政治腐敗が止まらないのは、国民の責任と言えます。政治のレベルは国民のレベルを反映しており、これこそが私が日本は落ちるところまで落ちるだろうと予想する理由です。

国民には何一つ相談せず、閣議決定だけで莫大な額の防衛費増額を決め、戦争放棄を放棄し、自衛隊を米軍の下部組織として差し出して、バイデンの歓心を買おうとした植民地の番頭、キシダがバイデンに肩に手を置かれて卑屈な笑いを浮かべているニュースの写真に、白井さんは下のようにコメント、

白井 聡/Shirai Satoshi @shirai_satoshi:
この表情! だけどね、岸田は日本の民主主義政治システムによって正当に総理に選ばれたんであって、日本国民の代表者なんだ。つまり、この腑抜け面は、鏡に映った日本人そのものなんだよ。 

無邪気な政治家と無気力で疲れ切った国民を乗せたこの日本という泥舟を救うものがあるとすれば何でしょうか。現状と過去を見れば、結論は単純です。「外圧」しかありません。日本人は、世界の誰よりも変化を嫌い、常に現状維持を支持し、個人的モチベーションや時にその生存さえ犠牲にしてでも、周囲に同調したがる民族です。そこへ、山本太郎のような救世主が出てきても、自分の頭で考えることを放棄し現状を変えることを恐れる日本人は、救世主の方を叩くような有様です。

外圧ではなく、日本が自主的に己自身を救える可能性があるとすれば、「れいわ」という山本太郎が一人で立ち上げて育ててきた市民政党を中心とした勢力が政治を動かすようになることだろうと思います。政策的な差はあっても共産党は大きな目標という点で同調するでしょうし、創価学会が公明党を見限ってこちら側につく可能性もあるでしょう。しかし、そんな流れが十分に大きくなるまで、国民は動かない。山本太郎がこれまでに成し遂げたことは、戦後日本の政治史上、驚愕に値することですが、まだまだ流れを変えるほどの大きな勢力にはほど遠い、そのことを最もよく自覚しているのが山本太郎本人でしょう。彼は共産党の秀才議員並みの頭脳を備え、革新的な発想とアイデアを持ち、田中角栄以上の行動力を兼ね備えた逸材ですが、それでも一人の人間にしかすぎません。そして、日本という国が、弱い国民からどんどん海に突き落としていってたとしても、船が沈没しはじめるまで時間がないということもよくわかっているでしょう。

私は日本が再生するには、まずは、一旦落ちるところまで落ちるしかないだろうと感じています。現状のまま衰退を続け自滅するか、外国との戦争に巻き込まれて占領状態におかれるか。いずれにしても一旦、物質的精神的に困窮を極めることになると感じます。

今回のキシダの性急な軍拡と憲法無視によって、台湾有事をきっかけとする中国の東アジア覇権追求への牽制のために、日本が自身のカネと領土と兵力を使って、米軍配下で米中の代理戦争をやらされる危険性が現実味を帯びてきました。アメリカとNATOの対露戦略に利用されて荒廃した現在のウクライナと同様の状況が近未来の日本かもしれません。

石垣島にはミサイル基地が設置されるらしいです。大袈裟に言えば、これはキューバ危機に喩えられるかも知れません。これが万が一、エスカレートして米中の軍事対立に達するとしたら、まず最初に起こることは、日本にある在日米軍、自衛隊駐屯地が攻撃をうけ、沖縄と南西諸島を中心にかなりの被害を出した後、日本政府が再び負けるとわかっている戦争に全面的に突入しまうことでしょう。そして、当然、国土は荒廃し、その後は米中(露)による実質的な分割統治に落ち着くのではないだろうかと想像します。再生が起こりうるのは一旦、焦土になってからだろうと思います。それが嫌なら、日本が自ら変わらねばなりません。しかし、その可能性は現状のところとても低いと思わざるを得ません。
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先人

2023-01-13 | Weblog
ヒストン修飾が遺伝子の活性を調節するという仮説から一大パラダイムが確立されたのは、おそらく2001年のDavid AllisのScienceの論文において、"Histone Code"という言葉が使われて広まったからではないかと思います。

修飾ヒストンの存在はもっと以前から知られていましたし、ヒストンの修飾が遺伝子への転写因子のアクセスに影響することも知られていました。しかし、世の中の流れというのは、一つの言葉で変わるもので、以後、最近まで続いたエピジェネティクス ブームはまさにこの言葉で始まったのではないか、と振り返ると思うわけです。そして、David Allisはエピジェネティクス研究のアイコンとなり、2018年にはラスカー賞受賞に至っています。

それから五年、彼の訃報を聞きました。71歳だそうです。71歳といえばまだ若い方ですけど、早い人は50前からボツボツと癌や病気で死に始めるわけで、私がAllisの年まで生きている確率は5割ぐらいではないだろうかと想像します。私がその年に達するまでの年数と、その同じ年数を遡った昔の頃のことを思い浮かべると、おそらく時間はあっと言う間に過ぎていって、気がついたら死んでいた、という状態になっているのではないだろうかと想像します。

約10年近く前に、ある珍しい脳腫瘍がヒストンH3の27位のリジンのメチオニン変異によって起こされることが彼のグループから発表されて、その後、この変異に関する研究が続々と続きました。このH3K27というアミノ酸の修飾の意義はヒストン コードの中でもとりわけ有名なもので、そのアセチル化は活性のあるエンハンサー領域を非常によく予測し、3メチル化は不活性な遺伝子領域を予測します。ヒストンH3は多くの遺伝子によってコードされていますが、その一つにだけでも修飾不能になる変異が起こるとがん化するぐらいのインパクトがあるというのが興味深く、私も自分の分野に応用して、簡単な実験をするために、彼の研究室からプラスミドを分けてもらった覚えがあります。あいにく、私は以来エピジェネティクスからだんだんと離れしまい、結構手間をかけてやった実験データもおクラになって、発表する機会を失い、そうこうする間にブームも下火となっていきました。それだけの水よりも薄い縁ですが、私にとってお手本とすべき研究上の先人の一人でありました。

科学者に限らず、どんな偉大な業績を残した偉人もいつかは死に、やがて歴史の中に忘れ去れれていき、教科書の片隅に名前が残るだけの存在となっていきます。でも、死んだ人のことを思うとき天国にいるその人の上には花吹雪が舞うのだそうです。
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デトロイト空港

2023-01-10 | Weblog
この間、久しぶりにデトロイトの空港を利用しました。
初めてアメリカ(本土)に来た時は、ノース ウエスト航空という飛行機会社を使いました。日系の航空会社を除くと太平洋航路が強い航空会社は当時はノース ウエストで、そのハブになっていたのがデトロイト空港でした。なので、当時はアメリカの東海岸に行こうとすると、デトロイトでの乗り換えることが多かったのでしたが、ノース ウエストは2010年にデルタ航空に吸収合併され、消滅しました。その後デルタは利用客の減少、空港利用上の問題などで、日米間の便数を減らし、大韓航空との共同事業を機に、アジアのハブを東京から仁川に移したこともあって、私も、デルタ(旧ノース ウエスト路線)を使うことはなくなくなりました。代わりにユナイテッド航空やアメリカン航空、JALなどを使うようになったので、乗り換え空港も、ニューヨークやシカゴなどといろいろとなり、デトロイトを使うことはなくなりました。

今回は久しぶりのデルタで、デトロイト空港を利用したのは多分10年以上ぶりです。この空港ターミナルは横に長く広々としており、ターミナル内を電車が走っています。かつては日本とアメリカ東海岸をつなぐポータルであったこともあって、日本語の表示や日本名のレストランなどが多く残り、豊かだった頃の日本を思い出させます。コロナ後ということもあるのでしょうが、今は、店もいくつかは閉まっていて、多少寂しい感じを受けます。昔の賑わいを思い出しながら、Nostalgicな気分になって乗り換えの飛行機を待っていると、時の流れと無常さををひしひしと感じます。

思えば、私が子供の頃、世界の空を制していたのはPan Amでした。飛行機旅行がまだまだとても贅沢な時代、Pan Amで旅行することはステータスで、旅行するともらえる青いパンナム バッグはそのシンボルでした。しかし、その殿様商売が仇をなし、90年代に入るまでに旅客航路としてのPan Amはほぼ消滅、太平洋路線はユナイテッドに引き継がれました。

どれほどの栄華を誇っても、結局は一時のものにしか過ぎません。このデトロイトの空港も、20年前には大勢の日本人旅行者でごった返していたのだと思います。それも今は昔。綺麗にメインテナンスはされているものの、この広い空港の少し寂れた感じは私は嫌いではありません。

同じく、私にも若く、エネルギーあふれ、野心と希望に満ちた時代がありました。同時にそれは、失望と挫折と苦しみの日々でもありました。その生きる苦しみを、日々の些末時で紛らわせている間に、そんな青春の日々はあっという間に時間の砂漠に埋もれ去り、今やどこにいってしまったのか、よく思い出せません。ちょっと寂しい気もしますが、同時にホッともしています。

若い頃、この空港は、希望とチャンスに満ちた新大陸への玄関口でしたが、今はそのころを懐かしく思い出すだけの場所となりました。花に嵐の喩えのように、さよならだけが人生で、散った花弁を愛しむ、そんな穏やかな日々です。
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帝国の亡霊

2023-01-06 | Weblog
今年の元旦、立憲の党首は、軍国主義を象徴する乃木神社に参拝したことを写真付きでツイートし、批判の嵐にあったあげく、その批判に対して開き直って逆ギレし、さらに炎上するという事件がありました。

この事件に関して、鮫島さんは1/5付けの記事の中で、次のように述べています。

「正月早々の「泉騒動」は、野党第一党の党首でさえ歴史的認識が浅薄で『軍国主義』や『戦前復古』への抵抗感が薄れているという恐ろしい永田町の現実に加えて、立憲民主党が共産党やれいわ新選組との野党共闘に立ち戻るつもりがさらさらなく、外交・安全保障政策で自公政権との対立点を極力なくして自公政権との連携を探る『ゆ党(野党と与党の中間)』になったことを如実に示すものである」

立憲民主党が立憲でも民主でもない怪しい党になって久しく、その迷走ぶりは今にはじまったことではないとはいうものの、呆れてばかりいる場合でもなく、共産、れいわ、社民を除く政党がどんどん右傾化を強めていく様子を見ると、危機感しかありません。

一方、海上自衛隊広報部は正月のツイートで、背中にそろって「正義」と書いた服を着た隊員立ちが、旭日旗のたなびく前でポーズをとっている写真を堂々と上げた上に、それに「カッコいい」とか「日本を守ってください」とかいうコメントがついて「バズってる」とリツイート、もう末期感しかありません。自衛隊が「正義」と「軍旗」を振り回し、野党第一党の党首が元旦から「乃木神社に参拝しました!」みたいなツイートをすることに何の躊躇もない、日本はいよいよ「良識」と「思慮深さ」と「反省」の欠如した国になりつつあると解釈せざるを得ません。

キシダ政権の軍事費をGDPの2%に引き上げるという方針は、アメリカの指示によるもので、それを閣議決定だけで拙速に決めたのは、一週間後におこなわれるバイデンとの会談に間に合わせるためでしょう。軍事増強への根拠を何も示さず、財源の議論もなく、国会も通さずに行われたという事実を鑑みれば、そのやましさは明らかです。国会審議にでもなれば、「アメリカ政府に命令されたから」と答えるわけにもいかず、すべての都合の悪い答弁では「しっかりと聞く」とか「しっかり考える」とか言うのが精一杯のキシダは、さすがにパンチドランカーのスガほどではないにせよ、立ち往生するのが目に見えていることを自覚しているのでしょう。

それでは、ここに来てアメリカが日本の軍事強化を推し進めようとするのはなぜかということです。私はアメリカの戦争ビジネスと自民の保身だろうと一義的に考えていたわけですが、もう少し広い視点で議論されている記事を見つけました。

このブログ記事は、(おそらく)ニュージーランドの親日家の筆によるもので、2015の記事を再掲したものです。外国人がここまで深く、しかも7年も前に、考察をしていたことに、私は感嘆しました。下の会談での周恩来が引いた諺のように、外から見る方がよく見えるのかも知れません。

大日本帝国の長い影について (ガメ・オベールの日本語練習帳)

この記事の中で著者は、「アメリカが日本に大兵力を常駐させているのは、もともと、 世界で最も好戦的な民族であると何度も分析されている日本人を再び他国への侵略に乗り出させないためであることは、アメリカ政府の要人がたびたび言明している。」と述べており、記事には50年前のニクソン訪中に先立って行われた周恩来とキッシンジャーとの会談の様子を筆記したアメリカ機密文書がリンクされています。(アメリカの機密文書は30年で機密期限が切れ、公開されます)そこでの会話をみると、周恩来はアジアからの米軍の撤退を要求するとともに、日本の急激な発展の先にある軍拡を懸念している様子が伺えます。それに応えて、キッシンジャーは、日本は経済発展とともに急激に軍事力を増して再び周辺諸国を侵攻する可能性があるという懸念に同意を示した上で、在日米軍の軍事力は日本の潜在的軍事力には比すべくもないが、在日米軍は日本が軍拡を追求することを阻止する役割を果たしている、と述べています。日本が再武装すると、30年代と同じ誤りを繰り返す可能性が高く、それは米中双方にとっての不利益であり、アメリカは日本を中国に対立させるために使用するつもりはない、と述べています。(p44 あたり)

これを踏まえて、このブログの著者は次のように結論しています。

「ここに来て、アメリカが安倍政権に対して「戦争する国になってもいいよ」と言い出したのは、日本が再び歴史を通じての本来の国の姿、戦争屋としてアジアの平和を破壊するリスクと、中国のリスクを秤にかけて、中国のリスクのほうが、いまの不透明で操作的な市場では必ず起きると考えられている1929年のような経済崩壊によって人民解放軍の発言権が増す予測を踏まえて、中国が予定よりも早く東アジア全体を支配するリスクのほうがおおきいと判断しているからだと観測されている。」

また、アメリカの戦法の変化によって、「多分、5万人程度の事実上はアメリカ軍配下の兵力を日本人によって新たに作り出すことが必要になっている、、、日本を外交的軍事的に御していく自信があれば、今度は自分の手でなく敵の手をかませるのに使えばよい、と思っている。」と述べています。

一人一人は礼儀ただしく、十分に知的で思いやり深い日本人が、集団になると、阿波踊りの阿呆状態で踊り出し、理性のタガが外れて収拾がつかなくなる危険な民族である、という評価に私は同意せざるを得ません。声の大きい人間の号令で一斉に右を向く日本人です。流されやすく付和雷同する日本人が、アメリカの指示とはいえ、軍備増強していくのを最も懸念しているのは、中国やかつて日本の帝国主義によって深い傷を負わされたアジア諸国、それから実際に戦争を経験した世代のアメリカでしょう。

歴史を知り戦争の現実の悲惨さを想像できる日本人が政治やメディアの中枢に少なくなってきた今、「日本軍」がアメリカの思惑を越えて、馬鹿な真似を始める可能性を否定するのは難しい、と私は感じています。第二次大戦の日本の戦い方を見て、アメリカは日本人はクレイジーだと恐怖したでしょう。もちろん、悪い意味での「クレイジー」です。だからこそ、アメリカは日本を徹底的に破壊し、戦後はA級戦犯を使って傀儡政権をつくり、戦争を放棄させ、二度と立ち上がれないようにしたのでしょう。上の1971年のキッシンジャー、周恩来の会談には、日本人の理解し難い気質への恐れというものが読み取れます。日本人は一つ間違えば、制御不能となる狂犬の集団だとでも考えていたのだろうと思います。

しかし、アメリカは、小泉政権あたりから自衛隊を米軍のアジアにおける下部組織として活用していく方向に転換し、その傾向はアベ政権から加速しました。もし現在のアメリカ政府が日本人は容易に制御できると思っているとしたら、戦後80年弱、おそらく日本人の集団ヒステリー気質が幸いして、あまりに上手くいきすぎた間接統治の成功体験によって油断しているのではないかと危惧します。日本人は集団化することで容易に「クレイジー」になって手がつけれなくなる可能性があります。そういう集団がアメリカ産の兵器で武装を強化していくのです。一つ間違えば、なんとかに刃物、を地で行くことになりかねないと私は思います。

だからこそ、「国を守る」とか「正義」がどうとかという建前を安易に口にする連中を警戒しないといけないし、正月から乃木神社に参拝するような野党党首や靖国への公人の参拝といった行動は、その都度、批判していく必要があると思います。
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新しい戦前

2023-01-03 | Weblog
2023年となりました。
百年前の1923年は、関東大震災の年で、第一次世界大戦が終わって5年後、日清、日露戦争からの流れで日本はアジアでの帝国主義を進め、8年後に満州事変、5.15事件が起こり、13年後は2.26事件、14年後に日中戦争勃発、15年後に国家総動員法施行、16年後、ドイツのポーランド侵攻で第二次大戦が始まり、18年後、インドシナ侵攻、そして18年後、1941年の真珠湾攻撃と続いていきました。大敗戦を喫した第二次大戦、戦後の世界統治形態が現在に至るまで続き、日本は戦勝国で作る国連からは執行猶予付きの戦争犯罪国家といまだにみなされております。そんな中での対米隷属、アメリカの植民地であり続けることは戦後の日本の委託統治を任された自民党の党是でした。

昨年末には、徹子の部屋でタモリさんが「来年はどんな年になるでしょう」と聞かれて「新しい戦前」と答えたことが話題になりました。それだけ多くの人が同じように感じているということだと思います。

自民党の改憲案、全体主義国家化、防衛費の巨額増大、戦争放棄の放棄、メディアの北朝鮮や中国の脅威への煽り方、国民生活の破壊、こういったものを見ていれば、キナ臭さを感じない方が難しく、ちょうど100年ほど前から20年かけて段階的に醸成された戦争への準備を思わせます。日本も第二次アベ政権あたりから急速に全体主義、排他的傾向を強め、政権の権力を最大化する方向へと法整備を進めてきました。その政権発足から10年、このままだと後数年で、日本は戦争に突入するかも知れません。

利権でしか動かない自民党ですから、防衛費の増大も他国への軍事費援助も、「カネ」と「力」が目的です。つまり、対米隷属によって権力を保ってきた自民党が、バイデン政権が求めるままに防衛費を倍増させてアメリカと日本の軍需産業が作った兵器の在庫を言い値で買い取って儲けさせることが目的でしょう。防衛だけに限りません、アベが外交という名目で60兆円というカネを外国にバラ撒いてきたのも同じ、各国での事業を日本の利権企業に請け負わせ、票にして環流させるのが主目的。キシダ自民の他の政策も同じです。赤旗は今回のキシダ内閣の原発推進政策に、原子力ムラから相当な献金があったことを報じています。

カネと力のためには国を売り、国民に危険を背負わせて、生活と命を破壊することを、屁とも思わない自民党の刹那主義が日本と世界にとって、極めて有害で危険きわまりないことは論を待ちません。子供の火遊びが火事を引き起こすように、戦争を知らない世代の世襲議員が金儲けのネタに戦争を弄ぶことの危うさを、少しでも思考能力がある人間なら感じずにはいられないと思います。

先の敗戦で子供の頃から戦争の悲惨さを繰り返し聞かされて育ってきた人々は、戦後の高度成長期に子供時代を過ごしてバブル前に社会に出た比較的幸運な世代です。彼らは、平和によって享受してきたものの大きさ、戦争の有害無益さを実感しています。しかし、その後の世代、不条理な苦しみを耐えてきたロストジェネレーション世代の人々、それから政府の棄民政策に生活を脅かされている人々は、むしろ戦争のような劇的な変化に希望を見出すしかないというような気分に追い込まれている人も少なくないのではないかと想像します。むしろ、政府は、増税と福祉のカット、自己責任論を通じて、人々を追い詰め、戦争に希望を求めるような気分になるように彼らを誘導していると私は感じます。

かつての中国の反日政策にみられるように、国民の不満を外に向けることによって政府への批判を躱そうとするのは、どこの政府もやってきたことです。しかし、日本政府がメディアを通じて北朝鮮や中国の脅威を煽り、密かに全体主義メッセージを流してきたことは、そうした国民の不満を逸らすためだけではありません。

経済政策の失敗によって貧しくなった唯一の先進国、日本はそう評価されていますが、実は経済政策の「失敗」ではなく、自公政権は意図的に国民生活の困窮化を目指し、意図的に日本を貧しくしてきたのだと私は確信しています。

独裁政権において、権力を維持するためには、百姓は生かさぬよう殺さぬような状態に置いておくのが望ましいのです。日本は形式上は民主主義国家ですが、実態は自民党の独裁政権であり、かつてアベがうっかり「税収というのは国民から吸い上げるもの」と答弁してバッシングを受けた通り、政府与党は自らは支配者であって、国民を封建時代の百姓と同様に考えています。この二十年、自民党はますます独裁性を増し、日本は半世紀前、軍事増強ばかりを優先して急速に没落していった独裁政権下のソ連と同じ経過を辿っているように思えます。いまのロシアは遠くない未来の日本かもしれません。

それでは、自公政権がなぜ、日本を戦争をできる体制にして、おそらく実際に戦争を企てているのかという理由ですけど、先に述べた通り、これは基本的に自民党のカネと権力維持のためではあると考えられます。つまり、日米軍産、自民党、それから財務省の思惑がうまく重なり合っているからでしょう。

しかし、そこに圧倒的に欠けているのは未来に対する想像力と思考力です。対米隷属を党是とする自民党が、先制攻撃をできるように法整備し、自衛隊の戦力を増強して、やろうとしてことは、自腹を切って自衛隊をアメリカの軍事戦略の鉄砲玉として差出すことでしょう。日本はアメリカに大量の武器を買わされ、それで武装した自衛隊はアメリカ軍のかわりに次の戦地へ行かされて捨て駒にされた上、日本が戦争責任の一端を負わされるということです。かつて小泉政権のときに自衛隊のイラク派遣が大問題となりましたが、そうしたことがもっと大規模に堂々と行われることになるということです。つまり、自衛隊は日本の防衛ではなく、本来日本とは無関係の他国でのアメリカの戦争ビジネスと自民党の権力維持のために利用されて殺される、ということです。自民党とは票のためには、韓国の反日カルトと癒着して日本人信者から資産を吸い上げる霊感商法の片棒を担ぐのを隠そうともしない連中です。権力のために日本国民の安全と生活を売り渡すことを屁とも思っていないでしょう。

今年は「新しい戦前」と間違いなくなっていくでしょう。100年前を思えば、10年以内に、「新しい開戦」を日本は始めることになる可能性は高いと思われます。中国共産党が台湾併合に意欲的になった時、アメリカが言うがままに戦争に突入し、日本はちょうど今のウクライナのような状況に置かれるかも知れません。沖縄、そして本土の自衛隊駐屯場を中心に本土戦になるかも知れません。

今回はすでにかなり長くなったので、続きはまた次回にでも。
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