百醜千拙草

何とかやっています

非生産的日々

2019-03-29 | Weblog
ようやくグラントが最終形に近づいてきました。もうちょっと推敲して終わりにします。私の場合、推敲しだすと、細かいことが気になって、エンドレスになります。語尾を「、、、である」にするか「、、、であった」にするかというかというレベルで立ち往生したりします。

そんなことは、週末にビールでも飲みながらソファーに寝転がって審査をするであろうレビューアーにとってはどうでもいいことです。気をつけるべきは、半分酔っ払った人でも「ふんふん」と読めるぐらいシンプルにストレートに書けているかということでしょう。そのためには文章は短く、シンプルに、綴りや文法の間違いをしないというテクニカル面に注意することと、あとは、研究計画の中身が力強いこと、つまり相手が欲しがっているものを提供できているか、極端に言えば「渡りに船」だとでも 思わせるような形でグラントが書けているか、という点だと思います。その辺だけに注意して一通り読み直し、完了とします。

まだ、周辺書類の準備ができておらず、今日は半日以上を潰して、プロジェクト三年間にかかる研究費用の内訳の計算をしていました。こういうのは何ていうのでしたかね、取らぬ狸の皮算用ですか。そして、グラントそのものはまだ絵に描いた餅。正直、虚しくなってきますね。だいたい確率1割の「当てもの」ですし。

それにしても、今回のは長くかかりました。ほぼ丸々、一ヶ月で週末もずっと原稿用紙とコンピューターを睨んでいたので、非常に非生産的な一ヶ月でした。これから、本格的に実のあることをやっていきたいと思うのですけど、その前に秋からの新しいプロジェクトの費用交渉が始まってしまい、それに向けて動物実験プロトコールを書かなければならなくなりました。これでまた数日間は、まだ生まれてもいない動物の数を勘定しなければなりません。この手の仕事が次からつぎに増えていきます。こういうのは何というのでしたっけ、ネズミ算?。

このプロジェクトも今回のグラントもそうですが、リスクが高く、成功が読めないものをサポートするためのプログラムに出しています。今回のは、やることは単純ですが、成功しない確率もかなり高いので、どっちに転んでもなんとか論文にできるような形で進めたいと望んでいます。やったことのない実験を組み合わせてあるので、ひょっとしたら大前提の実験でコケて、そこで撤退になるかもしれません。グラントにはあたかもその実験は簡単に成功して、それに基づいて中心となる実験を行うように書きましたが、正直、そこまでたどり着けるか不安です。
こういうのはなんというのでしたか、砂上の楼閣でしたかね。

ふりかえれば、この半年あまり、こんなことばっかりしていました。なんとも非生産的です。世界の研究者の人々が発見を積み重ねている間に、こちらは空想の世界ですからね。これでは、子供がビデオゲームにふけっているのを注意できるような資格はないなあ、と密かに思った次第です。
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正直、真面目、向上心

2019-03-26 | Weblog
実験動物を扱っていると、相手はどこまでこちらを理解しているのだろうと思うことがあります。しかし、ネズミに向かって「お前は俺のことをどう思っているのだ?」と聞いても答えが返ってくるわけもなく、お互い理解し合えないものだとの前提で対応しています。

そんなことを考えていたら、人間どうしでもそうだな、と思いました。外国人で言葉が通じない場合に意思疎通が不自由になるのは当然として、同じ言語を喋り、同じ文化圏で育って生活していても、理解し合えない人々はいます。自分の配偶者でさえ「お前は俺のことをどう思っているのだ?」と問いかけたい気持ちになることはしょっちゅうです。ま、最近は理解し合えないものだと思ってやっていますが。

人間が他の人間や生物と一緒に地上で生活していく上で、必ず他者との関わりあいがあり、お互いに相手のことを自分なりに理解し、普通、その理解に基づいて行動しています。その理解の仕方というのは個々にユニークであり、そこに人間どうしが根本的には理解し合えない原因があると思います。「バカの壁」というやつですね。

最近、また新しく研究員を雇おうとしていますが、過去に何度かかなり大きなハズレを引いたので、慎重になっています。仕事上の関係なので、お互い目指すものは共通していますし、こちらの要求はかなりはっきりと伝えているはずですが、どうしても人間関係ですから、常にハッピーといういうわけにはいきません。相手はこちらの言うことを相手にとって都合の良いように解釈する傾向があり、こちらも同様です。

以前は、相手の思うところを汲み取って緻密にこちらの要求とすりあわせていけば上手くいくはずだと思っていました。相手が自分と同じ理解体系をある程度共有していれば、とこれでもいいですが、それでも、人間は感情の動物であり、感情は山の天気のごとくに変化しますから、人間というのはしばしば豹変します。そしてみんな、大抵は自分は正しいと思っており、悪いことがおこれば他人の所為にしたがります。そうなると、意見のズレは感情の対立となり、そうなると相手を理解しようとする努力は失われコミュニケーションは断裂です。自分自身が絡む局面を自己を離れて大きな視野から見ることができる人間といのは滅多にいません。

ま、最近は、人間というものは理解しあえないものだ、と思うようになり、それを前提にして行動すればストレスが少ないということがわかりました。理解しあえなくても、仕事や家庭の目的上、一緒にやっていくという一点を共有しておればなんとかなると思います。そこに最も大切なことは「正直さ」であろうと思います。なので「正直さ」が尊重すべき人間の資質であるという価値観は少なくとも共有されていないと人間関係は成り立ちません。

「正直さ」というのも実は結構、解釈の幅があるようで、ある国の文化圏では、己の利益を守るためなら、ウソをついて他人を欺いても良い、と教育されているようです。自分や家族を守るためにウソをついても、「正直でない」とはみなされないのだそうです。ま、このような恣意的な正直さでは科学研究者としてはダメですが。

結局、今回、オファーを出すことにした人とは、メールのやり取りの後、会って話をして、それから最新の投稿前の原稿を見せてもらって決めました。前にも書きましたが、一事が万事で、メールの最初の1行を読めば、ダメな候補者はだいたいわかります。その判断が間違っていたことはありません。グラントと同じですね。最初の一ページがダメで残りが良いグラントなどありえません。

私のレベルの研究室では、「優秀な人」というのは滅多に応募してきませんので、ダメではない人の中でのベストを消去法で残していくしかないのですが、結局、私が求める条件は「正直」で「真面目」に「多少の向上心」、だけです。とはいうものこの三つを同時に持つの人は、稀ではないかと思います。多少の向上心をもって正直に毎日真面目に数年やれば、立派に優秀な研究者になっているはずですから。あいにく、多くの人が向上心をもって真面目に毎日つまらないことを続ける努力ができずに脱落するようです。向上心はあるが不正直な人には大変困りました。そういう人は真面目ではもちろんないわけですし。向上心はないけれども真面目で正直という人もいて、こういう人もちょっと困ります。技術補助員には向いているとは思います。
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売国一族

2019-03-22 | Weblog
何度も言ってナンですが、日本はもう末期的です。
首相が前代未聞の低脳にくわえて、倫理観のカケラもない人間のクズで、筋金入りの売国奴。それに群がる己の利益しか考えていない政治屋と官僚組織。連中はいかに国富と国民の税金を私物化するかしか興味がないようです。

そのためは国民を欺き、嘘をつき、不都合は隠蔽し、文書は改ざんする。それは、先祖代々アベに引き継がれたものなのでしょう。アベの祖父の密約や日米安保の欺瞞には多少やむを得ない部分もあったでしょう。とにかくA級戦犯ですから、アメリカに逆らえば殺される、そんな中で生き延びるには操り人形となる選択しかなかったでしょうから。しかし、アベには同情の余地は全くないです。この男は己の欲と保身とエゴのために、自ら進んで魂を売り(最初から魂などなかったのでしょうが)操り人形となって、日本を破壊していっているのですから。

数日前の参院予算委員会での山本太郎氏のストレートな糾弾。これだけ言っても何もかわらない。

(辺野古の米軍基地新設強行に関する議論の中で、岸信介の日米安保の欺瞞を指摘し)「総理自身がこの植民地状態から脱するという決意をしないと何も終わらない。おじいさんの作った売国条約をあなたの手で変えてくださいよ!それがあなたがやるべき仕事じゃないんですか!沖縄に基地は造らせない!」

この質疑の最中にNHKの国会中継は突然終了。わかりやすいですなNHK、政権のプロパガンダ拡散部門、日本偏向報道局。政権に都合の悪い質問は放送しない。国民のみなさんの視聴料で国民を欺き税金を盗む売国政権の提灯持ちとは、この国の恥しらずは浜の真砂のようにubiquitousです。

しかし、この恥知らずの売国政権が日本を世界一の借金大国にし、先進国最低レベルの最低賃金、右肩下がりの国民所得に、あいつぐ福祉のカット、年金受給年齢の引き上げ、と国民生活を破壊していって、将来の世代に取り返しのつかないレベルの負担を強いようとしているのに、まだ4割もの人々がこの史上最悪の無能の売国政権を支持しているというキチガイ沙汰はどういうことか。思うに、アベ政権の極悪非道ぶりが国民に十分に周知されていないとしか思えません。そして野党に対する散々なネガティブキャンペーン。ま、野党側にも問題はありますが。いまだに田中角栄の時代に恩恵を被った地方では条件反射的に自民党を支持する人も多いようです。しかし、今の自民党は昔の国民政党として派閥間でリーズナブルなコンセンサスを得て物事を進めるような保守政党ではすでにありません。アベ政権が独裁制を引く与党政府はもはや右翼カルト集団です。この集団は知らない人を騙してテレビとメディアで洗脳してオルグする新興宗教団体に近いです。そして知らない人ほど、安易に、政権の危険さを知って危機感を持ち、義務感から声を上げている人をバカにしたがるものです。また、そういう連中をメディアに出して、政権に都合の悪い人々を無邪気に攻撃をさせたりする政権忖度メディア(と言うか官邸はメディアに露骨に圧力をかけ、トップにメシを奢って懐柔していますが)が、アベを延命させている。

思うに、一般国民は生きていくので精一杯で、アベの売国政策で、自分たちの税金が使われるべきことでないことに使われ、使われるべきところに使われず、この税金泥棒どものせいで、もはや一般国民は自分の墓穴を掘らされる奴隷のような状態であることを知らない人も多いのかもしれません。福祉予算を削って役立たずの兵器を買い、日本の防衛とは何の関係もない上に沖縄県民にとって迷惑そのものの在日米軍のために、自然を破壊し巨額を払う。そのカネも沖縄県民を含む日本国民の税金が原資。そして、世界一の借金国なのに外国にいってカネをバラまく、交渉能力がないからカネで歓心を買うことしかできない。おかげで、カネをもらう方の国にはアベは評判はいいようですが、その交渉能力ゼロをバカにされています、おだててればいくらでもカネをだすやつだと。

まさに三代目の苦労も知らないボンボンが身上を潰すを地でいっています。自分の先祖の残した財産を食いつぶして自分が困窮するのは自業自得でしょうが、この男は国民には塗炭の苦しみを与え、己の責任は官僚や部下になすりつけても、自分だけはうまい汁を吸い続けるつもりらしいです。今期の国会で言った「森羅万象を担当しており、自分は国家である」との言葉は、たぶん本当にそう思っているからでしょう。つける薬がない狂人です。

多少、うれしい話題は、大阪ダブル選。さすがにこのようなデタラメをやれば市民も府民も怒る。この選挙がこの政党の消滅のきっかけになればいいと思います。しかし、府知事は政界から消える前に、アベに言われてごり押しして森友の認可を出した責任をちゃんととってからやめてもらいたいものです。
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バルカン民謡

2019-03-19 | Weblog
来月頭の締め切りに向けて、グラント書いています。今回のは単純な筋なので、比較的簡単に書けるだろうと予想していたのですが、この三週間あまり、ほぼこれに集中してきたのに、まだ形が見えてきません。予備データをあまり含めないのが前提のグラントなので、理屈の勝負です。論理を二段、三段と積み重ねながら、積み重ねても論理が崩れないことを過去の文献のデータに基づいて示さないとなりません。書きながら細かい文献を調べたりしているとあっという間に時間が経つのに一行も進んでいないこともしばしば。

グラント書きには、数年前からPomodro timerを使っています。どうしてもやらねばならないミーティングや実験や他の作業のない時間は部屋にこもって、1日に5-8セットぐらいをやることにしていますが、ちょっとこの調子で間に合うか、心配になってきました。私は推敲に最低一週間かかるので、その他の書類の準備や、事務でのチェック期間を考えると、後、一週間で初稿を上げないと時間的に苦しいです。
千里の道も一歩から、と自分に言い聞かせながら、焦らずコツコツやるしかないと、今日もPomodoro Timerをセットする日々です。

座ってする仕事は、昔からBGMがある方が集中できる方で、iTuneで好きな音楽を流しなが作業しています。数年前に科学雑誌で知ったある研究者の人は「編み物」だそうです。編み物をしながらだと集中できるそうで、研究発表会やミーティングでは編み物をながら研究発表を聞くのだそうです。さすがに編み物しながら書きものはできないでしょうけど。

私は、主に、バッハの鍵盤曲と最近はバルカン民謡きいています。ちょっとしたきっかけでロシア民謡を聞き出してから、スラブ文化圏を南下して、バルカン民謡に至ったわけですが、このアジア、スラブ、ヨーロッパ文化が混じり合う地域の音楽は独特な魅力があります。変則リズムにアコーディオン、それからこの地域特有の笛の音色、アラビア風の音階と西洋風の和音進行、なかなかクセになる味わいがあります。もう一つの特徴は極端なビブラート、コブシを効かせるメロディーラインです。日本の民謡や演歌も思わせます。

セルビアの歌手による演奏で気に入っている曲を二つほどリンクしたいと思います。

Zubor voda zuborilaは、コソボの民謡のようですが、哀愁を帯びつつも躍動的な曲に裏声まじりに地声を響かせるように歌うDanica Krsticの特徴的な声がいいです。



一方、私の贔屓歌手、Jelena Tomasevicが歌う同曲は、完璧なボイスコントロールに透明感のある声質、安定感抜群の演奏が素晴らしい。


もう一つ、同じくJelena TomasevicのZajdi Zajdi。この有名曲は、バルカンの多くの歌手が歌っており聴き比べるのも面白いです。男性の歌うものもなかなか味があります。このライブでは彼女の落ち着いた綺麗な声がしみじみとした曲調によくマッチしています。Zajdi は(日が)沈むの意味で、詞は難解ですが、バルカンの永遠と無常を歌っているのかなと想像しています。
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研究サポートシステム

2019-03-15 | Weblog
学内の研究活動を支援する組織が、毎年二日のシンポジウムと研究発表会を行なっていて、今年も来月初めに行われます。その委員会に一般研究者の意見を反映させようと委員と研究者の昼食会が行われていて、今年は招待されました。すると、その昼食会のメンバーの仕切り役の人から、意見を集約したいから昼食会のための予備昼食会をするとの連絡があり、タダ飯につられて行きました。

結局、ガス抜きで終わりましたが、早い話、すべての研究活動上の問題はカネで方が付く、ということをあらためて確認しまいした。もう一つ明らかになったことは、この施設には研究者を十分にサポートできる資金に乏しく、現在ある非常用資金も底がつきつつあり、施設も研究支援組織もその研究サポートシステムの持続的運営に長期的な計画をもっていないらしいということでした。ま、結局、金の話ですから、もっと金を何とかして手に入れるか、使う人間の方を切り捨てるかしてバランスをとるぐらいしかないわけですが、施設は施設の維持のために研究費に付随する間接費用を当てにしているわけで、人間を切れば、間接費用(カネ)も減り、施設が維持できなくなるわけで、現状では、研究者を使い捨てにしながら走り続けるしかないのです。
その他の研究施設と比べて、ウチの施設の計画性と組織性のなさは、ちょっと驚きでしたが、金銭的な研究サポートシステムが全くない施設もあるから、まだマシという意見もあり。

委員の多くは学外の人々なので、そんな人との昼食会で学内の研究支援組織運営に関する不満や要望を語り合って何の意味があるのかと正直思いました。

ウチの施設は、上から下にいたるまで、全員がサバイバル モードだ、という中堅研究者の言葉が皆の心境をよく表しています。この施設の研究者はみな「屋根の上のバイオリン弾き」なのです。いつ屋根から落ちるかわかない不安定さの上に活動しています。かと言って、足元ばかりを見ていてはまともな研究はできないわけで。

ま、人間だったらだれでもそうなのでしょう。大企業のサラリーマンや公務員なら大丈夫というわけでもないし、中小会社の経営者だったらもっと大変でしょう。人間は安定と将来の予測性を求める生き物ですが、激動の世の中、「安定」というものは幻想にしか過ぎません。明日に何が起こるか誰にもわかりません。

スキーを始めたころを思い出しました。滑らなければコケないのですけど、スキー場に行って滑らないという選択はありません。そして、面白い斜面ほどよくコケる、コケない斜面は面白くない。これを人生レベルに拡大して私の研究活動を眺めれば、困難が大きいほど面白いことをやっている、と解釈できます。サバイバル モードだからこそ面白い研究ができるのかも知れません。この分野の大先輩が昔言っていました「困難だからこそ人間は知恵をだし成長するのだ」と。

私は、もうちょっとアドレナリン控え目で行きたいと思います。生き残れなければ、それが天が決めた潮時というもので、違うことをやるチャンスが与えられたと思えばよいと思い始めました。落ちる時は落ちればよし、死ぬ時は死ねばよい、と先人も言っていました。

でも、痛いのはイヤです。
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BioRxiv

2019-03-12 | Weblog
BioRxivの新作チェックしていたら、やろうとしていることに深く関係する論文が出ていてました。ありゃーと思っていたら、隣のビルにいる知り合いの研究室でした。この研究室は有名研究室。過去に二本の論文で私も絡ませてもらった関係でゆるい繋がりがあります。基本的に分野も興味は違うのですけど、向こうもこちらの分野にちょっと近いことをやってきていて、私も向こうの分野に関連するプロジェクトをやり始めていたためにオーバーラップしたようです。もっとも研究ゴールは別なのでスクープでも何でもないのですが。

早速、メールしてみると、今日、明日にもリバイスをC紙に投稿するという話。ファーストの人はすでに研究室を離れて自分の研究室を構えており、数日後、そちらにメールしたところ、リバイス投稿後で一息ついているのか、二週間のバケーション中なので帰ってきてからデータを送るとの話。そういえば、彼と同じ研究所の旧知の友人が先週、N紙に論文を発表したので、おめでとうメールを送ったら、やはり二週間のバケーション中でした。研究を楽しみ、有名雑誌に論文が出ては、バケーションを楽しむ、私もそんな施設で働きたいものです。

BioRxivに関しては賛否両論あるとは思いますけど、私にとっては興味深い情報が早く得られるので大変いいです。
思うに一般雑誌へ投稿する前にBioRxivに公開するということは、内容に自信があるということでしょう。そう思うとBioRxivに出ている論文は、目立たない雑誌の論文よりはむしろ信頼性は高いのではないかと想像します。過去にBioRxivで目についた論文は一流誌に出ているようですし。

ちなみに、今ちょうど細胞工学系のグラントを書いていますが、その一部の理論的根拠となった論文は、台北大学のグループがScientific Reportsに出したものでした。それなりにインパクトのある内容なのにどうしてこのレベルの雑誌なのだろう、と不思議に思いつつ、ちょっと細かいことを質問するために二人の責任著者に別々に連絡しましました。が、ナシのつぶて。仕方がないのでファーストの人の連絡先をなんとか探してメールしましたが、これにもレスポンスなし。偶然、近所にいたその分野で一流の研究室から来た人にこの論文を見せて意見を聞いたところ、同じ分野だがこのグループは知らない、それからちょっとデータの解析が雑なので結論が信用できるかどうかわからない、とのこと。メールでしかコンタクトの方法がないのでなんとも言えませんけど、発表された論文への質問に3人の主要著者の誰一人もレスポンスを返してくれず、インパクトのある内容なのに二流紙に発表されており、フォローアップの研究も出ていない、ということを総合的に考えると、それなりの事情があるのだろうと、この論文のことは忘れることにしました。
一方、BioRxivに出た論文に関して過去に問い合わせのメールをした時は返事は100%もらえました。
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森友第二幕

2019-03-07 | Weblog
籠池氏公判開始。狂っていますな、この国は。法廷に被告として立っているべきは、不当な値引きをし公文書改ざんまでやった財務省であり、小学校の経済状況を知りながら認可をだした松井であり、財務省に無邪気な圧力をかけたアベ夫人であり、そしてこの一連の事件の中心にいるネポティスト、アベです。

無能なアベが、政権にしがみつくために、無能をごまかし、不正をごまかし、メディアを懐柔し、内閣人事局を作って官僚の人事を掌握し、イエスマンで固め、敵とみなした相手には恫喝し陰湿な嫌がらせをし、検察を使って民間人を不当拘留させ、裁判官の任命権を握って、司法を骨抜きにし、時間稼ぎの答弁と強行採決で国会を無実のものとする、これほどの悪行を働いて恥じない総理大臣は見たことがないです。

小西議員、昨日の予算委員会で、「安倍総理のように時間稼ぎをするような総理は戦後一人もいませんでしたよ。国民と国会に対する冒涜ですよ。聞かれたことだけを堂々と答えなさい。」と述べました。その後、アベの答弁を咎める法的根拠を、横畠裕介内閣法制局長官に答弁させたところ、小西議員の質問姿勢を批判する余分な発言をし、場内の強い批判を受けて発言を撤回するということがありました。法の番人たる立場にありながら、国会運営のルールを無視して質問者を批判するというあり得ない事件に、小西氏、「撤回は受け入れますが、法制局長官が国会で政治的な発言をしたのは初めて聞いた」と。こんな出来の悪い総理大臣も前代未聞なら、予算委員に対して、こんなフザケた態度をとる官僚も前代未聞。アベがいかに日本の政治というものを破壊し、無法地帯にしてきたか、寒気がする思いです。政府にいるのは、もはや言葉も通じない、良識も良心もない、己の生存本能と欲だけで動くムカデなみの動物です。

さて、籠池氏、こう言っては失礼ですけど、国会の証人喚問でも、法廷でも、芝居がかった熱演、ユニークです。昔なら、歌舞伎のネタにでもなっていたかも知れません。この公判で第二幕の開幕です。アベ夫人の浅慮が招いた不正と、アベの保身のために、弾圧を受け、全てを失ったこの激動の数年は籠池氏にとっては文字通り天国から地獄であったでしょうが、籠池氏には、なぜか余裕とユーモアを感じます。正直であることの強さでしょう。ウソをついているのはアベであり財務省で、かれらこそが詐欺罪で裁かれなければなりません。まさに無理が通って道理が引っ込むがおこっています。しかし、天網恢々、因果応報は世の法則であることは、確信しております。

ーー 学校法人「森友学園」を巡る補助金詐欺事件で、詐欺などの罪に問われている籠池泰典被告と妻の諄子被告の初公判が3月6日、大阪地裁で行われた。泰典被告は起訴内容の大半について無罪を主張。

「国策捜査そして国策逮捕、国策勾留は絶対、許せません」と泰典被告、、、
2017年2月、国有地値引き問題が飛び出すと、「安倍首相は自らの保身にカジを切りました」そして、2017年7月に補助金詐欺などで、逮捕されたことについて安倍首相や昭恵夫人に「忖度」した国策捜査と厳しく批判した。
「安倍官邸からの意向と官邸への忖度により財務省が動いた」「国民の目をそらすための別件逮捕したのです」と語ると、泰典被告は証言台から検察側をにらみつけた。
「昭恵夫人と親しかった家内(諄子被告)をも様々な露見を口封じのため罪をつくりあげ、共犯として逮捕し、こともあろうか300日も勾留した」
、、、今度は、大阪地検特捜部の取り調べに利益誘導、違法捜査があったと訴えた。、、、
 そして、裁判所にはこんな要望を語った。「忖度に左右されない、公正な裁判を受けることができると信じている」ーー

裁判所の人事もアベ政権に握られていますからね。いまの日本、保身ばかりで、己が身のためには正義も公正さも高潔さも吹き飛んでしまうようです。日陰者の身になった官僚エリートの佐川くんを他山の石として、裁判官も本来すべき仕事をしてもらいたいものです。

これは、一年半前、籠池氏が逮捕された時にその不当性を解説した記事。

「やはり国策捜査だった森友疑惑。特捜部はやる気なしで財務省は逃げ切り」郷原信郎・元特捜検事

捜査開始の時点から「国策捜査」との批判が噴出した今回の事件。いったい何が問題なのか。元東京地検特捜部検事の郷原信郎氏が解き明かす。
今回ほど、政治的色彩が濃い捜査はありません。幼稚園や保育園の補助金不正は珍しいものではなく、不正がわかった場合は行政が調査や指導をするのが一般的です。悪質であっても捜査をするのは警察。大阪地検特捜部が出てくる事件ではありません。
籠池氏は、不正だと指摘された国交省からの補助金は返還していました。、、、籠池夫妻は、補助金適正化法が適用される事案なのに、詐欺罪で起訴されました。従来の検察ではあり得ない処理です。「詐欺」の罪名を付けることで、特捜部は籠池夫妻に悪いイメージを付けたかったのでしょう。
 特捜部の捜査では、特定の人物の捜査をしない「国策不捜査」もあります。本気で捜査するなら、特捜部は近畿財務局を強制捜査をしているはず。証拠隠蔽が国会で大問題になっているのに、ガサ入れをしていないのは、最初から起訴の方向で捜査する気がないからでしょう。「籠池夫妻=悪党」を世間に広め、「籠池夫妻が昭恵夫人の名前まで使って脅してきたので、不当な値引きに応じざるを得なかった」というストーリーに持ち込みたいのでしょう。
、、、このまま籠池夫妻に「悪党」のイメージを広めるだけで捜査が終結してしまえば、検察は一体何のためにこの事件でしゃしゃり出たのか、という疑問を持たざるを得ない。そうなれば、特捜部が国民から批判を受けるのは避けられません。
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ダビデの一投

2019-03-05 | Weblog
辺野古の米軍基地新設を強行する「人間のクズ」アベの不誠実さに東京新聞が社説で強く批判。

安倍・玉城会談 「真摯」の言葉に誠実に

 沖縄県民投票で四十三万もの反対票が出たにもかかわらず、安倍晋三首相は玉城デニー知事に辺野古新基地建設の続行を伝えた。、、、
 首相はきのう、県民投票結果を通知し辺野古埋め立ての中止を要請した玉城氏に対し「真摯(しんし)に受け止める」としつつ、普天間の危険性除去のため移設は「もはや先送りができない」と説明した。またかとため息が出る。県民投票で示された七割の民意を前に、相変わらず誠実でない。、、、、過剰な基地負担を押しつけてきた沖縄に「対案を示せ」と言うのは筋違いも甚だしい。
、、、この際は米国も基地を使う当事者として沖縄の民意に向き合ってほしい。その点、玉城氏が提案した日米両政府と沖縄の三者協議が実現すれば解決策を見いだすきっかけになるだろう。まず日米両政府が県民の声に耳を傾ける場を設けることに意義がある。、、、、、政府が工事を強行する新基地は実現性も効力も見通せない

会談後の会見で玉城氏はあらためて「民主主義の危機」であると語りました。会見には、この県民投票を実現させた若者、元山さんが同席。
会見(全文1), 会見(全文2)
玉城:、、、、、私は名護市辺野古に基地を造らせないことを公約に、昨年9月30日、過去最多の得票を得て当選し、第8代の公選知事、民の選挙によって選ばれる県知事に就任いたしました。、、、、
 しかし皆さんもご存じだと思いますが、日本政府は昨年の県による埋め立て承認の取り消し以降も工事を強行し続けてきています。県民の請求による2月24日の県民投票や、その結果が出るまでの工事中断を求めていた米国におけるホワイトハウスへの署名活動の動きすらもまったく無視、、、、、

このような中、住民からの発案による県民投票条例の制定請求の動きが起こりました。その代表者として力を注がれたのが元山仁士郎さんです。日本の地方自治法では有権者の50分の1以上の署名が集まれば自治体に条例の制定を求めることができます。沖縄県の有権者は約115万人で、それによると約2万3000人の署名が必要でした。平成30年5月から7月にかけて行った署名活動では、必要数を大きく超える約9万3000筆の署名が集まりました。そして、沖縄県に制定請求された県民投票条例案は、県議会で審議され可決となり、平成30年10月31日に交付、施行されました。

 その条例に基づく県民投票が、2月24日に行われ、投票資格者総数115万3600人のうちの52.4%の沖縄県民の皆さんが投票に参加しました。その結果、埋め立てに賛成という方が11万4933票、埋め立てに反対が43万4273票。そして、その賛成でも反対でもどちらでもないという投票が、5万2682票でした。投票総数の71.7%に当たる43万4273人もの人々が、辺野古の埋め立てに反対という結果を示したのです。、、、、
 私は本日、その結果を条例に基づいて安倍総理大臣に直接手渡すとともに、トランプ大統領宛ての通知を、駐日米国大使館、ジョセフ・ヤング特別臨時大使に託しました。民主主義国家であるわが国において、県民投票により直接示された民意は何より重く、また尊重されなければなりません。今まさに日本政府の民主主義が問われていると思います。、、、
(今回の住民投票実施を実現させた元山さんのコメント)
 これから問われるのは、本土の人たち1人1人が沖縄の民意を踏まえて当事者意思を持っていただき、この国の安全保障および普天間飛行場の県外・国外移転についての国民的議論を行っていただくことと考えております。民主主義がいぜんとして日本にあることを願っております。信じております。今回の県民投票は、この国に住む全ての人たちに民主主義の在り方をあらためて問うものであり、この問題は全員が真剣に考えるべきではないかと考えます。政府は直ちに辺野古埋め立て工事を中止、断念し、沖縄県内移設に頼らない普天間飛行場の危険性除去に向けた英断を行うことを強く期待しております。

アベ政権、上から下まで、そのクズさ、邪悪さ、無能さにはヘドが出ます。同時に、この県民投票の実現に奔走し文字通り「体を張って」抗議した一学生である元山さんの勇気と行動力には感動しました。とことんクズの集まりの与党政府が日本を破壊していっている中でも、日本にもこういう行動力と情熱を持った若者がいて頑張っていることを知るのは心強いです。
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Get off my turf

2019-03-01 | Weblog
グラント書きはじめました。これから一ヶ月はこれに集中する必要があるのですが、動物実験プロトコール書き二つを含む他のさまざまな雑用と重なってしまいました。グラント書きは研究活動の中で動物実験プロトコール書きに次いでもっとも非生産的な作業の一つと思いますけど、「研究資金」は必須のものですから仕方がありません。グラント書きは受験勉強のようなものだと思ってやってます。やりたいことを追求しようとすると学校に入らないといけないし、そのためにはやりたくない科目も勉強して入学試験に通る必要があります。しかし、どうせやらねばならないのなら、たのしくやりたいものです。グラント書きも受験勉強も、いろいろ勉強したり準備したりすることそのものが楽しいと思えれば、非生産的と思わずに済むと思います。その一方で、するべき研究があるのに、かなりの時間をSF小説のようなグラント書きに費やすのは馬鹿げていると思う人も多いと思います。私もそう思います。フランシス クリックがソーク研究所への招聘時に出した条件が「グラントを書かなくて良いこと」、つまり研究資金を施設が保証するということでした。最近、学長職についたとある研究者の人の最大の動機は、「グラントを書かなくていいから」でした。かれらの気持ちはよく分かります。しかし、世の大勢の人が働きたくないけど、食っていくためには働かなければならない、という理由で働いています。研究者はその点、普段は好きなことをしているのだから、贅沢を言うな、という思う人もいるでしょう。しかし、研究者は有意義な結果を出すのが仕事であり、その結果が最終的に人々の生活の向上や健康の増進、疾病の治療や予防につながるということを考えれば、書き物しているヒマに実験をして有意義な結果を出すことが、皆のためだと私は思います。

さて、グラントですが書き物も大変ですが、周辺を固めるのもなかなか、大変です。いろんな人にメールしたり電話したりして情報を集め、協力を要請しています。私にとっては、新しい分野とあまり知らない分野を混ぜ合わせたような研究なので、まずは、あまり知らない分野の方の専門家に話を聞きました。

研究アイデアを話すと、「科学的には追求する価値があると思う、しかし、実際はちょっと厄介かもしれない」という意見。その理由を聞くと、その分野の歴史に関わる話で、根が深いというか、ありがちな話というか、多少、考えさせられました。ウチの業界は比較的マイナーな方ですが、そのマイナーな業界は、さらにマイナーな小分野にわかれており、今回、題材とするマイナーな病気をあつかう分野では、その分野で長年研究してきたマイナー界の大御所といういうような人が数人おります。これらの人々は、この狭いタコツボ的分野でコツコツと仕事を積み重ねてきて、この病気については一家言を持つ人々です。もちろん、彼らは自分たちが信じ実践している研究や治療が正しいと主張しているわけです。私は、そのマイナー分野の外の人間であり、これからちょっと基礎研究のレベルでこの分野の端っこにも足を踏み入れたいと考えているのです。

この分野の動向をザッとみてみると、実は、20年ぐらい前から細胞を使った治療が試みられており、その成果がハイインパクト雑誌に掲載されています。私もこの論文のことが頭にあって、この題材を使おうと思ったのですが、話を聞いてみるとそのハイインパクト論文を出した研究グループも、そもそも、このマイナーな分野の外から参入してきた余所者でした。

マイナー分野というのは妙な所です。マイナーであるが故にオーディエンスは少なく、よって、その大御所たちの研究室からも、論文引用回数で評価すれば、ハイインパクトな雑誌に論文が載ることは稀であり、大御所と呼ばれる人々も、専門雑誌にコツコツと、そのスジの人々向けに論文を発表し、長年をかけて地位を築いてきたわけです。しかし、彼らも、分野を一歩出ればタダの人なわけで、むしろ大御所であるがゆえに、ハイインパクトな論文を有名雑誌に出して、脚光を浴びたいという欲はそれなりにあるのではないかと想像できます。そんな屈折した思いも無きにしもあらずの大御所が支配するタコツボ世界に、ズカズカと入り込んできた余所者がハイインパクト雑誌に論文を連発して、注目をさらうというようなことが起きたわけで、大御所の中に、醜い男の(大御所の一人は女性でしたが)嫉妬とでもいうべき感情が多少なりとも渦巻いたであろうということは想像できます。

その結果、研究がヒトを対象とした実験的治療であったこともあって、倫理的な問題に関する反感もあり、この手の研究はその成果を科学的に検討しようとすることそのものが抑制されてしまったようです。つまり、ゲスっぽく想像するに、大御所にとってみれば、よそ者がルール無用の実験的治療をして"われわれの患者"に危害を加えた上に、ハイインパクト雑誌に論文を出して注目をさらい、縄張りを荒らしに来て、自分たちの価値観や地位を脅かそうとしている、と感じた部分もあったのではないでしょうか。

ただし、研究のアイデア自体は大御所もリーズナブルだと認めています。事実、このマイナー分野の大御所の力の及ばない国々や施設では、追求がつづいていますし、話を聞いた専門家の人自身もちょっと視点を変えて研究を続けています。私も、まだ工夫の余地があると思います。

人間は感情の動物であり、誰にでもエゴはあり、種々の欲と嫉妬に悩まされるものです。科学者といえども、ものごとを感情と切り離して理性的に考えることは難しいです。
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