「木田さんと原発、そして日本」という映画があることを知り、ご縁がありDVDで視聴することができました。
DVDのジャケットに書かれている言葉をかきとめます。
今は福島のこと
いつかは貴方の町のこと。。。
東日本大震災・福島第一原発事故により、これまでの生活を奪われた木田節子さん、分断されていく故郷を思い、この苦しみを福島で終わりにさせようと声を上げ続ける彼女の姿に、同時代を生きる《私たち》は何を思い、どう生きるのか?
作品は前編と後編に分かれています。
「木田さんと原発、そして日本」(2013年 日本 64分 監督 早川由美子)
前編「木田さんと原発、そして日本」(2012年 30分)
後編「木田さんと原発、そして日本2~選挙~」(2013年 34分)
なお特典映像として、「政治をマツリゴトに!」選挙フェス@渋谷 ダイジェスト映像(2013年)もDVDにはついていました。
公式HPはないようですが、プチ・アドベンチャー・フィルムという早川由美子監督の作られているHPに詳しくのっています。こちら
山形国際ドキュメンタリー映画祭のHPにものっています。 こちら
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私自身はこの映画がつくられた当時木田節子さんの存在を記憶していませんが、富岡町から茨城県水戸市に避難され、原発事故について様々に調べて、理不尽に家を奪われることへの怒りから声を上げようという気持ちになって、思いつく限りの行動にうつされた木田さんの思い。しっかり伝わってきました。
声を上げた木田さんにとって、最初の壁が家族の反対であり、それをどんなふうに変えていったのかという家族との関係の話が大きな部分を占めていたのですが(それは日本中で起きることで、だからこそ声を上げる人が少ないのだろうと思いますが)、持ち前の強さと明るさと率直さで、息子さんやおつれあいを変えていった様子が語られていて、日本中の人が参考になる話と感じました。
家族の理解をなんとかえて、世の中の人に訴えようと、2013年緑の党から参議院選挙比例区候補として立候補して東京でマイクで訴える木田さんの姿もとられていますが、世の中の人の耳に届くようにするためには、さらにいくつものハードルがあるのだろうということも、映像を観て感じました。
特典映像では、2013年木田さんが立候補した参議院選での選挙フェスで、山本太郎さんと三宅洋平さんが訴えている映像ものっていましたが。。。その二人の訴えが多くの人の心を動かしている様子が伝わってきて、超えるべきハードルは何かということについても、考えさせられました。
☆そのあと、木田節子さんは、しばらく活動から離れていたと聞きますが、最近また活動を再開し、避難先の水戸で写真展を開かれていると聞きます。応援の気持ちを込めて、注目していたいと思います。
「決断 運命を変えた母子避難」2024年/90分/日本 安孫子亘監督
配給:ミルフィルム
新しい311関連映画は少ない2024年、安孫子亘監督が七年の歳月をかけて完成させたこの作品は、三月に完成し、記者会見・試写会が行われ、先行上映が行われ、これから本格的に劇場公開が始まるそうです。
(試写会で観ることができたので、原発に関する映画105として書きます)
公式HPは こちら
東日本大震災に伴う福島原発事故により人生最大の決断を迫られ、福島県から全国各地へ自主避難した10組の家族の苦悩と闘い、そして現状を描いた証言ドキュメンタリー。
原発問題と命懸けで闘った元福島県知事・佐藤栄佐久のドキュメンタリー「『知事抹殺』の真実」(2017年)を作った安孫子亘監督はその上映に全国を回る中、避難している人たちに出会い、撮影を承諾してくれた人たちをおいかけて、7年の歳月をかけて完成させたそうです。
2011年3月11日、原発事故の発生で、多くの人たちが、避難という選択をしました。それは情報が錯そうする中、子どもの命と健康を守るということを最優先した人達にとって「人生の決断」ともいえることでした。
一体どれだけの人が避難・移住の決断をしたのか、確かなことは誰にも分りません。ほとんどの人はカメラの前に立つことを避ける人も少なくない中、ここに登場される10組の人達は、選挙に出たり、裁判を闘ったり、とりわけ強い意志をもち、運命を自分の意思で切り開こうとしてきた人たちであり、安孫子監督のカメラの前で、本音を語られているその言葉は、311被害を明らかにするという意味だけでなく、歴史を作る人たちの生きざまを描いたという意味でも、貴重な証言ともいえるドキュメンタリーです。
また、ドキュメンタリーにも、監督の意思が強く表れているのだと感じられる一作でもあり、この映画をみて、あらためて安孫子監督がどんな人なのか知りたいと思いました。アフリカに移住し、野生動物を撮影し、福島原発事故後会津に移住した安孫子監督の視線は、目の前のことではなく、はるか遠くをみている気がします。私には、白鳥哲監督のみている世界に通じるものがあるように感じられました。
劇場公開されて、どんな感想が集まるのか、注目したいと思っています。
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安孫子亘(1959年北海道小樽市生)略歴
1982年 テレビ番組製作に関わる
1995~97年アフリカ ケニアに移住 野生動物の映像制作
1999年 栃木県那須に拠点を移しドキュメンタリー作品を製作
2011年 長編ドキュメンタリー映画初監督作品「檜枝岐歌舞伎 やるべぇや」~山形国際ドキュメンタリー映画祭2011「ともにある Cinema with Us」コミュニティシネマ賞
2012年 東日本大震災後、拠点を福島県南会津の下郷町(会津ジイゴ坂学舎)に移し、ドキュメンタリー映画を制作。
2017年 ドキュメンタリー映画 「知事抹殺」の真実 2017年度国際映画祭Digital Box Office Awards 正式出品、2017年度35回「日本映画復興会議」日本映画復興奨励賞受賞、2018度年 江古田映画祭グランプリ受賞
<その他の作品一覧>
日本テレビ「太古の森の物語」 ギャラクシー賞選奨
TBS「ダーウィンに消された男」 日本民間放送連盟賞
テレビ東京「蜃気楼の王国」日本民間放送連盟優秀賞 ・・・多数受賞
2004年 「月ヨノ」 世界自然野生生物映画祭出品
2005年 「SAKURA桜~田の神」 アメリカ ジャクソホール国際映画祭出品013年 「生きてこそ 会津の語り最後の伝承者 山田登志美」
2015年「春よこい 熊と蜜蜂とアキオさん」
2019年 「奇跡の小学校の物語 この学校はなくさない」
2021年「霧幻鉄道 只見線を300日撮る男」
毎年三月に合わせて、311関連の映画が公開されることが多いですが、今年の三月に新たに劇場公開された映画に、「津島 福島は語る 第二章」(土井敏邦監督)があります。
前作「福島は語る」は、長年パレスチナに通って映画をとってきた土井敏邦監督が、故郷喪失という同じ苦しみを抱える福島の人たちに取材した長編ドキュメンタリーで、観た人の心に響く映画だったと聞いていますが、今回は取材対象を「津島地域の住民」に限定して「福島は語る第二章」とされています。
まだ観ていませんが、概要書き留めます。
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福島第一原発事故により帰還困難区域に指定された福島県浪江町津島の元住民たちを取材したドキュメンタリー。
浪江町津島は、人口約1400人の平穏な村だった。しかし2011年3月11日の福島第一原発事故直後、原発から北西に30キロ離れた同村にも大量の放射性物質が降り注ぎ、帰還困難区域に指定されたまま、本作が製作された2023年現在も多くの住民が帰れずにいる。
土井敏邦監督が、裁判記録「ふるさとを返せ 津島原発 原告意見陳述集」に記された住民たちの言葉に衝撃を受け、原告32名のもとを訪ね歩いてインタビューを敢行。総勢17名による証言の数々を、全9章、約3時間にわたって映し出す。
2023年製作/187分/日本