6月11日から全国の映画館で公開がはじまっています。
http://gaga.ne.jp/citizenfour/
日本人がみるべき映画と思います。
ローラ・ポイトラス監督のところに、「シチズンフォー」の暗号名で、たびたびメールがはいり、香港のホテルで、ローラ監督の友人のジャーナリスト グレン・グリーンウォルド氏とともにスノーデン氏に会い
世界に発信されていく約8日間を中心に描いたドキュメンタリーです。
☆ローラ監督は、イラク戦争に焦点をあてた映画(日本未公開 2006年)とグアンタナモ収容所を描いた映画(日本未公開2010年)で注目されていたそうで、日本でいえば鎌仲監督のような存在だったのではないかと勝手に推測しました。
その二本の映画をみたからこそ、スノーデン氏は内部告発を決意した時にこの人に伝えようと考えたのだと思います。
結果今回の映画と合わせた三作が、「9.11以降のアメリカを描く三部作」とされています。
☆スノーデン氏が、米国家安全保障局(NSA)が自国の普通の市民の情報さえもすべて集めていることに疑問をいだき、告発を決行したのは、2013年6月の出来事です。
私は忙しすぎてリアルタイムな記憶がないのですが、どのくらいの日本人がこの事件にあのとき衝撃をうけたのでしょうか。。。
欧米では衝撃が走った様子がしっかりと描かれています。もしかすると日本のマスコミの取り上げ方は欧米のようではなかったのかもしれません。
問題は、アメリカ国内だけではなく、NSAの情報収集の対象は世界中に広がっていることもあきらかになります。
世界中の普通の人々を監視する巨大なシステムが、できあがっていることに衝撃をうけますが、ひとりの勇気ある行動によって少なくともこのことを世界に知らせることができたということもかみしめます。
カメラの前にいるスノーデン氏は、普通のナイーブな青年にみえ、逮捕されるかもしれないということも覚悟の上で、それでも「このような監視される社会の中で生きるのはいやだ」と、繰り返し語る言葉が胸にしみました。
「自分は覚悟しているけれども、アメリカにいる恋人のことを思うと落ち着かないスノーデン氏の様子」、
「香港のホテルにマスコミがおしかけはじめ、少し変装し、やっとのことでホテルを脱出する様子」を、
ハラハラしてみていたので、その後人権派弁護士の導きで、香港にある国連の建物にかけこみ、亡命申請し、最後はロシアで恋人と暮らしているところまでを描いてあったので、ほっとしました。
☆スノーデン氏は、2009年から2011年日本にも滞在し、同様の仕事をしていたそうです。だからこそこの映画は日本でていねいに上映されて、多くの人にみてほしいと願います。
ただ観ただけではわかりにくい面もあるので、資料をつけたり、トークをつけたり、スノーデン氏がいのちをかけて告発してくれた問題がなんだったのか、しっかり伝わるような自主上映会が開かれますようにと願います。
☆世界のマスコミで話題にはなったものの、NSAがアメリカ国内での監視をやめたり縮小したということは、まったく考えられない状況のようです。その後アメリカで、「テロとの闘いにはこのような監視を必要だと思うか?」のアンケートに四割の人が賛成だったそうです。
海外の監視は、ドイツのメルケル首相のようにきっぱり抗議する人が国の代表だったなら、そしてその国の国民がはっきり反対の意思表示をするなら、止めることも可能なのではと思います。(少なくとも今までと同様にはできなくなるのではと思います)
ネットはすでにはりめぐらされているので、スノーデン氏と同じように「監視された社会に生きるのはいやだ」と考えるならば、反対の声をあげる以外にはないことも教えられた気がします。
☆ローラ監督のあと二作も日本で公開されることを願います。