「原発と映画」プロジェクト準備ブログ

原発に関する映画の紹介をメインに2011年から書いているブログです。

「スパイの妻」

2024-06-10 22:38:08 | 原発問題ではないけれど重要な社会問題を扱

731に関する映画を探していて、こちらに出会いました。

劇場公開当時タイトルは知っていたものの、内容は知らなかったので、レンタルDVDをみて、驚きました。

731のことは、「悪魔の飽食」が出版された頃知り、当時「黒い太陽731」を観て、鑑賞会をやった記憶があります。

事実を伝えるのは大事とはいうものの、あまりに残虐な事実を伝えるというのは、難しく、この上映会の時は途中でかえってしまう人が複数いました。

この映画も、海外の監督だから作れた映画ともいえそうです。

===========================

「スパイの妻」(2020年製作/115分/日本)

日本人監督が731を描くとしたらどんな映画なら作れるのだろうかと想像していましたが、この映画はその想像を見事に裏切ってくれて、感嘆しました。

日米開戦前の1940年の神戸を舞台に、貿易会社を経営していた主人公が、満州に旅行にいき、そこで731で何が行われているかを知ってしまい、許されないことと思い、海外にこの事実を訴えることで、止めようとする物語でした。

妻(タイトルにあるようにこちらが主人公とも言えます)から、「日本を売ることになるんじゃないか」と問われ、「自分はコスモポリタンだから」「海外では必ず同じ考えの人に出会えるはず」というやりとりがみごとでした。

これっぽっちも社会派の映画の雰囲気は出さず、サスペンスとラブロマンスの映画でありながら、しっかり社会的なテーマを盛り込んでいて、見事でした。

監督は黒沢清監督ですが、企画は、黒沢清監督の大学での教え子である濱口竜介氏と野原位氏の二人から持ち込まれ、脚本もほぼそのお二人が書かれたそうです。こちらに対談があります。

「スパイの妻」は、第77回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で銀獅子賞(最優秀監督賞)を受賞。世界各地で上映されたそうです。

日本にこんな才能をもつ若き映画人が生まれていたことを知り、うれしくなりました。

 

 

 

 

 

 

 

 


マーシャル諸島に移住した監督による映画があるそうです。

2024-03-30 21:46:43 | 原発問題ではないけれど重要な社会問題を扱

大川史織監督

かつて日本の委任統治下にあったマーシャル諸島共和国。この島に移住し、現地の言葉を学びながら、いまだ戦争の爪痕が残る地に暮らす人々のオーラル・ヒストリーを映像で記録してきた大川史織監督。初監督作品『タリナイ』(2018年)こちら  マーシャルで戦死した父を持つ息子の慰霊の旅を映したと、

二作目『keememej』(2022年)こちら

 

マーシャルというと、核実験被害を受けたことの印象が真っ先に思い出されますが、これらの映画は戦争の爪痕を追いかけたドキュメンタリーとのことです。


原発に関する映画その106「木田さんと原発、そして日本」

2024-03-26 12:03:35 | 原発と映画

「木田さんと原発、そして日本」という映画があることを知り、ご縁がありDVDで視聴することができました。

DVDのジャケットに書かれている言葉をかきとめます。

今は福島のこと

いつかは貴方の町のこと。。。

東日本大震災・福島第一原発事故により、これまでの生活を奪われた木田節子さん、分断されていく故郷を思い、この苦しみを福島で終わりにさせようと声を上げ続ける彼女の姿に、同時代を生きる《私たち》は何を思い、どう生きるのか?

作品は前編と後編に分かれています。

「木田さんと原発、そして日本」(2013年 日本 64分 監督 早川由美子)

前編「木田さんと原発、そして日本」(2012年 30分)

後編「木田さんと原発、そして日本2~選挙~」(2013年 34分)

なお特典映像として、「政治をマツリゴトに!」選挙フェス@渋谷 ダイジェスト映像(2013年)もDVDにはついていました。

公式HPはないようですが、プチ・アドベンチャー・フィルムという早川由美子監督の作られているHPに詳しくのっています。こちら

山形国際ドキュメンタリー映画祭のHPにものっています。 こちら

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

私自身はこの映画がつくられた当時木田節子さんの存在を記憶していませんが、富岡町から茨城県水戸市に避難され、原発事故について様々に調べて、理不尽に家を奪われることへの怒りから声を上げようという気持ちになって、思いつく限りの行動にうつされた木田さんの思い。しっかり伝わってきました。

声を上げた木田さんにとって、最初の壁が家族の反対であり、それをどんなふうに変えていったのかという家族との関係の話が大きな部分を占めていたのですが(それは日本中で起きることで、だからこそ声を上げる人が少ないのだろうと思いますが)、持ち前の強さと明るさと率直さで、息子さんやおつれあいを変えていった様子が語られていて、日本中の人が参考になる話と感じました。

家族の理解をなんとかえて、世の中の人に訴えようと、2013年緑の党から参議院選挙比例区候補として立候補して東京でマイクで訴える木田さんの姿もとられていますが、世の中の人の耳に届くようにするためには、さらにいくつものハードルがあるのだろうということも、映像を観て感じました。

特典映像では、2013年木田さんが立候補した参議院選での選挙フェスで、山本太郎さんと三宅洋平さんが訴えている映像ものっていましたが。。。その二人の訴えが多くの人の心を動かしている様子が伝わってきて、超えるべきハードルは何かということについても、考えさせられました。

☆そのあと、木田節子さんは、しばらく活動から離れていたと聞きますが、最近また活動を再開し、避難先の水戸で写真展を開かれていると聞きます。応援の気持ちを込めて、注目していたいと思います。

 


原発に関する映画その105「決断 運命を変えた3.11母子避難」

2024-03-26 01:02:49 | 原発と映画

「決断 運命を変えた母子避難」2024年/90分/日本 安孫子亘監督
配給:ミルフィルム

新しい311関連映画は少ない2024年、安孫子亘監督が七年の歳月をかけて完成させたこの作品は、三月に完成し、記者会見・試写会が行われ、先行上映が行われ、これから本格的に劇場公開が始まるそうです。

(試写会で観ることができたので、原発に関する映画105として書きます)

こちら

公式HPは こちら

 

東日本大震災に伴う福島原発事故により人生最大の決断を迫られ、福島県から全国各地へ自主避難した10組の家族の苦悩と闘い、そして現状を描いた証言ドキュメンタリー。

原発問題と命懸けで闘った元福島県知事・佐藤栄佐久のドキュメンタリー「『知事抹殺』の真実」(2017年)を作った安孫子亘監督はその上映に全国を回る中、避難している人たちに出会い、撮影を承諾してくれた人たちをおいかけて、7年の歳月をかけて完成させたそうです。

2011年3月11日、原発事故の発生で、多くの人たちが、避難という選択をしました。それは情報が錯そうする中、子どもの命と健康を守るということを最優先した人達にとって「人生の決断」ともいえることでした。

一体どれだけの人が避難・移住の決断をしたのか、確かなことは誰にも分りません。ほとんどの人はカメラの前に立つことを避ける人も少なくない中、ここに登場される10組の人達は、選挙に出たり、裁判を闘ったり、とりわけ強い意志をもち、運命を自分の意思で切り開こうとしてきた人たちであり、安孫子監督のカメラの前で、本音を語られているその言葉は、311被害を明らかにするという意味だけでなく、歴史を作る人たちの生きざまを描いたという意味でも、貴重な証言ともいえるドキュメンタリーです。

また、ドキュメンタリーにも、監督の意思が強く表れているのだと感じられる一作でもあり、この映画をみて、あらためて安孫子監督がどんな人なのか知りたいと思いました。アフリカに移住し、野生動物を撮影し、福島原発事故後会津に移住した安孫子監督の視線は、目の前のことではなく、はるか遠くをみている気がします。私には、白鳥哲監督のみている世界に通じるものがあるように感じられました。

劇場公開されて、どんな感想が集まるのか、注目したいと思っています。

============================

安孫子亘(1959年北海道小樽市生)略歴

1982年 テレビ番組製作に関わる

1995~97年アフリカ ケニアに移住 野生動物の映像制作

1999年 栃木県那須に拠点を移しドキュメンタリー作品を製作

2011年 長編ドキュメンタリー映画初監督作品「檜枝岐歌舞伎 やるべぇや」~山形国際ドキュメンタリー映画祭2011「ともにある Cinema with Us」コミュニティシネマ賞

2012年 東日本大震災後、拠点を福島県南会津の下郷町(会津ジイゴ坂学舎)に移し、ドキュメンタリー映画を制作。

2017年 ドキュメンタリー映画 「知事抹殺」の真実 2017年度国際映画祭Digital Box Office Awards 正式出品、2017年度35回「日本映画復興会議」日本映画復興奨励賞受賞、2018度年 江古田映画祭グランプリ受賞

<その他の作品一覧>

日本テレビ「太古の森の物語」 ギャラクシー賞選奨 
TBS「ダーウィンに消された男」 日本民間放送連盟賞
テレビ東京「蜃気楼の王国」日本民間放送連盟優秀賞 ・・・多数受賞
2004年 「月ヨノ」 世界自然野生生物映画祭出品
2005年 「SAKURA桜~田の神」 アメリカ ジャクソホール国際映画祭出品013年 「生きてこそ 会津の語り最後の伝承者 山田登志美」
2015年「春よこい 熊と蜜蜂とアキオさん」
2019年 「奇跡の小学校の物語 この学校はなくさない」
2021年「霧幻鉄道 只見線を300日撮る男」

 

 

 


「津島 福島は語る 第二章」が公開されています。

2024-03-26 00:38:28 | 原発の映画(観てないもの・上映情報等)

毎年三月に合わせて、311関連の映画が公開されることが多いですが、今年の三月に新たに劇場公開された映画に、「津島 福島は語る 第二章」(土井敏邦監督)があります。

前作「福島は語る」は、長年パレスチナに通って映画をとってきた土井敏邦監督が、故郷喪失という同じ苦しみを抱える福島の人たちに取材した長編ドキュメンタリーで、観た人の心に響く映画だったと聞いていますが、今回は取材対象を「津島地域の住民」に限定して「福島は語る第二章」とされています。

こちら

まだ観ていませんが、概要書き留めます。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

福島第一原発事故により帰還困難区域に指定された福島県浪江町津島の元住民たちを取材したドキュメンタリー。

浪江町津島は、人口約1400人の平穏な村だった。しかし2011年3月11日の福島第一原発事故直後、原発から北西に30キロ離れた同村にも大量の放射性物質が降り注ぎ、帰還困難区域に指定されたまま、本作が製作された2023年現在も多くの住民が帰れずにいる。

土井敏邦監督が、裁判記録「ふるさとを返せ 津島原発 原告意見陳述集」に記された住民たちの言葉に衝撃を受け、原告32名のもとを訪ね歩いてインタビューを敢行。総勢17名による証言の数々を、全9章、約3時間にわたって映し出す。

2023年製作/187分/日本

 

 

 


311関連上映会があります。

2024-03-21 23:47:36 | 原発の映画(観てないもの・上映情報等)
特集上映&避難者トーク企画
「3.11を改めて考える~原発問題を中心に~」
第10回:棄民と隠蔽<隠されてきた健康被害>
<日時>2024年3月23日(土)14時開会
<映画>
☆鎌仲ひとみ監督のベラルーシに取材した映像は、カマレポ(鎌仲監督のレポート)という短編映像を集めたDVD「カノンだより」の中から実行委員会が選んだ三篇を上映します。
<カマレポno.8 かつての汚染地に帰還する子どもたち(12分)>
<カマレポno.18 市民科学者 ~ベルラド研究所の取り組み~(12分)>
<カマレポno.11 保養体験女子会@ベラルーシ(14分)>
鎌仲監督が特別に三篇のあわせての予告編を作成してくださってます。
おそらく初めて観る方も多いかと思います。珠玉の三篇です。日本の今後に向けてのヒントが詰まっています。
☆『チェルノブイリ・28年目の子どもたち』(2014年/43分)(監督 白石草さん)
日本に来日してお話してくださったステパノワ教授も登場されます。
予告編はこちらです。
<登壇者>
白石草さん(「チェルノブイリ28年目の子どもたち」監督・OurPlanetTV代表理事)※オンライン登壇
鎌仲ひとみさん(映像作家・ぶんぶんフィルムズ代表)※オンライン登壇
森松明希子さん(福島から大阪へ母子避難中)
三田茂医師(東京から岡山へ避難移住)※オンラインで一言
<主催・会場>
シアターセブン (大阪・阪急十三駅西口5分)
住所 大阪市淀川区十三本町1-7-27サンボードシテイ5F
電話 06-4862-7733
<協力>
東日本大震災避難者の会 Thanks&Dream 
311特集上映実行委員会 <連絡先 jyouei311@yahoo.co.jp >  
<料金>  
前売:1,500円当日:1,700円販売中
●インターネット販売(クレジットカード決済のみ)
【チケット購入ページ】
・3/23(土)14:00開演
『チェルノブイリ・28年目の子どもたち』
●劇場窓口販売(現金・paypay決済)
連日最終作品上映開始30分後まで受付。
但し、お座席がなくなり次第販売終了。
詳細・過去の取り組みはコチラ https://theater-seven.com/ev/ev_s240315.html
<これまでの上映作品>
『終いの住処を奪われて』『「知事抹殺」の真実』『東電テレビ会議49時間の記録』『ソドムの嘘 ゴモラの呪縛』『真実はどこに?ーWHOとIAEA 放射能汚染を巡ってー』『パレスチナからフクシマへ』『逃げ遅れる人々』『朝日のあたる家』『BOLT』『ヒロシマ、そしてフクシマ』『かくれキニシタン 声をあげる10年目の福島』『NEW WORLD』『10年目の空へ』『核分裂過程』『あしたが消えるーどうして原発?-』『発酵する民』『スノーデン』『チェルノブイリその後の世界』『いのちの岐路に立つ 核を抱きしめたニッポン国』『わたしの、終わらない旅』『人間の尊厳を返せ 薬害HIV10年の闘い』『闇に消されてなるものかー写真家樋口健二の世界ー』

原発に関するその104「終わりなき原子力災害」

2023-12-24 23:56:02 | 原発と映画

「終わりなき原子力災害 3.11東日本大震災から10年」(2021年 43分)

制作 アジア太平洋資料センター 国内環境NGO FoE Japan

監修 細川弘明(原子力市民委員会)

アジア太平洋資料センターは、様々な社会問題について、特に海外とのつながりを生かしてDVDを制作しておられますが、こちらもその中の一本です。

公式HPはありませんが、詳細はこちら

===========================

上記に書かれている作品の説明を下記に転載します。

2011年3月11日に発生した東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故。あれから10年、「復興」が語られる一方で、いまだに多くの人びとが収束の見えない原子力災害のもとでの暮らしを余儀なくされています。

事故によってまき散らされた放射性物質は、人びとが長年続けてきた生業を一瞬にして破壊しました。出荷制限が解除されても、農作物の価格は戻らず、農家はいまも葛藤を続けています。放射性物質による汚染は、人びとの故郷と暮らしも奪いました。国は、避難への支援を求める人びとの声を無視して、除染に費用を投じていますが、それは住民に高い放射線量のもとでの生活を強いる政策となっています。国が避難指示の被ばく量の基準を年間20ミリシーベルトという高い数値に設定したため、避難・帰還をめぐって人びとは選択に苦しみ、地域は分断されることになったのです。事故を起こした原発の廃炉の見通しは遠く、増え続ける汚染水をめぐる国と東電の対応に、漁業者は不安と怒りを表明しています。

事故とその後の政策によって振りまわされてきた人びとの声に耳を傾けて、本当の意味での「復興」とは何かを問いかけます。

本作は、FoE Japanの「ふくしまミエルカプロジェクト」の事故被害者への取材を踏まえながら、新たにインタビュー撮影と編集を行い、43分の作品としてまとめたものです。FoE Japan のウェブサイトで公開されているインタビューもぜひあわせてご覧ください。

================================

アジア太平洋資料センターがだされているDVDは、その問題の初心者にもわかるように、わかりやすく、なおかつ全体を網羅しているような、いわば教科書的なものが多い印象ですが、この映画も、そんな映画の一つです。

311から10年がたち、一般のメデイアだけを見ている人は、もう避難指示も解除されたし、もうこの問題は終わったのだと思っている人も少なくないと思いますが、そういう人に観てもらって、「10年たっても、終わってない原子力災害」の現状を伝えることのできるDVDです。

☆とはいえ、完全に全体像を伝えるという点では、不足している点もあり、真相が究明されていないことや、廃炉への道の状況や、焼却の問題なども、付け加えられていたら、さらに完全なテキスト的映像になったと思われます。

☆なお町ぐるみ避難をした双葉町の避難の映像をみたあとで、ここで語られている避難の苦労を聞くと、町ぐるみ避難にはプラス面があったということは感じます。本当はこんな災害時にどうあればよかったのか考える上で、双葉町の避難は貴重な経験を残してくれていると改めて感じます。


原発に関する映画その103「原発の町を追われてー避難民 双葉町の記録」

2023-12-24 21:00:00 | 原発と映画

公式HPはこちら

ドキュメンタリーは、同じものをとろうとしても、それを撮った人によってまるで違う映画が生まれ、撮った人の、人となりとか生き方なりが、まっすぐその作品にあらわれるものだと実感させられます。

 

この映画「原発の町を追われてー避難民 双葉町の記録」は、埼玉在住で、双葉町民が自分のうちの近くに避難してきたことから、仕事の合間を縫って通い続けて、言葉を交わし、カメラを回し、一人また一人と親しくなっていった堀切さとみさん制作の三部作の映画です。

第一部「原発の町を追われて」(2012年 49分)

第二部「2年目の双葉町」(2013年 23分)

第三部「ある牛飼いの記録」(2017年 30分)

別に仕事を持ちながら、この映画が二作目という堀切ひとみさんについて、監督という表記はなく、撮影・編集・ナレーションそして制作ということで、名前を出しておられます。

 

以上は一枚のDVDにまとめられていますが、その後「原発の町を追われて・十年」(2021年 50分)を公開されています。

福島第一原発事故によって7千人の町民が全国に散り散りになった双葉町。10年たった今も帰還者はゼロだ。家屋は壊され中間貯蔵施設がそびえ立ち、緑豊かな風景は一変した。30年は住めないと言われていた町が、来年には帰れるようになるという。五輪を足掛かりにした復興は進むが、町民の思いは複雑だ。避難して10年。原発の間近で暮らしてきた家族の軌跡をたどる。

「原発の町を追われて・十年」についての堀切さんのトークはこちらからみることができます。

================================

親しくなっていった双葉町の人に寄り添い続けている堀切さとみさんの撮影には終わりはなく、今もなお撮影を続けておられます。

地道に通っておられる堀切さんに、どの人も信頼を寄せておられることが感じられ。。。それ故に、本音を発しておられます。

ただ寄り添おうとしている堀切さんのカメラは、絶望だけを描くわけではなく、希望を簡単にみせてくれるわけでもなく、ありのままの人々の生活と思いをみせてくれます。

このような信頼関係にもとづいて、細く長く撮り続けておられるドキュメンタリーは、時がたてばたつほど、貴重な映画となっていくと思われ、今後の作品にも注目したいと思います。


原発に関する映画その102「ママの約束 原発ゼロで見つけた本当の豊かさ」

2023-12-22 23:28:15 | 原発と映画

「ママの約束 原発ゼロでみつけた本当の豊かさ」(増山麗奈監督 90分)

予告編はこちら

HPはみつけられませんが、クラウドファンデイングの時のページが映画のことを伝えてくれています。こちら

画家で、映画もとり、さらにジャーナリストも自称される増山麗奈監督は、自由奔放な生き方と、行動力で、閉塞した時代に、新しい風を吹き込んでくれている人と私は感じています。

この映画「ママの約束 原発ゼロでみつけた本当の豊かさ」は、311福島原発事故に出会い、原発をなくす社会を作ろうとお子さんたちと約束したところから、はじまった旅の記録ともいえるドキュメンタリーです。

増山麗奈監督の、自由奔放さと行動力がそのまま表れた作品で、ほかの監督がいっていないところにいき、とっていない人にインタビューしているので、映画としてのまとまりはかけている感じですが、歴史の証言としてあとから貴重なものとなるかもしれません。

後半は、ドイツに行き、廃炉の様子・風力発電・廃棄物処理の現場に取材したり、インドに福島の子どもを連れて行ったときの映像も、増山監督ならではという感じです。

日本国内では、南相馬や江戸川区で見つかった黒い粉を巡るインタビューや、焼却を巡って、大阪・富山・鮫川にまで取材に行かれているのも貴重です。木田節子さんにインタビューし奇形のクローバーをみせてもらったり、長崎にこられたオリバーストーン監督をうつしたり。。。書ききれないほど多方面にわたって、描いています。

深刻な問題を、明るいトーンで描いているのも、増山監督らしいと思います。

 

 

 


原発に関する映画その101「チェルノブイリその後の世界」

2023-12-18 05:34:56 | 原発と映画

「チェルノブイリその後の世界」(2018年 フランス 90分)

チェルノブイリについての映画は、少なくありませんが、1986年原発事故が起きてから30年以上の歴史を、被害当事者の視点で、まとめて伝えてくれる映画は、とても少ないです。

この映画は、フランスを中心にヨーロッパから、ベラルーシ支援を長年続けてこられた団体「チェルノブイリ・ベラルーシのこどもたち」の手による貴重な映像です。

2016年同会代表のイブ・ルノワール氏がベラルーシに取材に行き、その時点で、顔出し名前出しで、現状を語ってくれる数人の人たちに、事故直後のことから現在までのことをインタビューして、撮影した映像に、マーク・プテイジャン氏が、古い映像を追加し編集し、歴史がわかるようなドキュメンタリーとして完成させたものです。

未曽有の核被害に対して、良心的な科学者・医師・市民の闘いの記録であり、原発を収束させるための闘いに始まり、核物理学者ネステレンコ氏が、ベルラド研究所を創設して、被ばくしたベラルーシのこどもたちを救済する事業に奔走する様子が、貴重です。その後エートスによって、ベルラド研究所がダメージを受けたこと、そして現在かろうじてその火を守っている人たちの声や、放射能汚染が生物にどんな影響を与えているかも伝えてくれています。

かって来日して講演もしてくれた故アレクセイ・ヤブロコフ博士やミシェル・フェルネ博士の姿も映しだされています。

フランス在住の日本人の方が、日本人にみてほしいと日本語訳もつけてくれています。

適当な資料やトーク付きでないと理解はむずかしいかもしれませんが、資料とトーク付きで広がってほしい映画です。

公式HPなどはありませんが、これまで数少ない上映の案内をリンクします。

東京谷中の月一原発映画祭はこちら

大阪十三のシアターセブンでの311特集上映はこちら