ステージおきたま

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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

元気はつらつ!それが一番:フレンドリープラザ子ども演劇教室公演

2016-09-20 08:40:59 | 演劇

 正直言うと、行こうかどうか、迷った。以前見た公演がかなり残念な出来で、二の足を踏んだんだ。装置も学芸会だし、ストーリーも半端だし、声は出ていないし、ダンスもちょっと・・・うーん、これは困ったなぁ、と呟きつつ帰ったのを覚えている。何よりもの足りなかったのは、子どもたちが心から楽しんでいないことだった。教わったこと、与えられたセリフ、決められた動きをなぞるので精いっぱい、これじゃ生き生きした舞台に仕上がるはずがない。

 そんなためらいを押し切った理由は三つ、演劇の町:川西実現のためにも応援しなくっちゃ、これが一番。次は、公演後コント大会のスタッフ打ち合わせが組まれていたこと。最後に、事務方の担当者が菜の花座メンバーの職員に代わったこと。別に前の担当者に不平不満があったなんてことじゃ全然ない、これは誤解のないように。菜の花座では役者として全力で取り組み、シニア演劇学校でも事務局兼役者として一切合切切り回している人からのたっての願い、見に来てくださいよ、って言われば、そりゃ行くでしょ。なんと。たわいない理由!いやいや、人間の行動なんて、こんな義理人情の温かみに左右されるものなのさ。

 緞帳が上がる。おおーっ!これは行けるかも!奥全面を覆う森の吊りもの、その手前にたっぱまで届くぶっとい木が3本。手前、上下にも1間幅の森紗幕。照明の色合いも巧みに深い森を演出している。ここまで道具立てが揃うと、足元の草むらが学芸会パネルなのも気にならない。

 小さい女の子2人がひよこで登場、とってもめんごい!それを追って熊と腰ぎんちゃくのタヌキ、ひよこたちを狙って後をつける。おしゃべりインコが終始あたりを飛び回りあちこちに告げ口して回るのも面白い設定だ。ひよこを助けようと駆けつけるニワトリと森の女神。ニワトリはお兄さんとして、森の女神は小さな命を見守る存在として、印象的だ。そして、一番の当たり役は、ウサギのジイサン。この子は凄い!ジイサンのくせしてやたら元気に跳ね回る。年寄りっぽさをだそうとするから動きがトリッキーで大いに笑いを誘っていた。何より、舞台を飛び回ることが嬉しくて仕方ない、その気持ちがこちらにグングン迫ってきて、見ている側も幸せになった。

 お話しとしては、ひよこが森の番人に助けられたり、さらに全員が熊とタヌキに迫られたリと、追いつ追われつして最後はみんな仲直り、ってまっ、たわいないもので、ここはもう一工夫欲しいところだが、腰ぎんちゃくのタヌキとか、おしゃへりインコとか、ウサギジイサンなど愉快なキャラクターを作り出していたことと、セリフのやり取りがなかなか洒落ていたので、飽きることはなかった。ただ、子どもたちはその可笑しさなやりとりを十分に表現するとこまでは行っていなかったのが残念。衣装もそれぞれにふさわしく手作りしてあってこれも共感できた。

 そして、何よりも一人一人が役を精一杯楽しんでいたことだな。配役も適切だったし、集音マイクを使ったことも大きな声出すことに気を使わずに済んだという意味でも成功だった。もちろん、観客にも聞きやすかった。舞台に上がるのが楽しいって様子は、ラストのダンスにもよく表れていた。客席の手拍子に乗って、3回?も踊っていた。

 この子たちが、できれば、中学、高校、そして大人になっても、演劇を続けてくれるといいんだけど。いやいや、自身演じてなくても、観客としてファンとしてプラザを支えてくれるだけでもいい。まっ、今回の舞台の、やったね!感をこれからに生かしてくれれば、それで上等ってことだな。

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