MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ナラタージュ』

2017-10-18 00:41:02 | goo映画レビュー

原題:『ナラタージュ』
監督:行定勲
脚本:堀泉杏
撮影:福本淳
出演:松本潤/有村架純/坂口健太郎/瀬戸康史/市川実日子/大西礼芳/古舘佑太郎/神岡実希
2017年/日本

罪深い男のタイプについて

 正直に言うならば主人公の葉山貴司に全く共感できない。そもそも自分の母親と妻の葉山美雪の仲を取り持つことに失敗し美雪を精神的に追い詰め犯罪に手を染めさせてしまったことも、既婚者でありながら工藤泉をその気にさせてしまい不倫をさせることになってしまったことも、顧問をしている演劇部に所属している塚本柚子の様子のおかしさに泉が気がついているのに葉山は気がつかず自殺を防ぐことができない原因も葉山の優柔不断さによるものであり、普段から感情を表に出すタイプではなくクールぶっているが故に余計に癇に障る。
 それでも付き合っていた小野玲二と別れて、玲二が作った靴を脱いで裸足で柚子が入院している病院まで戻った泉を、丁度他の学生を車で送って病院に車で戻って来たばかりの葉山が見つけ、泉の裸足を見つめながら「もっと他の方法で助けるものを与えられるはずだったのに!」と叫ぶ葉山の言葉は柚子のみならず、泉や美雪に対する言葉でもあったことを勘案するならば、決して優柔不断ではなく考え過ぎるという側面があったことは理解できるものの、このようなタイプの男がモテてしまうことはやはり根本的に間違っていると思うし、それを「良い思い」をした泉の独白(=ナラタージュ)で描くことは葉山の都合の悪い部分をあやふやにしてしまうのではないだろうか。


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