MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『異常性愛記録 ハレンチ』

2017-06-15 21:56:17 | goo映画レビュー

原題:『異常性愛記録 ハレンチ』
監督:石井輝男
脚本:石井輝男
撮影:わし尾元也
出演:橘ますみ/若杉英二/吉田輝雄/小池朝雄/丹下キヨ子/賀川雪絵/有沢正子/花柳幻舟
1969年/日本

「ハレンチ」と呼ばれたサイエンス・フィクションについて

 主人公の典子は「non(ノン)」というバーを京都で営んでいる。典子は「深畑染工」の3代目社長の深畑と付き合っているのだが、深畑には妻と幼い息子がおり、更に母親と病気の妹と同居している。家に帰ると寝ていた布団から出て三つ指をついて「お帰りなさい」という妻の様子など明らかに厳粛な家庭環境なのであるが、その憂さを晴らすかのように深畑は典子と様々な変態な性戯に溺れる。典子には妻と別れて結婚するという約束をしているようであるが、もちろんそんな大それたことを言える立場になれないまま、典子は妊娠してしまい中絶手術をするはめになっている。
 そんな深畑に嫌気がさした典子がデザイナーの吉岡に心を惹かれることは自然な流れで、なかなか典子に会えなくなった深畑は「金髪」の女性のみならずジミーを初めとするゲイボーイたちと付き合うようになるのだが、ゲイボーイたちが踊る場面のフラッシュライトを連続して点滅させる演出は冴えている。
 深畑の行動を典子は当時の流行り言葉で「ハレンチ」と言うのであるが、今でいうストーカーであろう。しかし冒頭のジャングルの喧騒をバックに深畑の目や舌や鼻の穴などをアップで映したり、あるいはラストで自分が持っていたナイフに落雷して感電死した深畑が真っ黒くなった死体と化した時、これはただのドラマではなく『怪奇大作戦』のようなSF作品と観るべきであろう。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする