山里に生きる道草日記

過密な「まち」から過疎の村に不時着し、そのまま住み込んでしまった、たそがれ武兵衛と好女・皇女!?和宮様とのあたふた日記

白い糸と赤い窓と

2020-07-18 22:19:49 | 生き物

 トマトハウスの侵入を阻止するためのネットに「アブラゼミ」の抜け殻が残っていた。「このへんでアブラゼミが育ったんだなー」とカメラを向ける。白い糸が見えた。これは呼吸をするための「気門」で、頭から尻まで一対の管がある。地中で生きるにはこれが命綱となる。

                 

 羽化するときこの白い糸は、本体が落下するときの防止装置ともなる。成虫となった本人自らが脚でこの命綱を切っていよいよ新たな世界へのデビューとなる。人間でいえば赤ちゃんのへその緒に似ている。そうしていると、突然何者かがハウスの奥から飛び出してきた。デビューしたばかりの本人だった。

        

 バタバタ翅を動かしていたがまだ飛べないようだった。羽化して間もなかったのがわかる。羽化のシーンを見たかった。それでも、よく見ると、翅が見事なステンドグラスのようになっていた。色のグラデーションといい、丸い斑紋のデザインといい、血管のような「̪翅脈(シミャク)」の構成といい、これだけで立派なアート作品だった。生まれたての命の輝きがそこにあった。

                

 同じ日に、ホタルがよたよた飛んできて椅子の板に止まった。そういえば、昼間活動するホタルがときどきいたのを思い出す。表側の赤い斑紋から、能面に見られる「姥(ウバ)」をイメージした「オバボタル(姥蛍)」だった。

 幼虫は陸貝を食べるというから、最近見られなくなった石垣の貴重な陸貝が心配になった。幼虫は発光するが成虫は発光しない。また、赤い斑紋の上に透明なものが覆っていることから、「マド(窓)ボタル」とも言われている。ホタルと言えば、ゲンジホタルやヘイケホタルしか注目されないが、ときには昼行性のホタルにも目を向けてほしいものだ。

                 

コメント
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