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2024年5月8日 弁理士試験 代々木塾 特許法 特許権の侵害

2024-05-08 06:26:03 | Weblog
2024年5月8日 弁理士試験 代々木塾 特許法 特許権の侵害


問題


 秘密保持命令について規定する特許法第105条の4第1項柱書き本文にいう「特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟」には、特許権又は専用実施権の侵害差止めを求める仮処分事件は含まれないから、かかる仮処分事件において秘密保持命令の申立てをすることはできない。


解答


(秘密保持命令)第百五条の四
1 裁判所は、特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟において、その当事者が保有する営業秘密(不正競争防止法(平成五年法律第四十七号)第二条第六項に規定する営業秘密をいう。以下同じ。)について、次に掲げる事由のいずれにも該当することにつき疎明があつた場合には、当事者の申立てにより、決定で、当事者等、訴訟代理人又は補佐人に対し、当該営業秘密を当該訴訟の追行の目的以外の目的で使用し、又は当該営業秘密に係るこの項の規定による命令を受けた者以外の者に開示してはならない旨を命ずることができる。ただし、その申立ての時までに当事者等、訴訟代理人又は補佐人が第一号に規定する準備書面の閲読又は同号に規定する証拠の取調べ若しくは開示以外の方法により当該営業秘密を取得し、又は保有していた場合は、この限りでない。
一 既に提出され若しくは提出されるべき準備書面に当事者の保有する営業秘密が記載され、又は既に取り調べられ若しくは取り調べられるべき証拠(第百五条第三項の規定により開示された書類又は第百五条の七第四項の規定により開示された書面を含む。)の内容に当事者の保有する営業秘密が含まれること。
二 前号の営業秘密が当該訴訟の追行の目的以外の目的で使用され、又は当該営業秘密が開示されることにより、当該営業秘密に基づく当事者の事業活動に支障を生ずるおそれがあり、これを防止するため当該営業秘密の使用又は開示を制限する必要があること。


 最高裁平成21年1月27日判決
 特許法においては、「訴訟」という文言が、本案訴訟のみならず、民事保全事件を含むものとして用いられる場合もあり(同法54条2項、168条2項)、上記のような秘密保持命令の制度の趣旨に照らせば、特許権又は専用実施権の侵害差止めを求める仮処分事件は、特許法105条の4第1項柱書き本文に規定する「特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟」に該当し、上記仮処分事件においても、秘密保持命令の申立てをすることが許されると解するのが相当である。


 上記最高裁判決によれば、特許法105条の4第1項の侵害に係る訴訟には、仮処分事件が含まれ、仮処分事件においても、秘密保持命令の申立てをすることができる。


 よって、本問の記載は、不適切である。





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2024年5月8日 弁理士試験 代々木塾 特許法 特許権の侵害

2024-05-08 06:22:56 | Weblog
2024年5月8日 弁理士試験 代々木塾 特許法 特許権の侵害


問題


 特許権者が故意又は過失により自己の特許権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額を、自己が受けた損害の額と推定する。


解答


(損害の額の推定等)第百二条
2 特許権者又は専用実施権者が故意又は過失により自己の特許権又は専用実施権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、特許権者又は専用実施権者が受けた損害の額と推定する。


 よって、本問の記載は、適切である。





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2024年5月8日 弁理士試験 代々木塾 特許法 特許権の侵害

2024-05-08 06:20:05 | Weblog
2024年5月8日 弁理士試験 代々木塾 特許法 特許権の侵害


問題


 特許が物の発明についてされている場合において、その物の生産に用いる物(日本国内において広く一般に流通しているものを除く。)であってその発明による課題の解決に不可欠なものにつき、その発明が特許発明であること及びその物がその発明の実施に用いられることを過失により知らずに、業として、その生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為は、当該特許権を侵害するものとみなされる。


解答


(侵害とみなす行為)第百一条
 次に掲げる行為は、当該特許権又は専用実施権を侵害するものとみなす。
二 特許が物の発明についてされている場合において、その物の生産に用いる物(日本国内において広く一般に流通しているものを除く。)であつてその発明による課題の解決に不可欠なものにつき、その発明が特許発明であること及びその物がその発明の実施に用いられることを知りながら、業として、その生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為


 青本(特101条)
4〈知りながら〉特定の事実(「その発明が特許発明であること」及び「その物がその発明の実施に用いられること」)について実際に知っていたことを必要とする。それらの事実を知らなかった場合には、それがたとえ過失による場合であっても該当しない。過失により知らなかった場合が含められなかったのは、自らの供給する部品等が複数の用途を有する場合に、それらが供給先においてどのように使われるかについてまで注意義務を負わせることは、部品等の供給者にとって酷であり、また、取引の安全を著しく欠くおそれがあるためである。


 本問では、「その発明が特許発明であること及びその物がその発明の実施に用いられることを過失により知らずに」とあるので、特許法101条2号の「知りながら」の要件を満たさない。


 この場合は、特許法101条2号の侵害とみなす行為に該当しない。


 よって、本問の記載は、不適切である。





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