治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

技術移転(神田橋先生の『発達障害、治るが勝ち!』評) その2

2017-09-07 11:47:16 | 日記




さて、そういう感じで「神田橋先生からの自立」を目指して書いた『発達障害、治るが勝ち!』ですが、発売後一週間、臨海学校から帰ってくるとすぐに○○さんからのメールが来て、報われた感じがしました。
こういう人を増やすことこそが、私にとってご褒美だったからです。えらい先生たちに褒めてもらうことではなく。

でも留守中の郵便物の中に、神田橋先生からのハガキがあったのでした。
それを読んで私はうなりました。
先生のコメントはいつも「短くて的を射ている」のが特徴で、それがすごい言語力だなと思うのですが(逆にたらたら長く書いたりしゃべったりして何言ってるか伝わらない専門家に皆さんうんざりされていると思うので私の言っている意味がわかると思います)
今回も短い中に

・先生が何を目指しているか
・花風社の本でなぜ治るのか

がずばりと書かれていて、それが今後の私の進むべき道を示してもいたからです。

ではお待ちかね。
ここにタイプします。
原文どおりです。ただし、ハガキいっぱいに書かれていたものなので、改行は私の方の判断で入れています。

貼ります。

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いま必要な本を書かれました。ともかく自立心を基盤にした努力と工夫ですよね。
技術と知識が依存させ支配する手段になっています。技術と知識を伝える際にも伝えられた側が自分なりに改善したり工夫したりできるように伝えれば技術移転になりあとは自立への道が開けます。
そのような意図をもって振舞っている「専門家」はあなたの言う「ギョーカイ」はほとんどないですね。自立心を削ぐ工夫ばかりです。

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技術移転!

そうか、技術移転だったのか、先生が実行されているのは、とうなりました。
だからみんな、一回行くとがらっと変わるのです。
治してもらうのではなく、自分で治す方法を習って帰ってくるからです。

鹿児島という日本全体から見ると端っこの地で(鹿児島及び奄美沖縄地方の皆さんごめんなさい)全国からくる患者さんを保険診療でみていらっしゃる先生。
人生かけて(そして多額の旅費をかけて)きている方たちに短い時間で成果を持って帰ってもらうためにはたしかに「技術移転して、あとは勝手に治ってもらう」のが効率的でみんながハッピーなのだと思いました。

一方ギョーカイはどうでしょう。
むしろいかに技術を伝えることを先延ばしにし、有料にし、高額にし、参勤交代制度(@大久保さん)を設け、意味のない資格制限を設け、専門家以外に流出しないよう悪あがきしていますよね。
でも皆さんがそれを嘆く必要はないですよ。
彼らの技術は治しませんから。
近寄る必要のないものです。

そして花風社はどうでしょう。
花風社が出してきた本は、まさに技術移転を起こしています。
だからこういうことが起きるのです。
のんのさんのコメントを貼らせていただきます。

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医療で救われなかったひとりとしての思い。 (のんの)
2017-09-03 17:15:10
今年の春、私は、こいでもこいでも前に進まない人生に別れを告げました。

きっかけは、花風社さんの本です。

医療に繋がって、二十年の歳月が経っていました。

現在少しずつではありますが、修行を積み重ねています。

感覚過敏が和らぎ、
服装選びが楽になりました
実年齢に合う格好が出来、それにふさわしい言動が身体レベルで分かるようになりました。


二十年前、医療と繋がった時、私は言葉がほとんど出ない状況でした。

家族内で孤立し、友人に相談も出来ず、悩み続けていました。

当時の主治医からは、うつ病の診断書を出されました。
転院や主治医の交代があっても、この診断はほぼ変わることがありませんでした。
そして、昨年秋、転居で病院を変わり、最初の主治医と再会しました。

診断は変わりませんでした。
通院を重ねたものの、症状は悪化、入院を勧められました。

私はその勧めを断りました。
その後、別の病院へ移り、更に別の病院へと、ドクターショッピングを繰り返しました。

浅見さんのブログに出会ったのはこの頃です。

書店で芋本を購入し、身体を整え始めたことで、私の生活は変化し始めました。
この変化は、長年繋がっていた医療では感じられなかったものでした。

現在四十代後半の身、身体の衰えは避けられません。今後の身の振り方は、ニキさんに学ぶことが多いと感じています。

成人当事者にとっての、
治る、ということ。
それは、自身の不甲斐なさから逃げないことだと思います。

医療はあくまで補助的な役割に過ぎない。

医療に繋がって二十年経った現在の実感です。

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芋本なんていうのは、まさに「技術移転の塊」です。
そしてなぜ花風社にそれができるか?

有名著者にこだわらないから。

そして

ライセンスビジネスに走らないからです。

私は箱根の麓で地味に実践していた栗本さんの本を出しました。
それは栗本さんのために出したのではありません。
本を出してもえらくない。
栗本さんがえらいからではなく、みんなに役立つ知識を持っている人だから、無名のおっさんでも出しました。
まずそこで、権威ばかり見る人が多いでしょう。いくらいいものを持っていても、無名の人にリスクは取らない版元が多いでしょう。でも私は空気を読まないので、無名だろうがなんだろうが「治すが勝ち!」だと思っていたから出すのが全然怖くなかったのです。

そしてその度胸を下支えしていたのは、皆さんの存在です。
皆さんを私がどうやって見つけたかと言うと、誰にも遠慮せず言いたいことを言ってたら近づいてきてくださったから私が皆さんを見つけたのです。
世の中のSSTは、とくに学校で行われるSSTは、「長いものに巻かれる方が得をする」的なんものが多いです。これは嘘っぱちです。凸凹の人にとってはとくにそうです。そんな不健康な生き方を推奨されているからみんな治らないのです。
私は「長いものになんか巻かれなくても生きていける」というエピソードでありエビデンスです。
有名著者などいらないのです。うちが出せば有名になるのです。それだけのものを築いてきたのです。どうやって築いてきたか? ギョーカイに迎合しないことによってです。私が徹底的に「付和雷同力」を欠いていたことが良い方に働いたのです。

そして栗本さんがスター(?)になりました。
あとは栗本さんの自助努力です。
あとは神田橋先生風に言えば
「自立心を基盤にした努力と工夫」
で栗本さんが勝手に仕事をやって世の中のお役に立ってれば、食っていけるでしょう。

そしてみょうちきりんなライセンスビジネスに乗り出さなければ、食ってくのは栗本さん一人でいいのです。
無能な弟子を食わせる必要がないのです。いないのですから。
この点ライセンスビジネスの人たちは大変です。無能な人を食っていかせるために当事者保護者を犠牲にする必要があります。

そして栗本さんや私が技術移転を続けても

治りたい人はたくさんいるので、仕事はなくなりません。

発達障害者が一人もいなくなったら、今度は障害のないお子さんやご高齢の方や、支援を必要としている人はたくさんいるから失業しません。栗本さんも私も。栗本さんには身体の知識が、私には言語による表現力と企画力があるからです。それはどんな分野にだって対応可能な能力なのです。

ところがギョーカイはその点が怖いんでしょうね。

だから自分たちの食い扶持確保のために、(治しもしない)技術にもったいつけて小出しにし、

技術と知識を依存させる手段(@神田橋先生)

としているのです。

彼らは怖がりなんですね。
自信がないんです。
その自信のなさの犠牲にならないでくださいね、皆さん。

続く

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1 コメント

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コメントに補足します。 (のんの)
2017-09-08 16:22:20
日記に取り上げていただいたコメントに、補足したいことがあります。

最初の主治医のもとでの治療は、カウンセラーと医師の二人体制でした。
薬の処方が必要な時に主治医と面談するやり方で、約4年通いました。

カウンセリングでは、自分の関心事を話すことから始めました。
アルバイトも始め、自分の感情の言語化もカウンセリングの中で行ったりしていました。

ですが、自分の快不快の感覚が分かっていなかったのでしょう。
深刻なうつに二度かかりました。
これが、長いトンネルの始まりだったと言えます。

でも現在は違います。
今年の春から睡眠の薬は止めたのですが、状態は安定しています。

この夏の変則的な気候も、なんとか乗りきれています。
安定した体調が、感覚過敏を和らげ、脳の使い方を考える余裕をもたらしたのだと思います。
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