治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

「発達障害は治りますか?」への読者の方からの感想

2010-06-07 07:00:00 | 日記
読者の方→花風社

先日は新刊を送っていただきありがとうございました。ネットで本を買うのは初めてだったので、もういつ来るか落ち着かないわくわくした日々を過ごしておりました。

二回目を読んでおります。
初めて読んだとき、最初の何ページかで、私が考えていたことがこの本の中に書かれてあると確信を持ち、まず、私が一人ぼっちではないんだなという安心感が先に来ました。

体を動かすことで言葉が出やすくなったり、行動に落ち着きが出ることは息子と接するうちに気がついたことです。その後様々な情報で感覚統合、特にブランコがよいと知りました。息子も大好きなので、放課後、ヘルパーさんと過ごすときは、まず一番に校庭のブランコに行くようです。ずいぶん表情が豊かになりました。感情を表に出せるようになったようです。
泣くことができない子だったのが、入学してからしくしく泣くことが増えたと聞き、逆に安心したほどです。いまや泣いて嫌なことから回避しようとするずるさも身につけられました。

また「ほめるとセルフエスティームは高まるのか」というお話は、私もずっと「褒めて育てる」ということに何か違和感を感じていたので、私がうまく説明できなかった話を代弁していただけた気持ちになりました。
褒めるというのは、褒める側の見かたも見えてくる行為だなあと思います。
私は共に暮らす人として、息子が年相応にできることは、頼もしく思えることはあれど、ことさらに褒めることではないと思っていたのです。「あらいいねえ」「やってくれるとたすかるねえ」とかは言いますが。
どの子もその子なりのプライドがあるはずだから、しかし言葉がうまく操れない子にはそのプライドのありようも、行動で見せる他ないのではとも思います。かんしゃくを起こしたとよく言われましたが、それを言葉ととらえてからなぜそうなったかがわからなければ、言葉を使うことに意味はあるのかとも思います。

代替療法にも興味をもっており、なぜなら私自身が(中略)。今は病院通いをしなくなって10年になります。8年ほど通院投薬していたのが嘘のようです。手首の関節が固まって動かなくなっているのと、疲れると腸の調子が悪くなるので、気休めにエビオスなどの整腸剤を飲む他は、毎日お酒も飲むし、肉も食べる生活です。ただ乳製品はあまり摂らなくなりました。

息子も偏食が多いほうですが、少しずつ食べられる範囲が広がっています。
しかし一方で、この偏食には意味があるのではとも思っています。
今まで何人かの自閉症児を見てきましたが、食べ物の好みに共通点があるように思えます。
口の中の感覚過敏や食べ物の見た目の問題もあるかと思いますが、私の知っている子は、歯ごたえのあるものが好きでした。それからきなこが好き。塩をそのままなめてしまう子も多かったようです。海苔も好き。息子はごまも好きです。
ミネラル類なのかな、それをたくさん使ってしまう体なのかな、または野菜をほとんど食べないから、バランスをとっているのかな……
偏食を直すというよりは、食べられるものを増やす、という考えで行けたらいいのかなと思います。

エビオスをかじる子の話も、不思議な話と思いませんでした。好きなものに理由があるような気がするのです。
テンプル・グランディンさんの本で、マグネシウムやビタミンB6が話し言葉を増やすのに効く(人もいる)というのを読み、それは息子の好きなものにわりと多いものではないのかと思っています。きなことかチョコレートです。しかし一方で食べ物アレルギーが自閉症状を悪くさせる話もどこかにあり、しろうとが出来る範囲では情報収集だけでも日が暮れてしまうほどです。
息子には毎日飲む牛乳を葉酸や鉄分入りのものに変えたり、チョコレートも解禁したり、きなこヨーグルトは毎朝私と共に食べたりしています。
話し言葉はたしかに格段に増えました。明確なデータがあるわけではないのですが、この過去一年半ほどは、感覚統合と食事が「息子には悪くはなかった」という結果かなと思います。

支援級の(中略)ですが、どうも学校の授業に参加したがらず、図工の時間の作品には、いつも息子のものがありません。その時間になにをやっていたかといえばおそらく好きな絵を描いていたのだと思います。

この集団行動をことごとく嫌がることの理由を知りたいです。母子通園の頃はやっていたのになぜやらないのか 。やたら褒められたのが今裏目に出ているのか。

こんど手帳の更新もあり相談をする機会もあるのですが、なんだかだんだんこれは自閉症だからやらないのか、成長してこんなことやってられねえからやりたくないだけなのか、単純に考えたほうが上手く行く所もあるような気がしているのです。そこがこの子のバランスの悪い発達なのかと。

(中略)

いろんな見方をして、子どもの成長に追いつきながら、良い方向に進んでいきたいと思います。これからもそのいろんな見方を、沢山の人に提供して下さる本を、じっくりと作ってください。

ミラーニューロンのことも、もっともっと、知りたいです。

なにより花風社さんの本は、内容が読みやすいのはさることながら、表紙が薄い、全体の本の重さが軽いのが、(中略)を患ったものにとってたいへんありがたい本です。右開きでたて組で、書体も、私には読みやすく助かります。

そういえば小学校の教科書って、ものすごく色が多色で、このことも集中しにくい子には良くないのではと思っています。支援級の教科書は、二色で読みやすく、内容も易しいのですが、造りも優しいと思います。今回通常級の教科書を買ってみて、「これが白黒なら息子にも、もっとわかりやすいのでは」と思いました。

これからもいかした本造りをお願いします。それでは失礼いたします。

浅見→読者の方

花風社の浅見です。メールをありがとうございました。
神田橋先生の本をお役立ていただきうれしいです。
すでにお子様のために、そしてご自分のために、あれこれ試してきて効果のあるものを探り当てた実績のある方だからこそ、この本から読み取れるものは大きいと思います。
私たちはこの本を作りながら「わかる人にしかわからないかもしれない。でも役に立ててくれる人が役に立ててくれればいい」と割り切った気持ちで作ってきました。
今嬉しいのは、この本を読んで、実際に実践に取り入れ「状態がよくなった」というご報告がこれほど短期間のうちに上がってきていることです。

今後とも花風社の本をよろしくお願いいたします。

最新の画像もっと見る