治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

成績よかったのに~

2015-04-08 09:37:08 | 日記
さて、昨日もツッコミどころ満載の記事が回ってきましたが

こういうの見て「アスペルガーに向く仕事向かない仕事」とか紋切り型の言い分を真に受けない方がいいです、マジで。

通常向かないとされている販売の仕事で活き活きとしているちゅん平さんもいる。

なんでかというと、販売って言ったってそれぞれだから。
編集っていったってそれぞれだし。

それでも底上げしておいた方がいいのよ、土台はね。
たとえば感覚過敏が昔のままなら
ちゅん平さんはドラッグストアの客さえできなかった。今は販売に回ってる。それは感覚過敏がだいぶ治ったからです。

医師を初めとする支援者って各業界の細かい事情を知らないわりにああだこうだ出過ぎた口を叩くので、あんまり当てにしない方がいいです。
クリエイターにも学者にも社交性はいりますからね。

と適職についてはここまでなんだけど、私が心から不思議に思うのは

「なんで成績がよかったのに仕事ができないことがそれほど不思議なのだろう」という、そっちね。

別に発達障害の人に限らず、学校での成績が良くたって仕事ができない人っていうのは普通にいるわけで

逆に学歴はないけれどやり手の人っていうのも世の中いっぱいいるでしょ。それと同じ。

つまり求められているものが学業と仕事ではがらっと違うだけの話なんだけど、社会に出て壁にぶち当たったとき

過去の栄光にどれくらいすがるかには認知特性が影響するような気がします。そもそも多くの人は、学業成績なんて別に覚えていないんですよ。

ニキさんはこの認知特性を自分で緩和するためにわざわざ「学校限定ルール」という言葉を作っている。詳しいこと知りたい方は「自閉っ子、えっちらおっちら世を渡る」を読んでね。

つまり彼女は、「学校限定ルール」に縛られて世の中で浮くような振る舞いをしてしまうことを自閉の特性として特定していて、それを解毒しているのね、自分で。

ここの一手間を惜しむと

「成績良かった私を認めない社会が悪い! 社会の理解ガー」に走るんだろうな、と思うわけです。

ニキさんの場合はまさに言語能力が身を救っているんだよなあ。
しみじみ。

ところで、四月に就職した皆さん。

今疲れていると思いますが

それって普通ですから。

学校と社会はとても違うので、覚えることがとても多くて、脳みそが強烈に疲れます。まだ仕事できないから叱られることもあるかもしれないし。

でもね

それって別に障害のせいじゃないですから。

ここのプロセスを「社会の理解ガー」に置き換えてしまっている支援者もいるけど

信用しないことです。

私の実感では、大学出るまでの22年間にしてきた勉強を1年でやるのが社会人です。というか、そこで強烈に塗り替えられる。

でも三年やると面白くなります。
だから三年やってね。

社会の方が面白いよ、学校より。
私はね。