イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

肉モドキを使った定番家庭料理と、イギリスのベジタリアン事情再び

2017年11月25日 23時40分47秒 | 英国の食べ物、飲み物
今回ご紹介する、ベジタリアン vegitarian(菜食主義者)用の冷凍食品は、「肉モドキ」・・・私の命名です。

肉モドキのひとつ、ミート・フリー・ミンス meat free mince 。


  
上は、べジタリアン食品の老舗、クォーン Quorn 社の、クォ―ン・プラウドリー・ミート・フリー・ミンス Quorn Proudly Meat Free Mince( 300g入りが 1ポンド79ペンス)
下は、スーパー、アスダの自社ブランド、アスダ・ミート・フリー・ミンス Asda Meat Free Mince (454g入りが1ポンド50ペンス)

スーパー各社、競合他社が同じものを作っています。
オリジナルは、ミート・フリー・ミンスの原料、マイクロプロテイン microprotein を発見して、肉の代用、健康食品として開発製造した、クォ―ン社のもの。


マイクロプロテインというのは、菌・・・一般には「キノコ」と言われていますが、キノコではなく・・・ええっと、とにかく、1960年代に発見された菌らしいです。
説明になっていませんが、私もよくわかっていません。紅茶キノコがキノコではないのと似たようなことかもしれません。

肉のミンチ(ミンス)の代用として、さまざまな料理に使われます。
牛肉のミンチを想定した料理が多いかもしれません。

ミンチですがハンバーガーやミートボールは作れません。粘り気がなく、まとまりませんから。
もちろん、出来合いのベジタリアン食品としてハンバーガーモドキやミートボールモドキが売られています。

安売りの時に大量に買った、お値段高めの クォ―ン社のものを使います。


冷凍のミート・フリー・ミンス。
指でボロボロつぶせます。そのまま食べても味がありません。

よく炒めた玉ねぎのみじん切りと ニンニク、ナツメグ、バジル、に混ぜます。


あっという間に火が通り、色が変わって脂が出るまでじっくり炒めなければならない牛肉のミンチと違って らくちんです。

塩コショウして、トマトの缶詰をいれ、30分以上じっくり煮て、最後に赤ワインを どぼどぼっといれて・・・・


本場イタリアでは決してやらないと言われている、ウースター・ソースも ちょっぴり入れて(イギリス流・・・)

ベジタリアン・スパゲッティ・ボロネーズソースの出来上がり。


私のうちでは、いつもは牛肉のミンチを使ったものと、ミート・フリー・ミンスを使ったものと、2種類作ります。

大した手間ではありません。
大きな鍋でよく炒めた玉ねぎ他、4人分のハーブやスパイスを、ベジタリアンの夫用に、一人分だけ小鍋に取り分け、一人分のミートフリーミンスをいれて別に作ります。
大きな鍋に残った3人分の玉ねぎ他・・・には牛肉のミンチを混ぜて、私と子供2人のミート・イーター用に。

ミート・フリーのベジタリアン食品が嫌いな上の息子が独立して家を出た今、下の息子と私のたった2人だけのために、ミート・イーター用の調理をするのが ちょっとおっくうになってきました・・・。夫は肉が食べられませんが、私たちミート・イーターがベジタリアン食を食べるのは問題ありません。

今回は、冷凍庫の中味を一掃して、かなりの割合を占めるベジタリアン食を集中的にたべ切る「冷凍食品チャレンジ」のためにベジタリアン食のお相伴をしましたが、これからももっと食べ続けてもいいかもしれません。

マイクロプロテインはカロリーが低く、食物繊維を多量に含む良質の植物たんぱく質だということです。健康に良いのは確かです。
淡泊ですが、ソースの味がしみこみやすく、調理も楽です。

別の日に、やはりミート・フリー・ミンスを使って作った、ベジタリアン・チリ・コン・カーン vegitarian chilli con carne。


ライスはカリフォルニア産の日本米。息子が好きなものですから。


チリコンカーンは、イギリスでは「チリー」と呼ばれ おなじみの家庭の味になっています。
日本では なじみがないと思います。

玉ねぎをパプリカの粉、ナツメグ、刻んだトウガラシと炒め、牛肉のミンチと缶詰のキドニー・ビーンズ(腎臓豆)を加えてさらに炒め、缶詰のトマトを加えてよく煮込む メキシコ料理です。

この調理法、アメリカ経由のイギリス流みたいです。・・・本場メキシコでは、火にかけた大なべにミンチではなく脂たっぷりの牛肉のぶつ切りを炒めずにいれて、つぶした生のトマトをぶち込む豪快な調理法で食べているみたいです・・・

これは、アスダの格安ミート・フリーを使いました。品質に変わりなし!

肉モドキですから、脂分がなく、牛肉を使ったものよりも赤みと粘り気が薄いです。


ちょっと前まで、クォ―ンの宣伝に、オリンピックの陸上金メダリストのモー・ファラがイメージキャラクターとして出演していました。



一家そろってベジタリアンだそうです。

運動する人は、動物性たんぱく質をとらなければいけない、と思っている人が多いのではないでしょうか。
イギリスでもそう思っていた人がけっこういます。

そうじゃないことが今では広く知れわたっています。一日中走っているらしい彼が、肉を食べずに金メダルをいくつも獲得して、次々と新記録を出しています!

モーの起用効果大。



前回の続きです。

一般の日本人が理解していないと思われる、イギリスのベジタリアンについていくつか・・・。

日本人のみならず、イギリス国外では「ベジタリアンは肉そのものを口にしないだけだ」と思っている人が多いようです。

夫とポルトガルに旅行した時、スープの中にベーコンの塊が入っていたことがあります。
夫が、自分がベジタリアンだと告げると ウェイターは肉を掬い取って、「さあどうぞ」と勧めてくれたことがあります。
日本で「お肉が食べられないのね」と、すき焼きの鍋から、牛肉をどけて豆腐とシラタキと春菊だけよそってもらう、なんていう設定も考えられます。

肉をどけても、肉と調理されたものは、ベジタリアンは口にすることができない、ということが理解されていないようなのです。
もちろん、ブタの骨のゼラチンが入った、ラーメンもゼリーもダメです。

ヴェジタリアン協会が、レストランなどの飲食店で、「ベジタリアン食」をメニューにうたっていながら、ベジタリアン食材が肉と接触したり、肉を調理するのに使った器材を洗わずにベジタリアン食の調理に使われたりなどしていないか、視察して回っています。

レストランではともかく、よその家庭でごちそうになるのに 出てきたものを食べられない、などというのは失礼千万ではないか、というのは日本人として当然の疑問です。

イギリスでは失礼ではありません。
国中で、ベジタリアンの、肉を食べないことに決めたライフスタイルが尊重されています。
お食事に招待されたら、自分がベジタリアンだけどかまわないか、と断りをいれるのがベジタリアン側の礼儀です。

ベジタリアンの招待客のために ベジタリアン向きの料理を調達、調理するのはイギリスでは決して厄介なことではありません。
レシピも出回っていますし、冷凍食品も、調理済み食品も簡単に利用できます。


ベジタリアンの子供が お友達の誕生日パーティーに、自分が食べていいものと よくないものの判別がつく7~8歳ぐらいまでは お弁当を持っていくこともあるようです。
もちろん、パーティの主催者は招待客すべての保護者にベジタリアンかどうか確認する義務があります。

うちの夫も含む、イギリスの多くのベジタリアンは、魚は食べる、「ぺスカトリアン」だということはご存知でしょうか。
もともとは、イギリスの1970年代80年代の畜産農業への抗議から始まったヴェジタリアン運動家たちは、漁業の在り方には抗議するべき非道な行いは見いだせなかったようです。
当時、畜肉を少しでも安価に提供できるよう、動物たちを狭くて暗い畜舎に押し込め、特殊な飼料を与えて短期間で成長させる集約農業が主流になりつつあったのです。
現在、畜産農業へのイギリスの規制は厳しく、非人道的な動物の飼い方は許されていません。

「動物は食べないのに 動物と同じで、生き物だし魂がある魚を食べるのはおかしいのではないか?」とペスカトリアンに疑問を吹っ掛ける人がイギリスにも結構いるそうですが、背景を知っていればおかしくないのが理解できますよね。

ちなみに・・・人によるし、解釈もあいまいなのですが、うちの夫を含め、魚は食べるけどタコやイカはだめ、という人がけっこういます・・・脚があるから!
だけど、うちの夫、カニとエビは食べます。エビは頭と尾と脚を取り除いた状態で、カニはほぐしてないとダメですが・・・

ビーガン vegan という(完全菜食主義者と訳されているそうです)魚はもちろん!乳製品も卵も食べない人たちもいます。革製品も使いません。

ちなみにうちの夫は、日本に行った時にファミリーレストランで、材料のリストを見せろと調理師に交渉して私を大変なストレスに陥れたことがあります。
二度目の訪日からは、心を入れ替え、「肉片が見えなければ材料にたとえ肉が含まれていても目をつぶって食べる」ということを約束してくれたので、やっと家族で外食ができるようになったのです。

イギリスのベジタリアンとしては画期的なことです!!
うちの夫のような多くのイギリスのぺスカトリアンは、イギリス人がよく旅行する、地中海沿岸諸国で魚や海鮮食品(タコ、イカは除く)を食べることを知ったそうですよ。
地中海沿岸諸国では、ベジタリアンが食べられるものがほとんど、ないらしいですから。
今は事情が違うかもしれません。ポルトガルのポルトの、イギリス人観光客がよく訪れるレストランにはベジタリアン・メニューがありました。

前回、2回の記事のリンクです。↓
そこら中にいるはずのベジタリアン、意外と少ない彼らが食べる、出来合いベジタリアン料理、ごく一部



絶妙のコンビ、リンゴと豚肉、伝統料理をアレンジしてみた甘党向きソーセージ&サイダーキャセロール


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コメント (3)
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