スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

谷津の雑感②&アウデルケルク

2015-07-13 19:24:34 | NOAH
 谷津の雑感①の続きです。
 谷津は長州とブロディの試合の当事者でした。このときは超獣が何も受け付けなかったのでプロレスの試合にならなかったと語っています。ただ,ブロディがそういう試合をした理由に関しては,そのエゴイズムによって説明するのではなく,直後に新日本に移籍することが決まっていたので,あのような試合が新日本のスタイルであると勘違いしていたのではないかという推測をしています。谷津にとって全日本のブロディというのはもっとパフォーマンスがある受けのスタイルのレスラーだったそう。そのスタイルが適していると思ったので,後に全日本復帰を果たしたのだろうと推定しています。たぶん馬場はブロディが受けのタイプのレスラーであるということは肯定しないと思いますが,谷津からはそのように見えたのでしょう。これは谷津が元々は新日本でデビューしたということと関係するのかもしれないと思います。
 対外国人の試合については,谷津はだれとでも合わせることができたと自負しています。やりにくかったと名前を出しているのは不沈艦で,がむしゃらに自分のリズムだけで戦う選手だったからだそうです。つまり谷津のリズムとハンセンのリズムが合わなかったということだと思います。
 もうひとり,ネイチャーボーイもやりにくかった選手としてあげています。こちらはフレアーのパフォーマンスには理解不能なところがあったからだとしています。よほどアメリカで修行していないとフレアーといい試合をするのは難しいのではないかというのが谷津の感想。谷津を含むジャパンプロレスの選手たちが全日本のリングに登場したのは1984年の暮れから。谷津がフレアーのNWA王座に挑戦したのは1987年3月で,およそ2年3ヶ月後。谷津にとってこの時期は,ようやく全日本プロレスのスタイルが分かりかけてきた頃だったということで,もしももっと全日本で経験を積んでから戦っていれば,違った試合ができたであろうと回顧しています。この試合は僕の印象に残っていないのですが,谷津にとっては不本意な一戦であったのでしょう。

 最終判断には,ファン・ローンJoanis van Loonの「レンブラントの生涯と時代」とナドラーSteven Nadlerの『ある哲学者の人生Spinoza, A Life』が主要な資料になっています。この関係で,その後のことについていくらか補足が必要になります。
                         
 スピノザがシナゴーグから最終的な破門を宣告されたのは1956年7月27日です。ローンによればその翌月の8月の最終週のある日,スピノザは暴漢にナイフで襲われ,着用していたマントを裂かれ,右肩に軽傷を負いました。この傷の手当てをしたのが医師であったローンでした。ローンは負傷の理由を知って腹を立て,その晩はスピノザを自宅に泊めて,翌朝に市の当局者であったコルネリス・デ・フラーフという人物の自宅に出向いてすべてを話しました。すでに事情を把握していたフラーフは,再び暴動が生じないようにするために,スピノザが一時的にアムステルダムから退去するように求め,アウデルケルクAwerkerkという村に別荘を所有するディルク・トゥルプという人物の家を紹介しました。トゥルペンベルフという地名が出ています。スピノザはこの求めに応じ,次の日の朝にはそちらに移動したとあります。
 次の年,1657年はローンは大部分を艦船の中で過ごしたそうです。しかしローンの息子とレンブラントの息子は連れたってスピノザが暮らしていたアウデルケルクへ遊びに行ったとあるので,まだスピノザはそこで暮らしていたことになります。
 傷の手当てやフラーフとの会見はローン自身がなしたことなのですから,その内容を疑うことは僕にはできません。一方,『スピノザの生涯と精神』のうち,コレルスJohannes Colerusによる伝記には,スピノザはアムステルダムを去ってアウデルケルクへ続く途中のある人の家に寄寓したとあり,トゥルペンベルフという地名こそ出てきませんが,明らかといっていいような一致がありますから,この部分に関しても高い信憑性を置くことができると僕は思います。
 ナドラーによれば1657年というのはケルクリングDick Kerkrinkがファン・デン・エンデンFranciscus Affinius van den Endenの学校に入学した年です。つまりスピノザは生徒としてそこでラテン語を習い,また助手として活動していたのでなければなりません。ここに整合性が必要になります。
コメント
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