スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

王位戦&無限様態の永遠性

2014-05-26 22:28:25 | 将棋
 第55期王位戦挑戦者決定戦。公式戦初対局。
 振駒で千田翔太四段の先手になった将棋は,互いの駆け引きから相早囲いの相矢倉。しかし中盤で千日手に。
 入れ替わって木村一基八段が先手での指し直し局は時間があったので久々にみっちりと観戦。横歩取り△8四飛に。
                         
 これはよくある局面で,△2二銀と上がるのが普通ですが△2四歩と打ったのでいきなり手将棋に。▲8七歩△9四歩▲4八銀に△6二玉と,こちらに囲う構えを見せました。ただ先手は過剰に意識せず応対したので,後手の玉型以外は部分的にありそうな形へと進展。
                         
 先手が後手の飛車を7筋に呼んで角を交換した局面。△同桂と取りました。横歩取りでは桂馬で取るのは形ですが,この場合は△2四歩と打った手を咎められる可能性があるので,指しにくいような気がします。あるいは先手としても目論見が外れたかもしれません。△8八歩があるので▲7七桂。以下△6四角▲8六角△7四飛▲6四角△同飛▲8六飛△8四歩▲3八金△2五歩と進展。さすがに後手には不本意な展開と思えましたが,先手も局面をはっきりさせるのはまだ難しそうに感じていました。
                         
 ここで▲8三角と打った手はまったく考えていなかったのですが,好手でした。すんなりと馬を作られては後手はじり貧ですので動くほかありません。△2四飛▲5六角成△2六歩▲2八歩△4五角に▲4六馬。ここから△2七歩成▲同歩△同角成▲3四歩△3八馬▲2四馬△4五桂まで,検討していた手順のひとつでした。
                         
 ここで▲3三歩成と成り捨てたのはまたまったく考えていなかった手で,俄かには意味もよく分かりませんでした。△同銀に▲4六馬と引いたので,催促する意味だと理解しました。△4九金▲5九銀△同金▲同王△4八銀▲6九王△5七桂成は後手としてもこう迫るしかないような順。しかし▲6八銀と上がって,先手は盤石になりました。
                         
 以降は反撃に転じた先手が,鮮やかに後手玉を寄せて勝っています。
 木村八段が挑戦権を獲得第50期王位戦以来のタイトル戦出場で,初のタイトル獲得を目指します。

 第一部定理二二の方を見てみましょう。ここでは間接無限様態について言及されています。そしてスピノザは,それが常に存在するとはいっていませんし,永遠であるともいっていません。必然的に存在するといっているだけです。
 この必然的necessariusという語句が,必然の第一のタイプに該当することは,僕には間違いないと思えます。だとしたらスピノザは,間接無限様態は永遠であるという代わりに,必然的であるといったことになります。さらにここでは,時間経過を示す常にという語句は用いられていません。したがってこの定理のこの部分は,間接無限様態は第一部定義八でいわれている意味において永遠であると解釈するのが妥当だと考えます。
 間接無限様態が永遠であるなら,直接無限様態も永遠でなければなりません。第一部公理四が成立するのは,結果の完全性は原因の完全性に依存するからです。そして間接無限様態は直接無限様態を原因として起成する結果です。なので間接無限様態が永遠であり,直接無限様態は無限定に持続するものであるなら,結果の完全性が原因の完全性を上回ることになります。第一部定義八説明での,永遠性と無限定な持続の峻別の仕方からして,永遠であるものの完全性が無限定に持続するものの完全性を上回ることは間違いないからです。
 第一部定理二一と定理二二から考える限り,直接無限様態も間接無限様態も永遠である,第一部定義八の意味で永遠であると考えるのが妥当だと僕は結論します。つまりスピノザは,無限定に持続するものに永遠という誤った形容をしたのではありません。永遠であるものに常に存在するという誤った形容をしたのだと僕は理解します。
 蓋然性から考えても,このように理解する方が安全だと思います。第一部定義八説明では,スピノザは永遠性と無限定な継続とを,明確に峻別しています。だから松田は永遠の相と持続の相を,数的に区別が可能なふたつの相として分節するのです。そうであるなら,スピノザが無限定に継続するものについてそれを永遠であるという可能性は低く,もし誤るとすれば,永遠であるものを常に存在するという可能性の方が高いのではないでしょうか。
コメント
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