19世紀のドイツの哲学者ニーチェの代表作『ツァラトゥストラ』を100分で読み解くNHK教育”100分de名著~現代人に超人は可能か?~>が昨夜放送されました。
知ったふりの自分を見つめ直す機会に恵まれ、またニーチェを読み続けたい、そんな気持ちになりました。
今回はゲストに精神科医の斎藤環(さいとう・たまき)先生も加わり、「ひきこもり」の研究者の立場から、ニーチェを読み解いており、直接今の自分(初老の身)に投げかけた話ではないのですが、晩年に向かっての心構え的な面を自分也に受けとることができたように思います。
「超人とは完璧な引きこもり」のことである。と斎藤環先生は言います。今までのニーチェの考え方が否定されているのではないかと考えてしまいます。
仕事もしていない、人間関係もないし業績ものない、
そういう自分を全肯定できるかどうか、が超人の重要な条件ではないか。
そのような視点から話されていることがわかり、今の世の中について番組の後半で次の内容の言葉が斎藤環先生と講師の西研先生から語られました。
最初に『ツァラトゥストラ』の序文に書かれた言葉が紹介されます。
嫌なことがあればその場所から立ち去ればよい、前回の番組内でも詳しく語られた「末人」、逃避の世界観そんな世界にある引きこもり、そこに光を当てるにはどう考えるべきか、そんな内容が語られました。
<現代の就活・婚活の世相を見て>
【斎藤環】
就活も婚活も比較の発想になってしまう。そのような発想が、どこか末人的になってしまう。
そこで重要なことは、自分の欲望を最後まであきらめないこと。
自分が何を欲しいのか分からない(最大の難点)。
自分探し=自分の欲望探し
段々比較の発想をはぎ取っていけば発見できるのではないか。
ドップリ受験の時から就職の時まで、比較の発想になれすぎている。
そのことによって逆に欲望が見えなくなってきている。
何かそれをリセットできることをつかんで欲しい。
<以上>
【西研】
世間並みのところから、脱落したくない気持ち。
そればかりを考えてしまう。
就職がうまくいかないと全世界から自分が否定されたような気持になってきてしまう。
でもニーチェ的に言うと、世間から評価される前に、
「どうやったら自分はワクワクするの?」
「どんなことをやったら自分は燃えられるかな?」
そこを考える必要があって、会社で自分のワクワクを実現するくらいを考えるくらいにならないとダメだと思う。
それは理想論だけれども「どうやったらワクワクできるの?」というところから考えはじめないといけないように考えます。
<以上>
最後に斎藤先生が、
【斎藤環】
肯定の考え方はいろいろとありますが、「偶然を必然と考えられる才能」のことだと思う。
そういう面からニーチェを読んでみることもよいのではないか。
と語られ「偶然と必然」という言葉が出てきました。そしてアシスタントの瀧口友里奈さんという社会学専攻の女子大生が、この番組を通しての感想として、
一日一日今を大切に生きていきたい。と思った。
という言葉を語りました。
今回は、無分別智、一夜賢者の偈を彷彿させる内容でした。
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