思考の部屋

日々、思考の世界を追求して思うところを綴る小部屋

こんな女にしたのは 誰かしら

2017年12月23日 | ことば
 言葉の織りなす世界。日常の会話から文学の世界など、他者に自分の意を伝えるものであることから自分の意を日記に綴ることもあります。

 テレビを見ているとニュース、ドラマ、ドキュメンタリー、漫才から歌謡曲等と映像はもちろんそこに言葉が組み込まれ流れています。

 その都度その意味を解して理解し、憤慨もあれば笑いや悲しみが生まれます。そのようなときに思うのは、表現される言葉を作り出した、作者や編者の才能のすごさです。

 私自身に自然に発想されない言葉表現で、表現されていると実におそれいるのです。

 これから書くことは、感心するほどのことではないのですが、私自身としては大変勉強になったことです。

 最近カラオケにはまっているので時々YouTubeにアクセスすると面白い曲を発見することが有ります。その中に佳山明生さんの『こんな女のブルース』という曲がありました。

 作詞:みずの稔 作曲:桧原さとし 編曲:佐野博美で佳山さんが唄う歌謡曲です。
 酒場で働く女性の手練手管とでも言いましょうか、男性客ともてなす女性の会話の内容が唄われます。

 お酒ですか   弱いんです
 タバコですか  ダメなんです
 ごめんなさいね かわいくない女です
 泣いてお話しするような 辛い過去などないんです
 こんな女にしたのは 誰かしら

これが一番で、「ごめんなさいね かわいくない女です」「こんな女にしたのは 誰かしら」という言葉は、三番まで繰り返される言葉で、三番最後は「こんな女にしたのは 誰かしら」が繰り返されます。

 次の二番ですが、

 男ですか    いないんです
 名前ですか   変えたんです
 <上記文>
 甘い夢見て泣くよりも 独りぼっちが いいんです
 <上記文>

そして最後の三番、

 故郷(こきょう)ですか 捨てたんです
 昔ですか    消したんです
 <上記文>
 どうせ今さら 戻れなきゃ 遠い町ほど いいんです
 <上記文>
 <上記文>

 私自身の歩んできた過去にはこのような世界は生まれる余地はありませんでしたは、他人事で情景を想像すると実に面白いと思うのです。

 「この女はどんな人生を歩んできたのだ?」

 最初に頭に浮かんだ言葉。創作された言葉につい真面目な疑問を生じてしまいました。

 このように語る女性が実際いるのではないだろうか。
 物語る人間。物語る男です。夜の世界の濃艶な情景。

 お酒は、飲めないのではなく、「弱いんです」
 タバコは、吸わないんですではなく「ダメなんです」

 泣いて話すような、辛い過去はないと断定する女

 特定の男は、付き合っている男は聞くと、あっさりと「いないんです」
 源氏名ではなく本名はと尋ねると、これもあっさりと「変えたんです」

 今は独りですか、と聞くと「甘い夢見て泣くよりも 独りぼっちが いいんです」
 と見事に応える。
 
 男はそれでも「故郷は何処ですか」ときくと、あっさりと「捨てたんです」
 男は胸のうちに「どういう女なのだ」と、あぜんとした顔で彼女の顔をみると「昔ですか」としばらく間をおいて「消したんです」

 と応える。そしてそして、

 どうせ今さら 戻れなきゃ 遠い町ほど いいんです

 という言葉に救ってあげたいと救世主のような男にメタモルフォーゼしそうです。

 言葉選び、単純な言葉で織りなす世界ですが、人とはほんとうに物語る動物であることが解ります。

 ブログのアップが滞っているところ、突然このような文章をアップしました。