岩波ホールで、ジャン・ユンカーマン『沖縄うりずんの雨』(2015年)を観る。
第1部、沖縄戦。第2部、占領。第3部、凌辱。第4部、明日へ。沖縄人と日本兵を殺した元米兵、米兵を殺した元日本兵、施政権返還の正体を見抜き日の丸に火をつけた知花昌吉さん(『ゆんたんざ沖縄』も引用される)、チビチリガマでの「集団自決」で偶然生き残った知花カマドさん、元沖縄県知事・大田昌秀さん、元米兵の政治学者・ダグラス・ラミスさん、沖縄の差別的構造を撮る写真家・石川真生さん(最近の『大琉球写真絵巻』も紹介される)、1995年に沖縄で起きた12歳少女強姦事件の犯人のひとり、普天間の海兵隊員、・・・。
この映画にはさまざまな人が登場する。その声が、ペリーの琉球来訪(1853年)から沖縄戦(1945年)を経て現在に至るまでの、米国の帝国主義的な歴史の中に位置づけられ、こだましている。ユンカーマン監督の流暢とは言えない日本語によるナレーションも、既に何度も語られた歴史を、新たに語りなおそうとする異化作用に一役買っているようだ。
貴重なフィルムも、驚くような語りもある。ぜひ多くの人に観てほしい。