Sightsong

自縄自縛日記

泡瀬干潟の埋立に関する報道

2009-02-06 23:08:24 | 環境・自然

先日の辺野古新基地に関する勉強会の際、「泡瀬干潟大好きクラブ」の水野隆夫さんも来られていた(しばらく東京に滞在とのこと)。昨年2008年11月に那覇地裁が泡瀬干潟埋立の公金支出差し止めを命じた判決以降、今年2009年1月からの埋立強行前後に、TBS「NEWS 23」やテレビ朝日「スーパーモーニング」で、この蛮行が何度か報道された。水野さんは、それらの映像をDVDにまとめて配布していた。

やはり、サンゴや絶滅危惧種を含む多くの生き物が棲む青い海に、鼠色の土砂(隣の使うかどうかわからない港湾用に浚渫された)がどしゃどしゃと投入されていく様は、あまりにも痛々しい。息子は、映像を泣きそうな顔でじっと見て、「こんなひどいことして駄目じゃないか。」「誰か偉い人に言って止めてもらえないのか。」と繰り返していた。感覚的にあまりにも衝撃的な犯罪なのだ。

報道の映像では、先述の水野さんや、「泡瀬干潟を守る連絡会」の前川盛治さん、「沖縄リーフチェック研究会」の安部真理子さんたちが、如何にこの泡瀬干潟が多様な生態系の宝庫であり、埋め立てたり人為的にサンゴを移植したりすることが後戻りできない暴挙であるかを説明している。

また、司法が駄目だという判決を下したにも関わらず、内閣府は、沖縄県(仲井真知事)や沖縄市(東門市長)が控訴したから行政は推進するということだという無茶な解釈を語って(騙って?)いた。沖縄県の役人などは、司法の判決を「行政の介入」と表現していた。

もちろん司法と行政は独立しているから、「介入」論は無理解以外のなにものでもない。名古屋高裁がイラク派遣について下した違憲との判決(2008年)に対し、当時の田母神空幕長は「そんなの関係ねえ」と公的に発言し、福田首相も傍流の判決だとして無視を公言した。そしてこの那覇地裁判決は、控訴されているからという理由で無視されている。一方では、最高裁は政府の意向に沿う傾向がある。この状況を、司法の死と言わずして何と表現すべきか。五十嵐敬喜・法大教授は、憲法に定められた三権分立をなし崩しにするものだと厳しく批判した。

水野さんが今回の事情や考えについて、『読売新聞』の「論点」に寄稿している(2009/2/4)。それによると、大規模な開発による自然破壊をストップさせた典型が2つあるという。1つは1971年、尾瀬の車道建設を環境庁(当時)が中止させたこと、もう1つは知床の観光開発を77年からのナショナルトラスト運動が奏功し2005年に世界遺産に登録されたことだ。両方とも地域の活性化につながっており、これがもし道路や妙なリゾートだったらどうだったか。名古屋の藤前干潟、浦安・市川・船橋の三番瀬についても埋立中止は高く評価できるだろう。それに、泡瀬干潟も、世界遺産に相応しい自然環境に違いないのだ。

水野さんによると、今週末か来週頭に、また「NEWS23」でとりあげられるかもしれないということだ。まずはこの蛮行を、多くの人が脳裏に焼き付けなければならない。

※と書いたら、行き違いにトラックバックをいただいた。「NEWS23」の放送は2/10(火)とのこと。

●泡瀬干潟のこと
泡瀬干潟の埋め立てを止めさせるための署名
泡瀬干潟における犯罪的な蛮行は続く 小屋敷琢己『<干潟の思想>という可能性』を読む
またここでも公然の暴力が・・・泡瀬干潟が土で埋められる
救え沖縄・泡瀬干潟とサンゴ礁の海 小橋川共男写真展

●憲法の三権分立
浦部法穂『世界史の中の憲法』を読む

●三番瀬のこと
○三番瀬


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