Sightsong

自縄自縛日記

さようならスティピュラ、ようこそ笑暮屋

2015-05-27 07:27:32 | もろもろ

イタリア・スティピュラの「エトルリア」という万年筆を使っていて、インクフローがいまひとつなので、ペンクリニックで何度か調整してもらった。その結果、ペン先は良くなったが、古いインクが残っているかもしれないとのドクターの言。そんなわけで、プラチナが出している万年筆クリーニングキットを買ってきてペン先を漬けておいたところ、今度は、インクの吸入機構がうまく働かなくなった。

ちょうど新宿のキングダムノートでペンクリニックを開催していたので、出かけて行って、仲谷ドクターに診ていただいた。なんと、壊れていた。エトルリアの初期型は、ペンのお尻をくるくると回してインクを吸い上げるのだが、ペン軸の途中で分解できず、また中の部品がプラスチック製ゆえ壊れやすいのだという。そして、もうメーカーでも補修部品を作っていない。

毎日使うものである。困る。といって駄々をこねて騒いでも仕方がない。直らないものは直らない。古いタイプを使った自分が悪い。

そんなわけで、日本で唯一のエボナイト素材製造工場である「日興エボナイト製造所」が出している「笑暮屋」の万年筆を入手した。ちょうど谷中で出張販売をしていて、実際に触って確かめることができた。ろくろで削って作られた手作り万年筆である。エボナイトは固いゴムであり、何でも、黒檀(Ebony)に似ているためにその名が付けられたらしい。実際に、触っていて、独特の柔らかく軽い質感があって気持ちが良い。なお、エトルリアはセルロイドで作られており、こちらの質感も好きである。

中でもクリップが付いていないタイプ「萌芽」が個性的だったので、そのMサイズを選んだ。Sサイズとあまり値段が変わらないが、訊いてみると、「工作することは同じようなものだし、素材の量はさほど変わらない」からだという。また、中字が好きなので試し書きさせてもらっていると、ペン先(14K)を薄く研いだものもあると囁かれた。そちらの方が柔らかく好みであり、さらに、筆圧の弱いわたしでもインクがさらりと出るよう、調整していただいた。

いまのところ絶好調。


エトルリア(奥)と萌芽(手前)

●参照
万年筆のペンクリニック
万年筆のペンクリニック(2)
万年筆のペンクリニック(3)
万年筆のペンクリニック(4)
万年筆のペンクリニック(5)
万年筆のペンクリニック(6)
万年筆のペンクリニック(7)
本八幡のぷんぷく堂と昭和の万年筆
沖縄の渡口万年筆店
鉄ペン
行定勲『クローズド・ノート』
モンゴルのペンケース
万年筆のインクを使うローラーボール
ほぼ日手帳とカキモリのトモエリバー
リーガルパッド


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