Sightsong

自縄自縛日記

マニー・ピットソン『ミニー・ザ・ムーチャー』、ウィリアム・マイルズ『I Remember Harlem』

2015-12-31 15:21:50 | アヴァンギャルド・ジャズ

マンハッタン・ハーレム地区のドキュメンタリーを2本。

■ マニー・ピットソン『ミニー・ザ・ムーチャー』(1981年)

VHSで入手した。

黒人が現在よりもさらに抑圧されていた時期、1930-40年代に、かれらの芸能はハーレム地区で花開いた。ここでの案内役はキャブ・キャロウェイ。本当に楽しそうに、うっとりとして、この時期の音楽やダンスを紹介する(何しろ、本人が「生まれ変わってもう一度やりたいかと訊かれれば、やると答えるね」と断言しているのだ)。

白いスーツからはじめてダボダボのスーツを身にまとい、大迫力で歌って踊るキャブ・キャロウェイ。貫禄たっぷりのサッチモやデューク・エリントン。ビリー・エクスタインはスマートでイカしている。口を大きく開けて色気たっぷりに歌うナット・キング・コール(キャブがはっきり発音するようにと助言したらしい)。ファッツ・ウォーラーはいつも笑いながら、眉毛を何センチも動かしながらご機嫌なピアノを弾く。その前ですさまじいタップを踏むビル・ボージャングル・ロビンソン。ここぞとばかりのタイミングでピアノを挟むカウント・ベイシー。美しいリナ・ホーン。

もう、信じられないほどカッチョ良く、魅力的だ。思わず破顔し身体をムズムズさせながら観てしまう。

もちろんキャブの言うように、成功者はごく一握り。差別や抑圧のなかで培われた文化である(家賃が払えないために家で演奏やダンスを行うパーティーを開き、それを家賃にあてたなんて、圧倒されてしまうな)。だが、素晴らしい音楽としても、いまも聴かれるべきものとして存在し続けていることがわかる。

■ ウィリアム・マイルズ『I Remember Harlem』

ハーレム地区の路上で売っていて、1ドルで買った。予想通りというべきか、テレビ番組の汚いダビングものだった。

そんなわけで適当に流して観ていたのだが、なぜかジャズとスポーツがセットになって紹介される。レスター・ヤング、チャーリー・パーカーとディジー・ガレスピー、マイルス・デイヴィス、ジョン・コルトレーン。野球ではジャッキー・ロビンソンやウィリー・メイズ。ボクシングではシュガー・レイ・レナード。

そして嬉しいことに、そのときバックにかかる音楽は、マイルス・デイヴィス『Milestones』でのタイトル曲であり、偶然にもこの間再聴して、キャノンボール・アダレイのアルトソロは最高そのものだと思っていたところだった。

●参照
ジーン・バック『A Great Day in Harlem』
2015年9月、ニューヨーク(2) ハーレム
2014年6月、ニューヨーク(4) ハーレム
ハーレム・スタジオ美術館再訪(2015年9月)
ハーレム・スタジオ美術館(2014年6月)
MOMA PS1の「ゼロ・トレランス」、ワエル・シャウキー、またしてもビョーク(ロレイン・オグラディ)
ナショナル・アカデミー美術館の「\'self\」展(ハーレムで活動するトイン・オドゥトラ)


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