ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 




博報堂。千代田区神田錦町3-22。左:1985(昭和60)年4月、右:同年8月4日

神田錦町の博報堂旧本社ビルの跡地が現在どうなっているか調べたら、つい先日の5月15日に「テラススクエア」がオープンしていた。旧本社ビルは新しいビルの角に「復元」されている。再開発前に神田錦町3-22・24に建っていたのは、撮影時では、22番地に博報堂、24番地に博報堂第二別館、住友海上火災神田別館、錦文ビル、大修館書店、住友商事栗田ビルなど。
1895(明治28)年に創業した博報堂が神田錦町に移転してきたのは1914(大正3)年。関東大震災で社屋を焼失した後、1930(昭和5)年6月に建ったのが写真のビルなのだろう。設計=岡田信一郎、施工=戸田組(現戸田建設)、RC3階建てで5階建ての塔屋が目立つ。左側の前に出ている部分は戦後の増築。
日本建築学会の保存要望書によると、正面に3層の高さの4本のドリス式風オーダーの古典主義と、塔屋ではアール・デコ風の当時先端の動きを取り込んで、重厚な中に軽快さを感じさせる表現、という意味のことを言っている。

どうしても銀座の電通ビルと比べてしまうが、見た目でも電通ビルのほうが実用的にできている。それが建て替えをしないで使い続けている理由かもしれないが、歴史的価値や景観を考えて余裕を見せているのかもしれない。博報堂の方は見た目重視の装飾優先だから、事務所には無理だろうが、ビルの特色を生かして会社の広告塔として残せなかったと思う。それでは遊休資産のままで、株主が承知しないのかもしれない。



1992(平成4)年5月4日

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