ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 



山の上ホテル。千代田区神田駿河台1-1
1985(昭和60)年10月

『日本近代建築総覧』では「山の上ホテル(旧佐藤新興生活館)、建築年=1937(昭和12)年、構造=RC7階建て、設計=ヴォーリズ、施工=清水組、地下2階」。佐藤新興生活館とは「社会事業家として知られる佐藤慶太郎らがはじめたユニークな文化福祉事業「新興生活宣言」~健康のための生活改善と、それによる社会改良を目指す社会事業~の拠点」〈 一粒社ヴォーリズ建築事務所>山の上ホテル〉ということだ。これだけではよく分からないが『占領下の東京』(佐藤洋一、河出書房新社、2006年、1600円)では「北九州の石炭王の佐藤慶太郎が新時代の女性に欧米の生活様式を啓蒙する目的で」と説明されている。佐藤慶太郎(1868-1940)は福岡県の出身で、石炭商から身を起こし、1922年(大正11年)には事業を人に任せ社会事業に専念するようになる。上野公園の東京府美術館は佐藤の寄付がもとになっている。
建物は昭和13年には帝国海軍に接収されて、戦時中は将校の宿舎になってしまったというから、新興生活館だった期間は1年余りということになる。戦後は米軍に接収されて陸軍婦人部隊の宿舎になった。既出書によれば接収期間は昭和20年12月-昭和27年4月。それを吉田俊男という実業家が佐藤家から建物を借り受ける形で昭和29年1月20日に山の上ホテルを開業した。



神田生活館、錦華公園。1938(昭和13)年

母(1919-2005)のアルバムにあった写真。アルバムには撮影日の記載がないが、そばに昭和13年9月23日と昭和13年9月15日の日付のある写真がある。山の上ホテルの写真には「神田生活館」の書き込みがある。写っている人物はたぶん母の妹だろう。「錦華公園」としたのは推定。

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コメント
 
 
 
Unknown (wataru)
2020-12-07 08:43:56
私の天然酵母パンの先生は、新興生活館で学ばれた当時の話を時々懐かしそうにされていました。生活そのものが、実戦で、本当に素敵な方でした。 思い出させてくださる記事とお写真、ありがとうございます
 
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