老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

非核三原則を論じる前に

2017-09-10 22:25:17 | 安全・外交
2017年9月8日の朝日新聞社説は、「北朝鮮問題、どう向き合う 非核三原則の堅持こそ」という題目で次のように述べている。

『核実験をやめない北朝鮮の脅威にどう向き合うか。自民党の石破茂元防衛相が、非核三原則の見直しに言及した。「米国の核の傘で守ってもらうといいながら、日本国内にそれ(核兵器)は置きません、というのは本当に正しい議論か」、問いに答えるなら「正しい議論だ」と言うほかない。』

しかし石破氏の提言は、現在在日米軍が日本の基地で核弾頭を一つも持たないとの前提でないと成り立たない。果たしてこれまでこの事実を確認した日本人は、政治家、メディアも含めているのであろうか。又沖縄返還時に在日米軍に確認させて貰えたのであろうか。また米軍が沖縄から核を持ち出すメディア映像を見た人があるだろうか。

沖縄返還は1972年(昭和47年)5月15日、佐藤内閣の時である。この時期はまだ東西冷戦時代(1991年にソ連崩壊)で、中ソの核ミサイルは米国、NATO諸国、日本をターゲットにしている最中である。このような状況下で本当に沖縄の「核抜き本土並みの返還」はあり得たのであろうか、今の北朝鮮の核脅威の比ではあるまい。

また沖縄返還交渉に当たっては、当時日米の首脳間で水面下でいくつかの秘密交渉がなされていたことは、後日日米の公文書でも明らかにされている。有名なのは、当時毎日新聞の西山太吉記者がスクープした「アメリカ政府への特別支出金と、有事の際アメリカは沖縄に核兵器の持ち込み、通過、貯蔵ができるというもの」である。

問題は、「有事の際アメリカは沖縄に核兵器の持ち込み、通過、貯蔵ができる」であるが、これは沖縄の核抜き本土並みの返還が前提の事であり、既述のとおり、このような返還が東西冷戦下の米国の核戦略としてあり得ただろうかとの疑問がある。

社説が述べているとおり「米国は核の配置場所を明らかにしないのが原則で、持ち込ませずの検証は困難」であれば、逆もまた真なりで、沖縄を核抜きにして返還したことも検証困難だったはずである。

「有事の際アメリカは・・・」の密約は、むしろ沖縄を核抜き本土並みで返還したと見せかけるためのトリックで、事実は沖縄から核は持ち出されていないとの見方もできるのである。

よって日本の非核三原則を論じる場合、現在沖縄には核が無いとの検証が先ず必要なはずである。奇しくも今晩9時からNHKスペッシャルで「沖縄と核」というドキュメンタリー番組があるので、そのような視点からも観てみたい。

いずれにしろ日本の非核化は日米安保条約下では無理で、永世中立国になり日米安保を破棄するしか達成困難なのではないだろうか。

「護憲+BBS」「マスコミ報道を批評する」より
厚顔
コメント (3)
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