12月1日(月)午後7時よりABCテレビの「ドキュメンタリー宣言(なぜ私が収監されるのか)」を見た。番組は事故の状況等をつぶさに目撃者に取材しており、その目撃者の証言に照らせば、警察と検察による冤罪としか思われない。同時に高知地裁の事実認定も高松高裁の控訴棄却も公正な裁判とは言い難く、司法警察と検察と裁判に対する国民の信頼を失墜させるものであった。
ではなぜ司法警察に事故の事実関係が歪められて送検され、検察で立件、起訴されたのであろうか。第一の理由は、事故の一方の当事者が白バイ運転手(現職警察官)だったことである。現場検証で白バイ運転手の事故責任を認定すれば、その罪は業務上の事故の結果から生じたことになり、責任は所轄警察署から県警本部に及ぶ訳で、県警挙げての自己保身が働いたとしても不思議ではない。
また不幸にも白バイ運転手は事故死しており、「死人に口無し」を逆手に取り、警察に有利な現場検証と調書が作成しやすい環境下にあったことも挙げられる。それは警察側の証拠写真に対して、「バスの急ブレーキで残った車輪のスリップ跡のハの字型と長さは、ねつ造臭い」との専門家の証言でも裏付けられていたように思う。
もう一つの理由は、日頃の警察と検察との関係である。即ち何か事件が発生すれば、司法警察として事件を捜査・送検し、検察は送検された事件を警察と二人三脚で立件起訴する、というのはテレビドラマでも良く出てくるシーンである。日頃二人三脚で仕事を進めている警察と検察が、身内に起きた事件についても一般の事件と同じように現場検証から起訴にいたるまで100%公正な手続きができるであろうか。いみじくも今回のドキュメンタリー番組では、その疑念がクローズアップされている。
問われるべきは、今回の事件のような警察官や検察官が何らかの刑事事件を起こした場合の裁判の在り方である。現状の裁判制度を見た場合に、警察と検察という身内同然の事件に対しても法廷で十分な審理が尽くされ公正な裁判が担保されているとは言い難い。今回の事件でも、高松高裁は事実関係の審理もをせずに控訴棄却しているようであり、最高裁も刑訴訟405条(上告条件)に照らし上告棄却している。これでは一般の刑事事件の裁判以下の扱いであり著しく不公正である。少なくとも今回の事件のように、事件の当事者に警察官が絡む刑事裁判では、三審とも十分な事実審理が尽くされるべきである。
ところで、裁判官は職業上常日頃は部外者との接触を極力避けていると云われているが、仮にそのような生活習慣から警察と検察の密接な関係も想像できないとすれば、「井の中の蛙大海を知らず」の諺どおり、世間知らずの専門ばかと云われてもやむを得ないであろう。今回の番組は、このよう現状を打破することも裁判員制度が導入された一理由ではないかと思いたくなるようなドキュメンタリーであり、その意味では、これからの裁判員制度には良い教材になったように思う。
「護憲+BBS」「裁判・司法行政ウォッチング」より
厚顔の美少年
ではなぜ司法警察に事故の事実関係が歪められて送検され、検察で立件、起訴されたのであろうか。第一の理由は、事故の一方の当事者が白バイ運転手(現職警察官)だったことである。現場検証で白バイ運転手の事故責任を認定すれば、その罪は業務上の事故の結果から生じたことになり、責任は所轄警察署から県警本部に及ぶ訳で、県警挙げての自己保身が働いたとしても不思議ではない。
また不幸にも白バイ運転手は事故死しており、「死人に口無し」を逆手に取り、警察に有利な現場検証と調書が作成しやすい環境下にあったことも挙げられる。それは警察側の証拠写真に対して、「バスの急ブレーキで残った車輪のスリップ跡のハの字型と長さは、ねつ造臭い」との専門家の証言でも裏付けられていたように思う。
もう一つの理由は、日頃の警察と検察との関係である。即ち何か事件が発生すれば、司法警察として事件を捜査・送検し、検察は送検された事件を警察と二人三脚で立件起訴する、というのはテレビドラマでも良く出てくるシーンである。日頃二人三脚で仕事を進めている警察と検察が、身内に起きた事件についても一般の事件と同じように現場検証から起訴にいたるまで100%公正な手続きができるであろうか。いみじくも今回のドキュメンタリー番組では、その疑念がクローズアップされている。
問われるべきは、今回の事件のような警察官や検察官が何らかの刑事事件を起こした場合の裁判の在り方である。現状の裁判制度を見た場合に、警察と検察という身内同然の事件に対しても法廷で十分な審理が尽くされ公正な裁判が担保されているとは言い難い。今回の事件でも、高松高裁は事実関係の審理もをせずに控訴棄却しているようであり、最高裁も刑訴訟405条(上告条件)に照らし上告棄却している。これでは一般の刑事事件の裁判以下の扱いであり著しく不公正である。少なくとも今回の事件のように、事件の当事者に警察官が絡む刑事裁判では、三審とも十分な事実審理が尽くされるべきである。
ところで、裁判官は職業上常日頃は部外者との接触を極力避けていると云われているが、仮にそのような生活習慣から警察と検察の密接な関係も想像できないとすれば、「井の中の蛙大海を知らず」の諺どおり、世間知らずの専門ばかと云われてもやむを得ないであろう。今回の番組は、このよう現状を打破することも裁判員制度が導入された一理由ではないかと思いたくなるようなドキュメンタリーであり、その意味では、これからの裁判員制度には良い教材になったように思う。
「護憲+BBS」「裁判・司法行政ウォッチング」より
厚顔の美少年