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帰ってきたアメコミ入門 その1

2015-03-11 | 漫画
気がつくと、アメコミが大変なことになっていました。

映画の予定は2020年までびっしりと存在、
TVドラマも続々放送開始、そして日本にもほぼリアルタイムで上陸。
TVアニメも地上波で毎週放送されるようになり、
邦訳コミックも毎月悲鳴をあげるほど販売されています。
そしてアメリカでの展開も日本で大きく話題になるような、そんな世の中になっています。

アメコミ読んで20年(気がつくとそうなってた)、こんな社会がくるなんて。

しかし、これだけ盛況になってしまうと、困ったことも起きてきます。
新しく興味を持った人は、どこから入ればいいのだろうか、と。
もちろんぶつかったものから入ってきてもらうのがいいんだろうけど、
「なんだかよくわかんないからもういいや」となってしまうのも、寂しい。

そこで「入りやすい入口」をこれから何回かに分けて、いくつか紹介していこうと思います。
あくまで一例、として触れて頂ければいいかな、と。

第1回め、まずはよくある疑問、から。

「マーベルとかDCとか言ってるけどどういうこと?何が違うの?」
「アベンジャーズにバットマンってどうしていないの?」


これは簡単にいえば「会社の違い」です。
アベンジャーズ、X-MEN、スパイダーマンはマーベルという会社の、
バットマン、スーパーマンはDCという会社のキャラクター
になります。
だいたい「アメコミ」といえば8割がたはこの2社の作品を指します。

アメコミの特徴は、同じ会社のキャラクターはだいたいにおいては
同じ世界で暮らしている
、ということです。
これはキャラクターの権利を会社が持っている、ということに由来します。
だから同じ会社のキャラはちょくちょく共演したり、
アベンジャーズのようなチームを組んだり
して活躍します。

しかし、会社が違うと住んでる地球・・・いや宇宙から異なることになり
めったなことでは共演することはありません。
特に映画となると映画会社間の問題、というものもあって
コミックでは同じ会社だけど映画の会社が違うから共演はできないよ、ということもあります。
(それもあって、「アベンジャーズ映画にスパイダーマンが出るかも」はニュースだったのです)

「アメコミって全身タイツの人が殴り合ったりビーム出したりするやつしかないの?」


これも良く聴く話ですね。
「アメコミはヒーロー物しかないからいろんな漫画がある日本漫画が偉い」という
そんな意見もよく目にいたします。
たしかにジャンルの大半はヒーロー物ですが、それは日本の少年漫画の主流が
能力バトルものなのと同じ、という見方もできますし
「ヒーローもの」というジャンルの中に、長い歴史の間にいろんなジャンルを内包してしまったのが
メインのアメコミである、という考え方もできます。
悪と戦うその一方で恋愛や結婚、育児に不倫に離婚、差別や貧困などの社会問題も触れれば
学園での日常生活も描かれたりもする、そんな世界がアメコミのヒーローもの、なのです。

また一方で、日本でいえば青年誌やサブカル誌的な非ヒーローもの漫画や
日常を描く漫画も存在しており、邦訳本も色々出ておりますし映画化もされています。

「アメコミってどれも絵が濃ゆい感じで怖い」

これについてはまず、アメコミを描くシステムについての話を。
アメコミの大多数は「分業制」です。
原作者、作画、ペン入れ担当、カラー担当、台詞入れ担当・・・と
多くの場合は明確に分業化されています。
日本の漫画で言う原作者と作画担当、あとはアシスタント、という部分が
明確にクレジットされる形で分業化されている・・・
という風に考えるとわかりやすいかもしれません。
日本でも編集がストーリー展開などに助言をすることも多いようですが
多くのタイトルが同じ世界を共有しているアメコミでは
編集と原作者による交通整理もより重要になっている、と考えていいでしょう。

そしてキャラクターの権利を会社が持っている、ということは
同じキャラクターを色々な人が描く、ということでもあります。
(このあたり、ゲームとかのアンソロジーコミック的なものを想像してもらうといいかも)
そしてアメコミでは、だいたい60年代あたりからデッサン・解剖学的にも整った
筋肉や骨格描写を基本とした絵柄が主流という形で固まっていくことになりますが
80年代から日本の劇画やアニメなどの影響が入ってきたりもして、
現在ではさまざまなスタイルの絵の作品が出てくるようになりました。
(邦訳されているものでも、写実的なものから3頭身ディフォルメ絵まで!)

ですのでこれに関しては「色々あるから、好きなのを選んでね」ということで。
・・・ただし、(特に原書は)「表紙詐欺」が横行している
(表紙だけ人気のある人が描いている場合が多い)のでご注意を。

「スーパーマンとかバットマンとかキャプテンアメリカってもう70年以上もやってるらしいし、
 スパイダーマンとかX-MENとかアベンジャーズも連載開始から50年以上なんでしょ?
 今から入るのって大変じゃない?」


・・・これに関しては、実はアメリカでも問題に思われていました。
特に映画化で認知度が広まった昨今、「長い歴史」と「積み重なった設定」、
それによる「いちげんさんお断り的空気」をなんとか打破しよう、と
マーベルもDCもさまざまな方法を考えてきました。

その一番の例がDC側の「New52」という『世界のリセット』です。
DCは過去に数回、増えすぎた平行世界とかをリセットしては
また設定が積もっていく・・・ということを繰り返し、
その最新のものが2012年に行われた「フラッシュポイント」→「New52」というリセットでした。
全ヒーローの誕生やその出会いから語りなおしたこのリセット作品は
日本でもバットマン、スーパーマン、ジャスティス・リーグ、シャザム!、フラッシュといった
映画化&ドラマ化予定のキャラたちの邦訳が発売中です。

一方のマーベルは世界のリセットは行ってはいませんが、
映画から入ってきた層に向けた平行世界「アルティメット・ユニバース」や
仕切り直しを行った「マーベル・ナウ」といった方法で新しい読者獲得に動いています。
(追記:2015年夏のイベント「インカ―ジョン」→「シークレット・ウォーズ」と
 その後の「オールニュー・オールディファレント」でマーベルも大幅な世界の変更を行いました)

そして日本の読者に向けて、なのですが・・・
実は今出ている日本語版アメコミのほとんどには、詳細な解説がついています。
キャラクターの名前・歴史やストーリー中で言及されている過去の事件、
そして引用されているカルチャーなどの説明も入っていますので
安心して読み進めることができる・・・と思います。
また、それでもわからないことがあれば現在は日本語のWikiなどもいくつか存在しているので
そういったものもうまく利用していけばいいのかな、とも思います。

次回は「入口におすすめの映画」あたりを予定しております。
素朴な疑問などありましたら、お気軽にどうぞ。

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